SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2016 開幕!オープニング上映 『話す犬を、放す』売れない女優と認知症の母の葛藤をユーモアと涙で演じたつみきみほ、田島令子らが登壇
世界に先駆けてデジタルシネマにフォーカスし、次代を担う若手映像クリエイターの登竜門として2004年にスタートしたSKIPシティ国際Dシネマ映画祭(主催:埼玉県、川口市ほか)は、本日16日(土)、13回目となる開催初日を迎え、国内外からノミネート監督や審査員ほかゲストが来場してのオープニング・セレモニーを実施。9日間にわたる映画祭が華やかに幕を開けました!
オープニング上映では、映画祭が主体となり、若手監督を抜擢してプロデュースした『話す犬を、放す』をワールド・プレミア上映いたしました。本作は、映画出演のチャンスを掴んだ売れない女優と、レビー小体型認知症を発症し、かつての飼い犬の幻視に悩む母との生活を通し、「人はもっと自由になれる」というメッセージを、ユーモアと涙を交えながら、温かくも爽やかに描き出した作品です。出演は、母との生活に悩む女優・レイコをつみきみほ、母・ユキエを田島令子が好演。初共演となった二人が、実の母娘のような温かい空気感を情感豊かに演じ、眞島秀和、木乃江祐希らが脇を固めます。監督は、『はっこう』(06)で PFF アワード 2006 グランプリ、ゆうばり国際ファンタスティック映画祭審査員特別賞受賞など、数々の映画祭で注目された熊谷まどか。監督の実体験を基にした本作で、初の長編監督作品となりました。
SKIP シティ国際Dシネマ映画祭 2016 は、本日16日(土)から24日(日)までの9日間、埼玉県川口市のSKIPシティほかで開催いたします。会期中は長編部門12作品、短編部門12作品、アニメーション部門12作品の、3部門36作品がコンペティション上映され、審査員による最終審査を経て最終日24日に各賞が発表されます。そのほかにも、特別招待作品やバリアフリー上映、関連企画、関連イベントなど盛りだくさんの内容となっています。
<主催者コメント>
◎上田 清司 埼玉県知事 (SKIPシティ国際映画祭実行委員会 会長)
これまでこの D シネマ映画祭から、多くの若手監督が飛び出し、国際社会で素晴らしい評価を受けてきた。こうした成果も、この映画祭を愛する観客の皆さまと、関係者の皆さまのおかげだと感謝している。今年も世界中の才能ある監督たちが、このSKIP シティで花開くことを心待ちにしている。今日のオープニングに始まり、さまざまな企画を用意しているので、説明をするよりも、まずはより多くの方に参加していただくことを期待している。
◎奥ノ木 信夫 川口市長 (SKIPシティ国際映画祭実行委員会 副会長)
今年は新たな試みとして、ベルリン国際映画祭で高く評価された『長江図』と、『I PHONE YOU』の中国映画 2 作品を特別招待作品として上映する。コンペティション部門以外の、こういった作品にもぜひご注目いただきたい。開催市として、地元町内会による盆踊りや、地元の有名レストランの出店など、映画祭を盛り上げるためにバックアップをしていく。今年もこの映画祭の大成功と、映像産業の発展を期待したい。
<オープニング上映『話す犬を、放す』 舞台挨拶概要>
■日程:7月16日(土) オープニング・セレモニー 14:30〜15:25 舞台挨拶 15:35〜15:50
■会場:SKIPシティ 映像ホール (埼玉県川口市上青木 3−12−63 4F)
■登壇者:つみきみほ (45歳)、田島令子 (67歳)、木乃江祐希 (29歳)、熊谷まどか監督 (46歳)
今回、世界初上映となった『話す犬を、放す』は、熊谷まどか監督が自身の体験をもとに手がけた作品ということについて、「ベースには、母がレビー小体型認知症に罹ったことが元になっていて、月並みだけれど、「親も老いるんだな」と思って、老いるということは、少しずつ赤ちゃんに近づいていくことなんだということを目の当たりにして、描いた作品。」と作品の成り立ちを語りつつも、「でも私の経験をもとにしてはいるけれど、私は大阪のオバちゃんだし、私の母もヒョウ柄のスパッツをこよなく愛するような大阪のオバちゃんで、つみきさん、田島さんが演じたような可愛らしい母娘ではないので、そこはフィクションというか、実在の人物とは一切関係ございません」と会場を笑わせた。母との生活と仕事の両立に葛藤する主人公・レイコを演じたつみきは、「売れない女優という役で、私も 10代からこの仕事をしているけれど、色んな寄り道ばかりをしているので、“売れない女優”という役にはちょっと共感していました。監督は本当に大阪のオバちゃんていう感じで(笑)、何か聞くといつも面白い形で返してくれて、楽しい現場でした」と撮影を振り返った。一方、田島はレビー小体型認知症という、難しい役どころに「あまり“難しい役だ”とは思わずに、わからないところは監督に聞きながら演じていって、監督からは「基本はコメディだ」と伺っていたので緊張感を持ちつつも楽しく演じることができた」と監督との役作りを披露した。また、木乃江祐希が演じた、若く才能に溢れ、子育てをしながら映画監督としても活躍する女性監督というキャラクターについては、熊谷監督が「私のまわりにいる一世代下の女性監督たちは、みんな女子力が高くて、現場でもオシャレだし、子育てしながら映画もあきらめずに頑張るということを、当然のことのようにやっている人が多くて、羨ましいというよりもう“あっぱれ”という感じなんですよ。そんなイメージを込めた役」と話すと、木乃江も「そんな役を演じて、私自身も芝居もプライベートも頑張るぞ!という思いが強くなって、最近、自分ひとりだけで劇団を立ち上げたんです。この役の影響ですね」と明かした。舞台挨拶の最後には、つみきが「それぞれの見方で、それぞれの楽しみ方でご覧になってほしい」と挨拶し、田島は「作品に出てくるチロという役の雌犬がとっても芸達者で、そこも注目して欲しい。彼女に助演女優賞を差しあげたい」とユーモアたっぷりに語り、会場はまたも笑い声に包まれた。そして熊谷監督が「初めての長編作品で、とっ散らかってしまったこともいっぱいあったけれど、素晴らしいキャストとスタッフに恵まれて、私が作ったというよりは、“すごいものができちゃったな”と思っている。今日がお客様に観ていただく初めての日なので、ぜひ楽しんでいただけたら嬉しいです。」と締めくくり、MC から「お母さんにも観てもらいですか?」を投げかけられると、少し照れながら「関西に住んでいるので今すぐは観られないけれど、機会があれば観て欲しい」とほほ笑み、会場から笑いと感嘆の声が絶えない、和気あいあいとした舞台挨拶となった。
『話す犬を、放す』は SKIP シティ国際 D シネマ映画祭 2016 のオープニング作品として上映され、今後劇場での公開も予定されている。