映画「ウソはホントの恋のはじまり」のトークイベントが7月22日(金)に行われました。

【登壇者:はあちゅうさん】
ブロガー・作家。慶應義塾大学法学部卒。電通コピーライター、トレンダーズを経てフリーに。「ネット時代の新たな作家」をスローガンに、ネットと 紙を中心に媒体を横断した発信を続ける。著作に「半径5メートルの野望」(講談社)など。月額課金制個人マガジン「月刊はあちゅう」「はあちゅうのごはん日記」が好評。ツイッター:@ha_chu

—自己紹介からお願いします。

ブロガーで作家のはあちゅうです。宜しくお願いします。

—この映画の感想は?

主人公のサムがかわいいなと思いました。
悪く言えば女々しいんですけど、でもきっと男性ってこういう臆病な部分を持ってるんだろうなと思って、共感しましたね。好きな人の前でかっこいいと思われたくて、ついああいう行動をとってしまうんだろうなって。

—今日のトークテーマが「SNSと現代の恋愛事情」についてなのですが、はあちゅうさんご自身は恋愛対象の方をSNSで調べるという行為についてどう思いますか?

私はつい、やっちゃいますね。相手の人と共通の話題はないかなと探しますし、元カレとかも元気かなーと思って見てしまいますね。

—デート前に【予習】したりもするんですか?

自分から誘うのは勇気がいるのですが、相手のことを深く知っていたほうがコミュニケーションはとりやすいので、仕入れられるだけの情報は見ていきますね。SNS一通りみていきます。

—SNS情報をどれくらい信頼して、その情報を見ていますか?

参考資料として見ていますね。SNSに出している情報はすべてではないので、相手の表のキャラクターを見るためのものだと思っています。やはり目の前にいる彼が私にとっての彼なので、そこを混同してしまってどちらかに引きずられてしまうとバランスがとれなくなるかも。

—SNSは見たくない情報が入ってきたりもしますが。

そうですね。相手の方が自分よりかわいい女の子とばっかり撮った写真をアップしていたら、自分には見込みがないかもと思ってしまうかも。ハードルが高くなっちゃう気がしますね。あとは、なんとなく好きな男性が他の女の子にやさしくしていたりするのをSNS上で見たりするとモヤモヤします。あ、この人には「いいね!」たくさんしてるな、とか。深読みしてしまうことが、状況を複雑にすることもあるかもしれませんね。

—やはり、(はあちゅうさんは)SNSをたくさん活用されてるんですね。

そうですね。自分でもブログをやっているので、自分から発信しない人とは気が合わないんですよね。活用というよりは、SNSと本人の両方を見るのが基本になっています。

—恋愛で活用する際の、ルールはありますか?

バランスをとることですね。SNSと本人の両方を見ることですね。

—最近SNSを通して、嬉しかったことってありますか?

年下の男の子で、私のツイッターにいいね!をしてくれる男の子がいまして。いいね!をすると通知が来るんです。男の人として見ているわけではないのですが、そうところでつながりを持ててるのがすごくうれしく思います。LINEをするほどでもないけど、一度お会いしたことがあり、直接連絡するわけでもないけれど「まだつながっているよね」というのが実感できたりして。心がつながっている感じ。「見てくれているんだな」というのが、私の心の中では積もっていきますよね。

—サムもそういったアプローチをしたらよかったですよね。

そうですね。(映画でやっている方法より)もっといいアプローチ方法がありましたよね。見た人全員が思っていると思うんですけど。(笑)

—恋愛名言が多いはあちゅうさんですが、SNS上で、恋の相談を受けたりしているのですか?

FBを活用した匿名のオンラインサロンというサービスの中で、恋愛の悩み相談にのっています。

—その中でSNSにかかわる「アウト」な事例はありますか?

これはオンラインサロンの話ではないのですが、私の元いた会社の人がネットストーカーに遭っていますね。すべての彼の行動をSNSでリサーチして、その場所に行っちゃうという。

—それって、サムもやってますよね。

サムも一歩間違えば犯罪だよ、というのを映画ではとても可愛らしく描いていて。好かれたから結果ハッピーエンドなんですけど、ひとりで突っ走ってしまう怖さ、というのも教訓として知っておきたいですね。

—はあちゅうさんの名言「誰かに強烈に好かれたかったら、誰かに強烈に嫌われてもいい覚悟をしなくてはいけないと、私は思います」というのがありますが、劇中でサムはどうすればよかったのでしょうか?

直接アプローチをしてしまえばよかったですよね。コンピューターを忘れちゃったシーンで「キミがいてのぼせちゃったんだ」とか言えたら、ポンと前にすすみますよね。

—はあちゅうさんはサムと同じようなことをされたらどう思いますか?

相手によりますよね。好きな人にされるとうれしいことも、嫌いな人にされると嫌でセクハラになりますもんね。

—もうひとつの恋愛名言の中に「コンプレックスが浮き彫りになるのが恋、コンプレックスを受け入れるのが愛」というのがありますが、映画のテーマに近いですね。

そうですね。恋をしてる時って、自分のコンプレックスを考えることが多くて。顔のこの部分が嫌だなとか、がさつなところが恋愛上悪影響があるのではないかと思ったりするんですけど、実際に自分を好きになってくれる、愛してくれる人って、そこをかわいいと思ってくれる人なんですよね。私の弱点をかわいいと思ってくれる人。だからサムみたい自分の弱点を隠しちゃうと、お互いの関係が深まった時に、うまくいかなくなっちゃう。そしてサムみたいに爆発しちゃう。

—あれ、勝手ですよね!

あの画廊のデートのシーンは一番頭にきました。あんなにかわいいデートはないですよ!お金をかけずに楽しい時間を演出しようとしてるのに、勝手にキレるという。(されたほうは)ショックですよね。

—男性としてはあの行動心理は、わからなくもないのですが。

SNSはいいツールなのですが、うまく使いこなしたいですよね。恋愛と戦争は情報戦だと思うので。SNSはうまく活用して、裏読みをできるようになったらいいですよね。あと情報を都合よく解釈しないこと。たとえばSNS上で「さびしい」と書いただけで「あ、この人は彼氏ほしいのかな」と思ってしまったり、思わせてしまったり。あと私は個人的に「SNS探偵」って言ってるんですけど、SNS上で明らかに「彼氏とゴハン食べてます」っていう料理の写真ありますよね。視野が狭くなっていると、「あ、この子ゴハン作るのうまいんだな」っていう情報だけ受け取って、明らかに料理の量がふたり分だということが見えなくなっちゃう。恋は盲目というか。

—他にお気に入りのシーンはありますか?

オープニングのシーンが好きです。私も書く仕事をしているので、自分の日常にある風景だな感じました。あと、サムの親友(ガリー)の人が、マーサ・スチュアートで興奮するというシーン。それが原因で彼女と喧嘩するってとても人間らしいシーンですよね。

—好きなキャラクターはいますか?

男だったらバーディーがいいですね。自由すぎますけど、あんな自由な彼女に翻弄されるようなデートだと、自分の考え方も柔軟になっていくだろうなと。私、人生に恋は大きな影響を与えると思っていて、大人が変わる時って仕事か恋愛なんですよね。結婚や恋愛は本当に人と深く関わらなきゃいけない場面で、そういうときに一番自分の大きな成長があるんですよね。そういう意味で、自分と真逆のバーディーのような女の子と付き合うと彼女のいい部分が吸収できる気がします。

—男性だと?

ダンスパートナーのおじいちゃん!あの年でダンスしてて、パートナー(バーディー)をとられて本気で起こるっていうあの人生の本気度。ああいう人と人生添い遂げられたら人生楽しい気がします。外にどんどん自分の世界を見つけていく人。老後の理想だなって思いましたね。

—最後の質問です。最近ドキドキ・キュンキュンしたことありますか?

SNSとあまり関係ないのですが、知り合いの男性が私に直接ではなくて、あなたのこと褒めてたよって人から聞いた時ですかね。直接言われてもとても嬉しいものだけど、私のいないところで褒めてくれてたのか!って。

—楽しいトークをありがとうございました。