『機動戦士ガンダム サンダーボルト』は、太田垣康男(小学館「ビッグコミックスペリオール」にて連載中)が手掛ける累計発行部数200万部を誇る大ヒットコミックスを、「機動戦士ガンダムUC(ユニコーン)」を手掛けたサンライズ第1スタジオが描くファン待望の「ガンダム」シリーズ最新作。2015年12月より有料配信中の『機動戦士ガンダム サンダーボルト』全4話に新作カットを加えたディレクターズカット版『機動戦士ガンダム サンダーボルト DECEMBER SKY』が6月25日(土)より全国15館にてイベント上映(2週間限定)致します。

この度、『機動戦士ガンダム サンダーボルト DECEMBER SKY』の前夜祭舞台挨拶を行ました。当日は、本作の監督を務めた松尾衡さん、漫画原作の著者である太田垣康男先生、音楽を担当したジャズ・ミュージシャン菊地成孔さん、プロデューサーを務めた小形尚弘さんが登壇し、ここでしか聞けない「サンダーボルト」の製作の裏話を。

◆日  程: 6月24日(金) 
◆場  所: 新宿ピカデリー スクリーン1(新宿区新宿3丁目15-15)
◆登壇:松尾衡(監督)、太田垣康男(漫画原作)、菊地成孔(音楽)、小形尚弘(プロデューサー) 

松尾:
今日はずいぶん高いお金を払ってきて下さったそうで、本当にありがとうございます。楽しんでいただけたらありがたいことです。
(前日に菊地のブルーノートイベントがあり)先にあれを観ていたら頼むのを躊躇するぐらいすごくて、帰りのタクシーで小形と我々、厚顔無恥で菊地さんに頼んで良かったなと、話していましたね。敷居高かったですね(笑)
(音楽について)漫画原作ではコルトレーンでと言われて、これで戦闘シーンはどうしようとかなり不安だったんですが、菊池さんにいろんな曲を聴かせていただき、これなら戦闘シーンいけるなと思いましたね。音楽にぴったり合わせた編集っていうのは考えてませんでしたが、何となく聞かせてもらったときのテンポ感だけは頭に入れておいて、戦闘の切り替えしだけじゃなくて、爆発やビームを打つタイミングとか、そのテンポ感みたいなものでカットを切っていくようにしていけば、いくつか合ってくれるんじゃないだろうかと、それを手がかりでやっていましたね。実際、菊地さんの音楽の収録に立ち会わせて頂いたときに、最初に聴いたイメージとは離れていなかったので、その後の編集とかも非常に助かりましたね。
(最後に)夜遅い時間に本当にありがとうございます。雨がぽつぽつと降っていますので皆さんお気をつけて帰ってくださいね。僕は飲んでから帰りますが、皆さんはまっすぐ帰ってください(笑) 僕は音楽よりもタバコとお酒が必要です(笑) 第一スタジオでは今でも、ベランダでタバコを吸っております。なんとか喫煙室を作って頂くためにも、皆さんの応援が必要です!今日は本当にありがとうございました。

太田垣:
皆さんようこそお越しいただきました。本作はいかがでしたか?(会場より拍手)わ〜超嬉しいな!今日はよろしくお願いします。
エンディング5分は(挨拶準備のため)観れなかったので悔しいですけど(笑)
(上映してみて)全く想像していなかったですね。想像の域を越えているので、みていて一人で感動してウルウルしていました。昔から映画ファンだったので、漫画の勉強をするために映画をたくさんみていて、まさか自分で考えた物語がこんな大きなスクリーンにで上映される日が来るなんて、夢にも思ってなかったので、今日は家に帰っていいお酒が飲めますね(笑)
(漫画原作の音楽について)ガンダムの漫画を描くときに、戦闘シーンがメインになりますので、キャラクターの心情とかセリフで言えないので、その代わりに歌詞や曲が流れている雰囲気で心情を表現しようと思ったんですよ。音楽に対しては疎いですが、ジャズとポップスを主人公にあててキャラクターのすみわけを最初に考えましたね。
(音楽と戦争について)菊地さんほど詳しくありませんが、戦争には音楽が欠かせないものだと思いますね。恐らく自分が戦場に行ったときに音楽を聞いてないと、自分の心が持たないだろうなっていう意識はありました。
(最後に)これで続きがないのは絶対おかしいですよね(笑) そうは言ってもファンの皆様の後押しがなければ我々が作りたくても実現しません。ですのでみんなでこの祭りを、さらに広げていくために、応援よろしくお願い致します。本日はありがとうございました。

菊地:
英国がEUを離脱して、風雲急を告げる世界情勢ですけども戦争のリアリティは我々がガキの頃に比べたらだいぶ高まっている世の中で、ガンダムをみるっていうのはなかなか変わった気分なんですが、とても今回は楽しく仕事をやらせていただき、本当にスタッフの皆さんにも感謝しておりますし、劇場にいらしてくれた皆さんにも感謝しております。ありがとうございます。
(ガンダムの仕事をして)クールジャパンを一切嗜みませんので、アニメ、漫画、ゲーム、SNSもやりませんし、だからと言って、ゴルフもやりませんし、車にも乗りません(笑) ただ音楽やっている人間なんですよ。以前「ルパン三世」という国民的アニメのスピンオフ作品の話が来たときは、ものすごいびっくりしたんですよね。アニメはテレビで「ど根性ガエル」を観ていた時が最後なので、それ以降全く観ていなかったし、まさかなんで俺にアニメの仕事なんか来るんだろうって思っていたんですが、よくよく考えたら「ルパン三世」ってジャズベースなので、そういうことかと仕事したんですが、それから数年たって「ガンダム」って話がきて、ガンダムは域いくらなんでもジャズベースじゃないだろうって思って(笑) でも驚いたのは一瞬で、おそらく作品の設定でジャズが必要だから指名が来たのだろうと、それで先生の漫画を読ませていただき、なるほどなと引き受けさせていただきました。
(前日のブルーノートイベントについて)昨日はサンダーボルトオリジナルサウンドトラック(以下:OST)のリリース記念で、サンダーボルトは普通の劇伴がありませんので、主人公の二人が聞いている曲を完全再現しているのがOSTになっていて、それをフルで聞かせるっていうのを昨日ブルーノートでやりました。
(漫画原作の音楽について)ジャズ業界は本当にクールジャパンと触れる機会が少なくて、普通にジャズのアルバムを作ったときに比べて200倍くらいの取材が入るんですよ(笑) 色んな取材で同じ話をしているので、すでに皆さんは読んだりしているかもしれませんが、実際に太田垣先生が描かれている通り、漫画は音がしないので、ちゃんと実在の曲を使うことでリアリティを生んでいるんだなと思いました。ただ、その激しい戦闘に優しいジャズは似合わないじゃないのかなと思って、打ち合わせの時にポップスはこのまま生かして、ジャズは漫画原作にある曲はやめて、フリージャズっていう戦闘に合う凶暴なジャズで行きましょうと提案させていただきました。なので、ここで演奏されている曲はジャズファンの中では、ピンとくる5.60年代のフリージャズのギミックになっていますね。
(音楽と戦争について)実際の戦争などでも兵隊たちが耳にイヤホンして音楽聞いて戦っている。すべての兵隊は音楽を聞いてないと戦争なんかやってられないし、その音楽っていうのは場合によっては、アメリカみたいな強国ですら敗戦か戦勝かを分ける力をもったものだということをサンダーボルトは描いていると思いましたね。最初は漠然としたイメージですけど、素敵な主人公が出てきて、いい感じに戦って、マニアじゃないとわからない人間関係があって終わっていくと思っていたんですけど(笑) サンダーボルトに関しては、私が昔から思っていた戦争と音楽の問題にガッツリ触れていたので、モチベーションが全然違いましたね。
(最後に)オリジナルサウンドトラックはジャズとポップスになっているんですけど、ガンダムを知らない私のファンの方が買ってくださって、自分で言うのは何ですが、OSTはやばい、やばいの大合唱で完成度が非常に高くなっておりますので、我々音楽家にとってCDを買っていただくというのは生命線になりますので、どうかOSTもよろしくお願いします。

小形:
今日はなんか梅雨らしい天気になってしまいまして、足元の悪いなか、きて頂いてありがとうございます。4人でこれからトークをしていきますので電車が許す限り、楽しんでいっていただければと思います。
今日は写真が解禁ということで、皆さん撮って頂いていいんですが、おっさんしかいないんで(笑)
今日はご覧になって頂いて、まずエンディング部分のタコザクのあたりは皆さんいかがでしたか?(会場拍手)無理やり言わせてるみたいですけどありがとうございます!
本日はありがとうございました。撮って頂いた写真とか、今日の感想は必ず10回くらいはSNS上に挙げて頂いて、何とかお力をお借りできればと思います(笑) 今日来てくださった方たちは一番の味方だと思っていますので、ぜひ最後までご協力お願い致します。