『海炭市叙景』(10’/熊切和嘉監督)、『そこのみにて光輝く』(14’/呉美保監督)に続く、孤高の作家・佐藤泰志原作の函館三部作最終章『オーバー・フェンス』がこの度、
9月17日(土)にテアトル新宿他全国公開します!(配給:東京テアトル+函館シネマアイリス(北海道地区))
原作者・佐藤泰志が執筆活動を諦めかけた頃、函館の職業訓練校にて過ごした自身の経験を基に執筆し、生涯最後の芥川賞の候補となった同名小説を、『マイ・バック・ページ』『味園ユニバース』など闇を抱えた人間たちに柔らかな光を与える名手・山下敦弘監督が映像化。キャストは、主人公・白岩役にオダギリジョー、白岩と恋に落ちる女性・聡(さとし)役に蒼井 優、白岩と同じ職業訓練校の生徒・代島役に松田翔太など豪華キャストが出演。ほか脚本に高田亮、音楽に田中拓人、撮影に近藤龍人、照明に藤井勇と国内外で
高く評価された『そこのみにて光輝く』のスタッフ陣が再集結。邦画界を支えるスタッフ・キャストが圧倒的な底力で紡いだ、壊れかけた男と女の愛の物語が誕生しました。
そして本日、ロケ地・函館にて、最速完成披露上映会を行いました!
舞台挨拶には、オダギリジョーさん、蒼井優さん、満島真之介さん、山下敦弘監督が函館市芸術ホールに登場し、われんばかりの歓声で迎えられました!蒼井さんが登壇することは急遽決まり観客には知らされていなかった為、サプライズ登場となり、一層盛り上がりました。
トーク中には、山下組の函館ロケでの思い出話をしたり、満島さんがオダギリさんへの愛を語ったりと、仲の良さが伺えるイベントとなりました。

【日時】 7月12日(火)18:30〜18:50(20分)
【場所】函館市芸術ホール(函館市五稜郭町37-8 )
【ご登壇者】オダギリジョー(40)、蒼井 優(30)、満島真之介(27)、山下敦弘監督

■企画を務めた函館の映画館「シネマアイリス」菅原館長よりご挨拶
昨年今頃に市内のあちこちで撮影しました。今回の「オーバー・フェンス」で、佐藤泰志さんの原作の映画を3本作ることができました。「海炭市叙景」「そこのみにて光輝く」に続いての3本目となります。市民の方々のおかげで映画を作ることができました。今日は全国で初めて、ここで本作をお見せできます。函館でご覧いただけてとても幸せなことです。楽しんでください。

(キャストが登場すると、割れんばかりの歓声が!蒼井優さんは急遽登壇が決定し、知らなかった観客に告げられると、さらなる割れんばかりの歓声が起きました!)

■ご挨拶
オダギリ:こんばんは。(大きな拍手!)こんばんは、と言っただけで拍手をいただけて嬉しいです。函館の方々の温かさと寛容さですよね。函館三部作の最終章に当たる作品なので、みなさまからの期待も感じずにはいられないのですが、きっと、応えることができる作品になったと思います。みんなそう思っていると思います。胸を晴れる作品になったと思います。
蒼井:この作品に携わることができて、とても光栄です。函館は、映画の撮影がしやすい環境だなと思いました。函館のみなさんは、放っておくところは放っておいてくれるし、応援をくれる時はしっかり応援してくださる。とても心地よく撮影ができました。感謝しています。胸を晴れる作品になりました。撮影中は、難しい役でしたし、甘い言葉をいただける現場ではなかったので不安でしたが、自分がどうこうではなくてシーンの中にある空気が物語を進めていく、ということがとても日本映画らしいと思いました。
満島:今日蒼井さんがサプライズで来たことで必要がなくなった満島です(笑)蒼井さんは来られないって聞いていたんですけど、今日の朝に蒼井さんが来るよって聞いて、ちょっと…シュンとしました(笑)会えて嬉しいです。僕は函館がとても好きになりまして、今回、是非連れてって欲しいとお願いしてここに来ることができました。1か月間合宿のようにやっていた。沖縄出身なのでゆかりがない町ですが、何度か函館に足を運び、いいなと思っている中で今回のお話をいただきました。だから撮影がない日もずっと函館で遊んでいました。実は僕、スポーツバカだった高校生の時にオダギリさんの映画を観まして。それがきっかけで、ここの世界に入ることになりました。作品は、「HAZARD」です。初めて買ったDVDと「HAZARD」はオダギリさんの映画で。しかも、その映画でオダギリさんがCDを出したんですが、それも買ったんですよ!
オダギリ:本当に?なんで言わなかったの?
満島:言いましたよ!それで函館で「HAZARD」にサインしていただいたんですよ。僕これまでサインしてもらったことなくて、だから今日は函館でオダギリさんと2人で舞台挨拶ができるとわかってすっごく嬉しかった。でも蒼井さんが来て、正直ステージに出て行きづらかった(笑)とにかく、楽しくやってました。
監督:一般の方にご覧いただける初めての機会です。胸をはれる、自信のある作品になったし、濃密です。

■やっと完成披露上映会ですね。
監督:ちょうど一年前に撮影して、過酷なスケジュールでしたが、函館の方には本当に協力いただきました。ようやく完成したな、と思います。今日観てもらった方々には、各々何かを感じてもらえたらいいなと思います。いろんな切り口のある映画なんです。白岩と聡の物語だけど、みんなが主役の映画です。役者たちがスゴイ芝居をしています。俳優たちの芝居を浴びて帰ってくださいね。

■函館での山下組の雰囲気?
オダギリ:山下監督と僕は同い年なんですよ。40歳になりましたが、この映画は30代の最後の作品です。20代の頃に山下監督と作っていたら、こうはならなかったと思うし、お互いに何十年かこの映画の世界で生き抜いて、結果今40歳で出会った。今の自分だから醸し出るものを、今の監督だからたくさん切り取ってもらえたと思います。同い年だから伝わるところ、同じように感じるところもあったと思う。それがこの作品だったことが嬉しいです。蒼井さんとのやりとりも、全く計算を通り越した不思議な、とんでもないシーンができました。役者をやってきて、出せてなかったものがたくさん詰まっているし、蒼井さんとのシーンもそう。蒼井さんじなかったらこうはなっていない。30代を締めくくる記念すべき作品になりました。
蒼井:山下監督とは以前にドラマでご一緒しましたが、映画は初めて。オダギリさんとは「蟲師」でご一緒しましたが、お互いに人見知りが激しすぎてほとんど話さなかった。2人だけで控室っていう時間があったんですが、地獄のような時間でし(笑)オダギリさんに嫌われてるんだろうな、って思った
オダギリ:嫌ってなかったんですよ!
蒼井:今回もうまくいかないかなって不安だったけど、松田翔太さんとか満島さんがいて、何度も飲みに誘ってくれて仲良くなりました。監督は…飲んでる時の安心感と、現場での放任主義で、なかなか難しかった。いつもOKの時の監督の感じをみて、点と点をつないでいく作業をしていくのですが、今回は点が見えなかった。
監督:僕も迷っているんです

■時間がないので、では…。函館の方言についてお聞きできますか?
満島:みんなよく練習してました。みんなでざっくばらんに話して。方言は微妙なニュアンスが難しいんだろうなと思っていたんですが、今日こうして函館の方にご覧いただいて、どう思うかな?って思ってます。
蒼井:方言、難しかったですね。方言指導の方に細かく教えていただいたんですけど、どうしても感情が先行すると、訛りを間違えたりして。でも、函館の訛りはかわいいですよね。

■締めのご挨拶
監督:監督って下心があるんですよ。自分の演出をどう見られたいとか、かっこつけたいとか。でも今回はそういうことが通用しなかった。ストレートに作り上げた映画です。みんなが主役と先ほどお伝えしましたが、スタッフもプロデューサーも一丸となった。みんなでフルスイングしたら、思いがけない力が出た映画です。自分の監督作品ですが、今まで感じたことのない距離感が生まれました。オダギリさんのフルスイングも楽しんでください。今日はありがとうございました。