綾野剛主演、日本映画賞を総なめにした『凶悪』の白石和彌監督の待望の最新作『日本で一番悪い奴ら』が全国公開中です。6月22日より開催中のニューヨーク・アジア映画祭ではオープニング作品として上映され、綾野剛がライジング・スター賞を受賞した本作。国外からの絶賛はもちろんのこと、国内からも本作をご覧になった方からは「脱帽!」「白石監督に敬意を表したい」「傑作!」など<日本警察史上最大の不祥事>と呼ばれる実在の事件をもとに最高のエンターテイメント作品を完成させた白石和彌監督への絶賛コメントが多数よせられております。

7月2日(土)〜8日(金)まで白石和彌監督による7日間連続トークイベントを実施。第二弾となる本日7月2日(土)のゲストとして登壇したのは、水色のセクシーなレースワンピースを身にまとった、矢吹春奈。本作では綾野剛演じる諸星を本物の男とみそめて最初の女となった由貴役を演じ、美しく濃厚な濡れ場に初挑戦している。白石監督が矢吹を抜擢した理由は、「諸星が最初は童貞っぽいという設定で、劇中で『いい女を抱けば男の価値が上がる』と意味の分からない条件をあげるのですが(笑)、『いい女』という人が第一条件でした。その条件に適う人がなかなかなくて、矢吹さんのことを思いついて、プロデューサーに話をしたのが始まりでした」というと、矢吹は「嬉しいです」と素直に喜びをあらわにした。その後、矢吹はオーディションを受け、見事由貴役を勝ち取る。「白石監督作品ということもあり、台本を読んですぐにやりたいと思いました。ハードな部分に挑戦するという意味ではチャレンジでした。不安もありましたが、とにかく出演したいと思いました」と語る。

矢吹が撮影に参加したのは撮影が数週間した後で、「スタッフさんとキャストさんのアドレナリンが出すぎていて、テンションが高かったです。こんな現場って存在するんだといい意味でショックでした。撮影が終わったあともしばらく興奮さめやらなかったです」と振り返る。矢吹は「撮影に参加したシーンしか知らなかったので、完成した映画は脚本を読んでいただいたイメージを遥かに超えていました」と本作を初めて見た時の衝撃を言葉にし、「お気に入りのシーンはたくさんある」という中から「諸星が鮫エキスを口に入れて意地を張っているシーンは思わず笑っちゃいました」とあげた。

物語の後半、薬物に手を出してしまう由貴が諸星にビンタをされながら激しい濡れ場が展開されるシーンがあるが、濡れ場はそもそも脚本にはなく、撮影前に白石監督が綾野と相談した結果、急遽濡れ場が追加されたことを明かした。「テスト一回ですぐ本番だったのですが、永遠カットをかけなかった(笑)」と笑う白石監督のブラックの一面が垣間見えた。矢吹は「プライベートでもビンタをうけたことがなく、綾野さんが役に入られていて思いっきりビンタしてくださって、諸星の由貴への愛を感じつつも、DVってこんな感じなのかなって(笑)。諸星は自分から離れてしまったけどやっと戻ってきたことで、諸星を求めてしまうということを思ってしっかりと演じました」と語った。
 白石監督は「男くさい映画のように見えて、矢吹さんはじめ素敵な女優さんたちが映画を彩ってくれています」と冒頭の挨拶で語ったが、本作は諸星と出会う女性はとても印象的。白石監督は「男・諸星の写し鏡になってほしいと思っていました。もしかすると出演者全員なのかもしれないのですが。イケイケのときは矢吹さんのような美しくかっこいい目線が上のいい女、エースのときは署内で一番のエースに対応できる女、落ちた時は場末のスナックの女、と役割のなかで翻弄されるだけじゃなくて強さがほしいなと」と、もくろみをあったという。

 濡れ場以外にも本作は映像業界に挑戦状を叩きつけるような描写が数々映し出される。「最近の映画は緩い!誰かがやらなければと思っていました。例えば、トルコ風呂のシーンも切ろうと思えば切れるシーンなのですが、僕が観たい映画はこういうシーンがたくさんある映画なんです。なので、そういうシーンもないといけないと思っていて」と言い、続けて「表現として当たり前のことをストレートに純粋に作品の中に表現したいという思いしかないです。(表現が規制されることに)良しとするクリエイターは誰もいないと思うんです。もうちょっと頑張んないというメッセージを込めてインモラルなことをできるだけやろうと思っていました」と白石監督が本作に込めた思いを述べた。

最後に、白石監督は「熱量のある面白い映画になったかなと思っていて、日本映画全体が盛り上がればいいなと思っているので、ぜひ映画を見てほしいです」、矢吹は「周りの方に進めていただければ嬉しいです」とコメントし、イベントは終了した。