人は忘れる生き物である。そしてまた、人は忘れない生き物でもある。
1995年1月 阪神淡路大震災。
神戸市兵庫区は甚大な被害を受けた地区の一つだ。
あれから20年、いまだ震災前の人口は戻らず、高齢化はさらに進んだ。
「一面の焼け野原、震災は戦災と同じやった」そう語る人もいる。
彼らは過去を生きているのではない。今ここを生きている。

シニアが主役のファッションショーを捉えたドキュメンタリー映画『神様たちの街』。
初日舞台挨拶が行われた。

【日時】
7/2(土) 11:40回 上映後
【ゲスト】
見寺貞子さん(ファッションショー監修、神戸芸術工科大学教授) 田中幸夫監督

田中幸夫監督
「本作で華やかなファッションショーの舞台に立った45名のうち、お二人が今年お亡くなりになりました。高齢者の宿命です。でも、人生最後の晴舞台を映像に残しピンピンコロリを体現した将に大往生でした。オシャレは心と体のビタミン剤。死ぬまで生きる。オシャレすることは生きる情熱そのものなのだと思います」

見寺貞子教授
「以前は大学で高齢者ファションの講義をすると『本道ではない。ファションは若者の為のものだ』と抗議されました。が、今は高齢者が主役の時代。これは有史以来はじめてのことだと思います。いろんな意味で変容する時代に、私が研究実践するユニバーサルファッションが、どのように対処し、どんな役割ができるか、常に考えています。お会いするのは年に一度ですが、高齢者の方々にとってはショーが安否確認の場である以上に、何よりも自己確認の場なのだと確信しています。『オシャレした自分を見て欲しい!』人に見られる事が長生きの秘訣なのです。予防医学の観点から見ても、コーディネイトを毎日考えることが脳の活性化を促し、総合的な健康維持につながる確率が高くなるという結果も出ています。『寝たきりゼロの十か条』その5条『オシャレをして生活にメリハリをつけ、活動的な生活をしましょう』とあります。元気になると介護保険も確実に軽減されます。21世紀はユニバーサルファッションの時代。オシャレを通して高齢者と若者のコミュニケーションが生まれたら嬉しいですね。近い将来シニア世代が若者たちのファッションリーダーになる・・・これは夢、絵空事ではないと思っています」