この度、『ソウ』『インシディアス』で知られるホラー映画界の寵児ジェイムズ・ワン監督による傑作ホラーシリーズ第二弾『死霊館 エンフィールド事件』が、7月9日(土)より新宿ピカデリーほかにて公開いたします!!

『死霊館 エンフィールド事件』の公開を記念し、前夜祭イベントの実施が決定いたしました!その名も「その恐怖、実話につき・・・戦慄の“ワン”ナイト」。上映作品は、米ロードアイランド州で実際に起きた実話恐怖事件をもとにし、全世界で350億円超えの大ヒットを記録した前作『死霊館』、そして英エンフィールドで起きた実話をもとにし、6/10の全米公開時には週末オープニング成績でぶっち切りの1位に躍り出た、シリーズ最新作『死霊館 エンフィールド事件』。ホラーマスター ジェイムズ・ワン監督がもたらす恐怖をこれでもかと味わえる初夏の一夜です。
本日は、「ぼっけえ、きょうてえ」で第6回日本ホラー小説大賞を受賞した作家の岩井志麻子さん、デザイナーでありライターの高橋ヨシキさんを招いてのトークイベントを行いました。“恐怖”を知り尽くしたゲストが本作の魅力を語り尽くし、観客も大いに盛り上がりました。

【その恐怖、実話につき・・・戦慄の“ワン”ナイト】
◆日時:7月8日(金)21:05〜21:35トークショー
◆登壇者:岩井志麻子さん、高橋ヨシキさん
◆場所:新宿ピカデリー シアター9 (新宿区新宿3丁目15番15号 )
◆上映時間:19:00〜『死霊館』上映/ 21:05〜21:35トークイベント/21:35〜『死霊館 エンフィールド事件』上映/
23:49上映終了

【イベントの様子】
岩井:たった一人で試写室で見たんですよ。でも霊感がないので、何も起きなかったです。
高橋:僕も一人でした。ホラー観てビクッてなるので、誰かが隣にいる時にそれがバレると恥ずかしいからどう隠そう、と思って毎回見ているんですが、今回は一人で見たのでバレなくて良かったです。

MC:まずは感想をお聞かせください。
高橋:僕は前作『死霊館』も好きなんですけど、今回の『死霊館 エンフィールド事件』の方が断然楽しめました。大体同じようなことをどちらでもしていますが、手法が洗練されているので2の方が良いと思います。明らかにうまくなっているし、派手になっている。
岩井:私はどちらもですが、しみじみと一番面白いのはスタンダード!と思いました。奇をてらったものより、定番のモノのほうが面白い。歌舞伎みたいですね。エロいものだって、スタンダードな方が根強い人気ですよね。奥様は宇宙人みたいなのより未亡人のほうがグッとくる。新作だけど,古典の良さというものを実感しました。
高橋:ちょっと歌舞伎っぽいところありますもんね。来た来た!みたいな。
岩井:そうそう、吉本新喜劇みたいな感じ。パソコンやスマホがない時代の怖さってこうだよね、と思える。
高橋:暗い部屋が嫌だ、みたいな感覚ですよね。

MC:岩井さんは気になった点があったそうですが…
岩井:アメリカ人とか西洋の人にはキリスト教が根底にある。でも私はキリスト教ではないので、心底から震え上がらせるのとは少し違う。だからこそエンタメとして楽しめる。例えば私が祓われるとして聖水と十字架を持った人が私のもとに来ても、簡単に帰れ、って言えそう。坊さんが来た方がよっぽど怖い感じがしますね。それがマイナスになっているわけではなくて、だからこそ楽しめる、という感じですよ。
高橋:キリスト教も同じだと思いますよ。アメリカ人だってアトラクション感覚で楽しんでいると思う。悪霊退散、って言われて怖いと思ってる人は頭のおかしい人くらいでしょうね(笑)

MC:そうすると、邦画よりも洋画のほうが怖いと思います?
岩井:恨みの湿度が違うというかね。死霊館が好きなポイントは、暴力的じゃないとうところ。チェーンソーを持って変な仮面をつけて追いかけ回すものより、何かがいる感じとか、何かが写っている?っていう感じなんかが怖いと思う。
私は岡山の田舎の子供で、代々農家なので、家が古くて大きいんです。自分の先祖以外は代々誰も住んでいない。例え霊がいてもそれは先祖ですよ。田舎の家は中が怖いんです。縁の下とか、納戸とか離れとか、トイレやお風呂が外にあるんですよね。そういうのが怖い。東京に来て、マンションの中って明るくて全然怖くないと思いました。全然怖くない家、というのが衝撃だったんですよ。もし東京のマンションの中で育っていたら、私はこういう風には育っていないと思う。あの家こそが私を作ったと思いますね。

高橋:そういえば「死霊館」に出てくる家はただでさえめちゃくちゃ広いのに、壁の向こうにさらに空間があったりして、ただただ羨ましい気持ちで見ちゃいますよ。
岩井:4畳半とかじゃないもんね。

MC:悪魔という概念は幽霊とは違う?
高橋:幽霊と悪魔の違いは 『〜エンフィールド事件』でわりと明確にしていますね。「死霊館」と「インシディアス」はオールド・ファッションというか昔からいる悪魔っぽい感じでやっていますね。ヤギっぽいというか。何だか伝統芸能ぽい。でも古典を本気で表現するとバカッぽくなるんですよ。そこの演出はうまく研究していると思いますね。
岩井:虎の皮のパンツ履いた鬼が出てきたら笑っちゃうみたいなね。
高橋:妖怪もいたら、可愛い。

MC:今日は何かアイテムを持ってきていただいたんですよね?
高橋:以前、魔女の洞窟と言われるところに言った時に、そこにある石は絶対に持って帰るな、と言われたのに、持って帰ってきちゃった人がいて。で、何かのイベントで、お客さんにあげたことがありまして。それは僕がずっと「欲しい欲しい」と言ってたものなんですね。でもある日、映画秘宝に送り返されてきた。その石を手にしてから、いいことがないって。死にそうになったり、不幸の連続になったと。それで、僕がもらったんです。でも特に悪いことはないですね。だから、石にマジックで顔をかいて家に飾ってます。もうひとつが、ケニアに言った時に手に入れたブードゥー教の呪い人形。一番悪そうな奴をくれっていったら、これだけは売れないって。国外に持ちださないでと言われたものを無理やり買ったものです。
「死霊館」に呪われたものを集めた博物館が出てくるじゃないですか、あれが羨ましくて!ああいうのやりたい。
岩井:平山夢明さんは富士の樹海によくキャンプに行って、いろいろ持って帰ってくる。藁人形とか。樹海に藁人形っていうのも不思議ですけどね。だって藁人形なら神社でしょ。よく見たら心臓のところに釘がいっぱい打ち込んであった。それをある日、後輩のギンティ小林さんにあげたらしいんですよ。で、ギンティさんが旅行に行く時に空港に持って行ったら、金属探知機に引っかからなかったらしい。ついていきたい、っていう思いなのかもしれないですよ。
そういえば秋葉原にポルノグッズのビルがあって、そこのHPで連載することになったんですよ。で、毎月アダルトグッズが送られてくる。ある日ちょうどベトナムに行くタイミングでドカンとバイブが来たんです。おいていこうとしたら、持って行って試してくれと言われて。さすがに嫌ですよ!空港で手荷物チェックされた時にバイブが動いてたら恥ずかしいですからね!

MC:よくラテン語で悪魔祓いをしていますが、他の映画にも出てくるが、なぜラテン語なのでしょう?
高橋:伝統的にラテン語でやるんですよ。日本でお経を聞いているのと一緒で、言葉が分からないからこそありがたい、みたいな文化です。昔からある教会の力です、っていうのを示すのにラテン語なんです。口語のお経が効かない気がする、という感じですね。

■お客さんからの質問① オマージュがたくさんありましたが、『〜エンフィールド事件』ではいかがですか?
高橋:昔のホラー映画をたくさん研究しているのでいろいろありましたが、前作の最後がアミティヴィル事件の連絡があるところで終わったんですけど、それを踏まえて『〜エンフィールド事件』を見ると、冒頭で「アッ!」っていうシーンが入っているので、そこをお楽しみに!

■お客さんからの質問② 僕は学生で映画監督を目指しているんですが、悪魔祓いの映画が好きなので、オススメの悪魔祓いの映画を教えてください!
高橋:「エクソシスト」ですね。2も3も好きですが、3がいいです。悪魔が勝ちそうな感じがします。悪魔って常に負け通しですからね。

岩井:悪魔ってそこまで恐怖の対象にならない上に映画に出てくる悪魔ってしょぼい。『エクソシスト』も『ポルターガイスト』も、普通の家のかわいい女の子に取り付く。なんで大国の大統領とか官僚みたいな偉い人に取り付かないのかな?と思ってまして。もっと規模が大きくなるし、地球を滅ぼしたりできるのに、って。平凡な子にとりつくなんて、悪魔って案外チンピラか?と思う。それを高橋克彦先生に伺ったことがあるんですよ。そしたら、「取り憑いたかどうか分からないじゃないですか」って言われて。「普通のかわいい女の子に取り付くから面白い」と言われた。マツコさんが5キロ太っても分からない、みたいなことですよね。
高橋:ヒステリーな人にとりついてもわからん。ってことですね。『エクソシスト』の元ネタの事件では、取り憑かれたのは少年なんですよ。大体ポルターガイストものはローティーンの少女に取り憑くことが多いですね。
岩井:モスキート音というか、10代の子にしか聞けない音がありますよね。だから10代にしか感じ取れない世界があるんだなと思いましたね。
高橋:思春期の頃というかね。僕も10代の頃は混乱していて全然覚えていないんですよね。