本日、大正時代、日本初のポップアーティスト竹久夢二の実像に迫った映画『夢二〜愛のとばしり』の完成披露試写会が都内、イオンシネマ板橋にて行われ、舞台挨拶には本作で映画初主演を果たした駿河太郎はじめとする豪華な顔ぶれが登壇いたしました。
舞台挨拶終盤では、初主演を祝うサプライズケーキが登場し、海外の映画祭で見事主演男優賞を勝ちとった駿河太郎の俳優人生一度きりの初主演を祝福しました。

【日 時】 7月6日(水)
【場 所】 イオンシネマ板橋
【登壇者】 駿河太郎、小宮有紗、加藤雅也/宮野ケイジ監督/原作者・野村桔梗/主題歌・mayo(岡本真夜)
【MC】  田野辺実鈴

≪完成披露舞台挨拶レポート≫※敬称略

駿河太郎という役者が主演を演じるという時がくるとは思っていませんでした!

本作で映画初主演を果たした駿河太郎、ヒロイン彦乃を演じた小宮有紗、彦乃の父を演じた加藤雅也、原作者の野村桔梗、主題歌を担当したピアニストmayo、そして本作の監督・宮野ケイジが顔を揃えての登壇となった。

冒頭の挨拶では本日初めて一般の来場者へのお披露目の日となり、それぞれの思いを胸に灌漑深い面もちで全員が来場者への御礼を述べた。

まずは本作で海外の映画祭「Japan Film Festival LA 2015」で見事、最優秀主演男優賞を受賞した駿河太郎に今の気持ちを尋ねると「作品自体もグランプリを受賞しているので、今からの公開が非常に楽しみです。まさか初主演作で、このような賞をいただけるとは全く考えてもいなかったので、素直に僕を主演に起用してくださった監督含め、作品に関わってくださった皆さんに心より感謝しております。」と感謝の意を述べた。
次の話題は、本作が描く男・夢二の本質。多数の女性との恋愛を繰り広げる夢二を演じた駿河に、男としての共感度を尋ねてみた。「さすがにここで共感するとは言えないでしょう。」と笑顔を見せ、「女性に限らず、監督といろいろと話をし、夢二というのは変化を受け入れられない男だったんだろうなと思いました。彼の苦悩や葛藤は、夢と現実の間で苦悩する男だったんだろうなと思いながら演じていました。でも僕は、共感できないです。(笑)夢二に入っていくまでには時間がかかりましたが、誰にでもあると思いますが、自分がやりたいことと人に求められることの違い、それに対する葛藤というところに共通点を見出しながら演じました。」

次に、夢二が最も愛した女性として登場する彦乃を体当たりの演技で演じた小宮有紗に彦乃への印象を尋ねた。「彦乃はとても純粋で真っすぐな女性だなと思いました。」現場での駿河の印象については、「優しかったです。たくさんアドバイスをいただきました。」と答えた。その答えを受け駿河は「僕の方が助けられました。妻役の黒谷さんとはほとんど話すことがなかったんですが、一方、有紗はいつも横にいてくれたのでとても助けられました。拠り所として僕が甘えていただけですが。(笑)」と、現場での黒谷との緊迫感と小宮との柔和なムード感について語ってくれた。そして最後に小宮について「度胸があるなと思いました。」と付け加えた。
一方愛し合う2人を引き裂く父親を演じ、その存在感で物語の山場を作り上げた加藤は「本当に太郎ちゃんが女たらしで、、、笑」といきなり夢二と駿河を混同したギャグで会場を沸かせた。「太郎ちゃんじゃなく夢二がね。こんな男性に引っかかれば父親は必死になって食い止めようとしますが、いつも娘が横にいるわけです。娘の気持ちを思いながら2人を引き裂く父というのは、演じていて難しかったですね。」と役作りについて語り、芸術家としての夢二についての印象を尋ねると「女性との関係の中で、女性を知ることによって、女性の感情を含めて描きたいということだったと思います。現代ではモラルが強くなって、あれはダメこれはダメという中で生まれる芸術ではないものが、この時代にはあったように思います。」と語った。そしてなかなか父親役を演じる機会のない加藤は、今回の役の外見にも拘っていたことを明かしてくれた。

原作者の野村桔梗は、「私の小説を美的に芸術的に、更に文学的に昇華させてくれたことに感激いたしました。そしてこの作品は美しいのですがリアリズム、人間臭いところがあります。リアリズムとはグロテスクなもので、私のモットーはグロテスク・リアリズムをどう表現していくかということなのですが、そこを美しい映像にしてくださったことに感謝しております。」と映像化への気持ちを述べた。

そして本作に楽曲を提供したピアニストmayo(岡本真夜)に主題歌「always love you」の誕生秘話を聞いてみると「もともとストックの中にあった曲です。作った時は、もちろん自分の一番いとおしい人を思い浮かべながら聞いてほしいなと思いながら作った曲です。その曲を監督が気に入ってくださって今回参加させていただきました。そして映画を拝見して、改めて映画の雰囲気に合わせてアレンジしています。」と起用までの経緯を語ってくれた。

宮野監督には本作への思いについて「カメラマンの方とも非常にフィーリングがあいました。1枚絵として、どれだけシネスコサイズの隅々まで拘れるかを考えていました。そして、これまで巨匠の皆さんが描いてきた竹久夢二を描くにあたり、これまでとは違うものを描かないと意味がないなと思いました。画家ではあるけれど、夢二は詩人になりたかったけどなれなかったという劣等感やコンプレックスを抱えた芸術家だったんです。そんな夢二に翻弄される女性たちが輝いてきれいになっていく。夢二のダメさが女性たちを美しくしていくという作品にしたいなと思いながら作りました。」と作品への拘りを語った。

舞台挨拶終盤では、駿河太郎だけが知らなかった<夢二オリジナルケーキ>がサプライズで登場。ケーキの上にのった夢二のフィギアに「目が離れて、垂れてるところが似てる!」と第一印象を述べた。

ケーキを前に初主演映画のヒットを願い、加藤雅也音頭による1本締めが行われ、最後は主演・駿河太郎の言葉で締めくくられた。
「駿河太郎という役者が主演を演じるという時がくるとは思っていませんでした。僕を抜擢してくれた監督、本当にありがとうございます。そして関わってくれたスタッフにはずっと思っていたことがあります。映画を愛しているスタッフが集まって、作った作品です。決して派手な作品ではなく、エンタメ性というよりはメッセージ性だったりアート性の強い作品だと思いますが、日本の色気のある良き時代を切り取っている作品だと思います。海外の映画祭でも評価されて、僕の自信にもつながりました。ここから、この作品がどのように皆様に伝わっていくのか楽しみです。本日は本当にありがとうございました。」