8月6日に全国公開を迎える、大友啓史監督の最新作『秘密 THE TOP SECRET』(英題 The Top Secret:Murder in Mind)が、「第20回ファンタジア国際映画祭」(カナダのモントリオールにて開催中)のコンペティション部門に出品され、現地モントリオールにて、7月31日(現地時間)にワールドプレミアとなる公式上映が行われました。公式上映には大友啓史監督が参加、本作の上映後には、大友監督と観客とのQ&Aの時間が設けられました。
ファンタジア国際映画祭は、1996年に日本や香港のアジア映画にフォーカスする映画祭としてスタートし、翌1997年に対象を世界に広げ、現在はアジア、北米、ヨーロッパを中心に多くの作品を上映。毎年7月に3週間にわたり開催され、世界各地から集まる作品は、SF映画、ファンタジー映画、ホラー映画、アドベンチャー映画など、ジャンル映画祭としては北米で最も重要な映画祭です。第18回開催では、大友監督作『るろうに剣心 京都大火編』が観客賞銅賞を受賞しており、大友監督作品の上映は今回で2作目となりました。また、本作は海外からも問い合わせが殺到しており、韓国、台湾、中国、フィリピンの4か国ですでに配給が決定しています。

『秘密 THE TOP SECRET』 公式上映
(7月31日(日)PM21:30〜※現地時間)

カナダのモントリオール、SGWU Alumni Auditorium にて、ワールドプレミアとなる公式上映が行われ、場内は711名の観客で満席となりました。開場前には、上映を待つ観客の長蛇の列ができ、登場した大友監督がサイン攻めにあう場面も。第18回開催での『るろうに剣心 京都大火編』の上映から2年、大友監督の最新作に期待を高める大友監督のファンや、本作主演の生田斗真さんのファンなど、世界各国のたくさんの観客に出迎えられることとなりました。本作の上映では、エンドロールに入る直前から、既に拍手喝采と大歓声が巻き起こり、エンドロール終了後もしばらく拍手は鳴りやまず、興奮冷めやらぬ中、大友監督が登壇。その後、大友監督と観客によるQ&Aが行われました。

【 主なQ&A 】

Q:アニメやコミックを映画化する時、何を大切にしますか?

A:基本的に人物のキャラクターがとても大事だと思っています。ただ、コミックは二次元で、映像は立体。映画は生身の人間が演じているので、汗もかくし、走れば息も乱れる。最初はコミックのイメージが元になりますが、コミックのオリジナルイメージからどのようにして卒業できるかがポイントだと思います。コミックのイメージを真似しているだけでは、絶対にコミックに勝てません。いい俳優は、内面的なアプローチから人物に似せていくんですよね。それと同じで、監督僕自身もコミックの持っているスピリッツを表面的に見せるのではなく、何が大切か考えて、そのために準備をするようにしています。

Q:映画を見て、いろんなジャンルの要素が入っていると感じました。異なる要素を入れる意図はありますか?

A:今の時代、新しいジャンルというのは、色んなジャンルのミックスによって生まれることもあります。あまり決めつけずに色んなジャンルのおもしろさを詰め込めれば楽しいのでは、と考えています。本作で言えば、ミステリーサスペンスでもあり、スリラーでもある。そして人間の魂の奥底まで深く潜り込んでいくドラマでもある。そういう意味ではジャンルを横断して映画を作りたいと思っています。僕の映画の師ともいえる、ジョン・ウー監督と以前こんなことを話しました。監督は、映画作りにおいて人物のエモーションをとても大事にして作っているそうです。アクションをやっていても、ただのアクションでは人は感動しない。アクションの中にエモーションがないと、見る人は心を揺さぶられない。全てのジャンルにおいて、そこで動いている登場人物にエモーションをどうやって宿らせるかが一番大切だと。これは僕自身もとても大事にしていることですね。

【 上映後 観客のコメント 】

「とてもビジュアルインパクトのある作品で、素晴らしかった。」 (モントリオール在住/40代女性)

「映像美が凄く、物語にかなり引き込まれた。とても魅力的な作品でした」 (モントリオール在住/20代男性)

「コミックとフィルムノワールへのバランスのとれたオマージュだった。今まで観た中で一番の作品!コミック原作と聞いたが、その領域やジャンルの枠を超えていた。」 (モントリオール在住/20代男性)

【 映画祭コメント 】

「観客のリアクションがとても情熱的で心から拍手を送っていました。皆さんとても楽しんだと思います。何人か私のところに来て、今回のフェスティバルでベスト1の作品だと言ってくれました。今日は本当に大成功でした。凄く嬉しいし(今回上映できたことを)誇りに思っています。」 (ファンタジア国際映画祭 アジア映画プログラマー Nicolas Archambault)