本日 7 月 1 日(金)に映画『ハリウッドがひれ伏した銀行マン』(7 月 16 日公開)の銀行マン限定特別試写会が開催されました。上映前には、現アークエンタテインメント・元へラルド映画国際担当取締役の坂上直行氏と映画ジャーナリストの鈴木元氏が登壇し、20 世紀後半のハリウッドでアフマンが築き上げてきた映画出資システム“プリセールス”について語るトークイベントが行われました。

【開催日】7 月 1 日(金)19:00
【開催場所】神楽座(千代田区富士見 2-13-12 KADOKAWA 富士見ビル1F)
【登壇者】坂上直行(アークエンタテインメント/66)、鈴木元(映画ジャーナリスト/49)

本イベントは、元日本ヘラルド映画国際担当取締役/現アークエンタテインメントの坂上直行氏、映画ジャーナリストの鈴木元氏が登壇いたしました。坂上氏はアフマン氏との出会いと交流、銀行の融資と映画ビジネスのシステムを比較しながら【プリセールス】についてかみ砕き、そこに鈴木氏が質問を投げかける形でフリートークを行いました。

まずは鈴木氏にアフマンとの出会いを聞かれると、坂上氏「1980年、アフマンがサポートした『恋人たちの予感』を買い付けた出会い時が最初で、それからは日本でのパーティーに招待したり、商談の場で会っていた」と語った。鈴木氏は映画関係者以外には理解が難しい映画の買い付けについて、メジャーとインディペンデントの違いについて解説した。加えて坂上氏「アフマンがプリセールスを始めた1975、6年頃は、私がヘラルドに入社して1、2年の頃。エンターテインメントの大作は監督、出演予定の役者が書かれた1,2枚の企画書を見て、決めなきゃならない大雑把なセールスの時代だった。」と振り返った。坂上氏は映画の買い付けを不動産の融資に例えながら「プリセールスは分譲マンションを建てる前に売ってしまおうというようなもの。しかし、マンションは永遠ではないが、映画は残るもの」と熱く語った。そして続けて鈴木氏が具体的なお金の動きについて質問。坂上氏は「1980年代ハリウッド全盛期においては、エンターテインメント作品の場合、製作費の10%から15%が日本の買い付け額だった。50億の製作費だと5億から8億くらい。これが日本の平均的割合だった。北米を除くと世界で1、2位を争う日本へ、海外のセラーはこぞって売り込みをかけてきた。ヒットの可能性が高い作品は日本の配給会社同士で争奪戦だった」と語った。そして鈴木氏は世界の有名な映画祭を挙げ「カンヌ映画祭などの華やかな世界の裏側はどうなっているのか?」との質問に坂上氏は「カンヌ映画祭のような一見華やかな映画祭も裏では賞レースに躍起する人たち、映画をできるだけ高く売りたい人たち、そしてなるべく安く買いたい人たち。映画人たちの魑魅魍魎な縮図が展開されていた。しかしその中にいると映画に関われていことを実感できた、それが喜びだった」と語った。

そして鈴木氏は「映画ビジネスにおける完成保証制度はアメリカ独特でやはり銀行の融資は不可欠である。」とアフマンの作ったプリセールスの意義を示すと、最後に坂上氏は「アフマンは映画をビジネスとして捉え融資のシステムを具現化した人物。映画はビジネスになるようなロマンであり、本作を観て、日本においても様々な作品に触れ興味をもって、”日本のアフマン”が生まれてほしい」と日本における映画ビジネスと銀行の融資の可能性、展望について熱く語り、本作の魅力を PR した。