『機動戦士ガンダム サンダーボルト』は、太田垣康男(小学館「ビッグコミックスペリオール」にて連載中)による累計発行部数160万部を誇る大ヒットコミックスを、「機動戦士ガンダムUC(ユニコーン)」を手掛けたサンライズ第1スタジオが描くファン待望の「ガンダム」シリーズ最新作です。2015年12月より有料配信中の『機動戦士ガンダム サンダーボルト』全4話に新作カットを加えたディレクターズカット版『機動戦士ガンダム サンダーボルト DECEMBER SKY』が6月25日(土)より全国15館にて、2週間限定イベント上映致します。

 『機動戦士ガンダム サンダーボルト」の音楽を担当したジャズミュージシャンの菊地成孔が6月23日(木)、ブルーノート東京でソロライブ「NARUYOSHI KIKUCHI Solo Live -Original Sound Track“MOBILE SUIT GUNDAM THUNDERBOLT”-」を開催。チケットは2公演ともソールドアウト。6月に発売されたオリジナル・サウンドトラックの楽曲をレコーディング・メンバーとともに再現したこのライブは、「サンダーボルト」の世界観と菊地が作りだす音楽が融合する、きわめて刺激的な内容となりました。

◆日  程: 6月23日(木) 
◆場  所: ブルーノート東京(東京都港区南青山6-3-16 ライカビル)
◆登  壇:菊地成孔(サックス、他) 大西順子(ピアノ) 伊平友樹(ギター) 西村浩二(トランペット) 永見寿久(ベース) 服部正嗣(ドラムス) ギラ・ジルカ(ヴォーカル) 中沢ノブヨシ(ヴォーカル) 
矢幅歩(ヴォーカル) ICI a.k.a.市川愛(ヴォーカル) 坂本愛江(ヴォーカル) 伊平友樹(ギター)
※敬称略

オープニングは『機動戦士ガンダム サンダーボルト」の戦闘シーンの映像。続いてジャズピアニストの大西順子、セクシーなファルセットボイスを持つシンガー矢幅歩が登場し、憂いを帯びたジャズバラード「年寄りになれば」を披露する。さらに菊地がステージに上がり、「イラク戦争で戦っている兵士たちの耳から紐がぶら下がっており、それが通信機だと思っていたら実はiPodで曲を聞いていた」というエピソードを挙げ、劇伴ではなく、「イオ・フレミング、ダリル・ローレンツが戦闘中に聴いていたiPodの中身を作る」というコンセプトで制作された「サンダーボルト」のサウンドトラックについて説明。「まずはジャズ・サイド。イオ・フレミングのiPodに入っている曲を演奏します」というコメントともに「出撃用」「戦闘中(激戦状態)用」などの鋭利なジャズナンバーを次々と放つ。演奏のテーマは「60年代フリージャズのコスプレ」。「クールジャパンのコンテンツだから、コスプレは似合うと思います」という菊地のコメントからも“ガンダム×フリージャズ”の特性が感じられた。ジャズ・サイドのラストは、ジャズシンガーのギラ・ジルカのボーカルによる「白い部屋」。美しい旋律が会場に響き渡り、会場全体が官能的な空気に包み込まれた。

続いてはダリル・ローレンツのiPodの中身、すなわちオールディーズ・サイドへ。カウガールスタイルで登場した坂本愛江は、アコースティックな手触りの「あたしのカントリー・ソング」、コニー・フランシスを想起させるポップチューン「女の子に戻るとき」を歌唱。さらに中澤ノブヨシが「ただ泣くだけ」「ただ二人だけ」でソウルフルなボーカルを響かせる。菊地自身がボーカルを取る「月のカクテル」も絶品。まずは日本語の歌詞を朗読し、マティーニを片手に披露されたこの曲のロマンティシズムは、ダリル・ローレンツの精神性と軽やかにリンクしていた。
本編の最後はI.C.I aka 市川愛をフィーチャーした「あなたのお相手」。菊地のスタイリングによる、和服をカスタマイズした衣装に身を包んだ市川の横には、菊地、矢幅、中澤、坂本のコーラス隊。揃いの振り付けでモータウン風のナンバーをパフォーマンスし、観客から大きな歓声が起こった。
アンコールは出演者全員による「イエスのガール」。「これからも日本のジャズとコンテンツとしての“サンダーボルト”をよろしくお願いします」という菊地の言葉とともに、この貴重なライブは幕を閉じた。ガンダムとジャズのコラボレーションがブルーノート東京で開催されたのは、もちろん今回が初めて。世界的コンテンツと先鋭的なジャズを同時に体感できる、きわめて貴重なライブとなりました。