20 世紀後半のハリウッドで、数々の名作映画誕生を支えた伝説的銀行マンの半生を描いたドキュメンタリー『ハリウッドがひれ伏した銀行マン』が本日いよいよ初日を迎えました。映画公開初日を記念して、矢田部吉彦さん(東京国際映画祭プログラミング・ディレクター)をゲストに迎えたトークショーが開催されました。

【開催日】7 月 16 日(土)
【開催場所】ヒューマントラストシネマ渋谷 シアター3
(東京都渋谷区渋谷 1-23-16 ココチビル 7・8)

【登壇者】ゲスト:矢田部吉彦氏(東京国際映画祭プログラミング・ディレクター/49)
MC:坂上直行氏(アークエンタテインメント、元日本ヘラルド映画国際担当取締役/66)

【イベントの概要】
本イベントにはゲストとして矢田部吉彦氏が登壇。自身も元銀行マンであるという視点から、本作の魅力はもちろん、カンヌ映画祭の話まで、普段は話きけない貴重な内容を語りました。

【イベントの様子】
坂上:「まずは作品をご覧になっていかがでしたか?」
矢田部:「銀行を辞める前にこれを見ていたら、銀行をやめなかったかもしれないと思うくらいおもしろかったです。昔は映画と銀行の仕事が結びつくとは思っていませんでしたが、この映画を見ると、何か銀行からできるアプローチがあったかもしれないと感じました。銀行マンといえば数学的なセンスが求められますが、アフマンはそれほど難しいことをやっていたわけではないという点もおもしろかったです。」
坂上:「アフマンがプリセールという仕組みを作ったことは知っていましたか?」
矢田部:「全く知りませんでした。今や当たり前の仕組みを彼が作り出したということに驚きました。また劇中に出てくる数々の有名作品は、アフマンがいなければできなかったと思うと本当に驚きです。」
坂上:「銀行員である彼が、なぜ多くの映画人からリスペクトされたのだと思いますか?」
矢田部:「やはり映画愛があったからだと思います。そして大柄で落ち着きがあるキャラクターがうけたのではないかとも思います。魑魅魍魎たる私利私欲がうごめく世界で、着実に投資ではなく融資を行う、その姿はさぞや頼りがいがあったでしょうね。」

坂上:「映画にはアフマンもよく行ったカンヌ映画祭の様子が出てきますが、お仕事柄カンヌ映画祭にも行かれる矢田部さんからご覧になっていかがでしたか?」
矢田部:「映画に出てくる当時のカンヌ映画祭は特に輝いていた時代だと思います。今でも華やかな映画祭の横で各映画会社の商談が活発に繰り広げられていて、映画ビジネスの場としてのカンヌ映画祭の重要性は全く衰えていません。様々な目的の人がいる商談の中で、もしアフマンのような人がいたら本当に頼りになると思います。」
坂上:「今の時代にアフマンのような人は生まれてくると思いますか?」
矢田部:「生まれて欲しいとは思いますが、なかなか難しいとも思います。リーマンショック以降、銀行が保守的になっている現状もあり、一人の銀行マンが映画業界をひっぱっていくのは難しい時代です。」
坂上:「日本の銀行からもアフマンのような人が出てきてほしいですね。」
矢田部:「今、日本映画でも国際共同製作という形が増えはじめているので、今後より国際的な資金調達が活発化していくと思います。銀行マンは難しくても何か新しい仕組みを作り出すプロデューサーなんかが出てくる期待はできると思います。」