フランス代表として本年 度のアカデミー賞外国 語映画賞にノミネートされシネスイ ッチ銀座、YEBISU GARDEN CINEMA ほかにて絶賛公開中の映画 『裸足の季節』。公開を記念して6月19日(日)にYEBISU GARDEN CINEMAにて、コラムニストの山崎まどかさんとライター/少女マンガ研究者のトミヤマユキコさんをお招きし、今までのガ ールズムービーとは一線を画す本作の魅力をたっぷりお話いただきました。おふたりのトークを聞くために駆けつけた満 席の場内で「現代の女性は自分の力で未来を切開くためには誰かを待つのではなく、自分の力で学び取り、身につけることが大事!」と白熱したトークを交わしました!

<開催概要>
日程:6月19日(日)12:40の回上映終了後 12:40 開映 / 上映後イベント 14:30〜15:00
登壇者:山崎まどかさん(コラムニスト)、トミヤマユキコさん(ライター/少女マンガ研究者)
会場:YEBISU GARDEN CINEMA(東京都渋谷区恵比寿4-20-2 恵比寿ガーデンプレイス内)

今年一番の傑作が誕生!
自由を奪われた美しい5人姉妹の甘美でほろ苦い反逆の物語。
本作は、トルコの小さな村を舞台に自由を奪われた美しい5人姉妹の末っ子ラーレが、運命を掴み取るため奮闘する姿を描いた物語。
昨年のカンヌ国際映画祭監督週間を皮切りに世界中を席巻して現在38の賞を受賞。今月11日(土)から公開が始まった日本でも、SNS上で映 画を見た一般の方からも美しくも自身の運命を切り開く少女たちの物語に「映像美に思わず息を飲んでしまった!」
「気付けば自由を求めて疾走する姉妹たちを応援していた。」「今年のベスト決定!」という声も多く、好スタートを切っています!

【イベント内容】
▪映画を見ての感想
山崎まどかさん:素晴らしい作品です!ふんわりとしたビジュアルが印象的な映画だけれども、トルコの状況も踏まえた上で観るとまた違う感慨
がある。保守的な慣習や、女性は物のように扱われる文化の中で、女の子がどう生きて 行くかを切実に描いた「いま」の作品であり、普遍的
なテーマがあった。
トミヤマユキコさん:何度見ても、ラストシーンで主人公がバスの中でまどろむシーンで緊張の糸がほぐれて涙してしまいます。自分自身が
映画のような保守的な環境で育ったわけでもないけれど、女性として生きるしんどさが伝わって、ものすごく共鳴する瞬間がありました。

▪“自分の居場所は自分で作る”
現代の女の子は自分で学んで自分でつかみに行かないと幸せにはなれない!
山崎まどかさん:5人姉妹は自由を手に入れるために、それぞれの方法で戦っていたと思う。赤い靴が象徴的で『オズの魔法使い』のドロシー
も履いていたけど、それは故郷に帰るための靴だった。『裸足の季節』の中で彼女たちが暮らす家は彼女たちの故郷ではない。だから、ラーレは
あの靴を履いて車の運転を学んで、自分の居場所を探すという、いつの時代にも通ずる女の子の生きるテーマが見てとれた。
故郷は生まれ育ったところでなくてもいい、自分で選ぶものなのだ、と思いました。
トミヤマユキコさん:女子が自分の人生を人に決められるのではなく、自分で選び取るというテーマは「はいからさんが通る」でも描かれている
テーマですね。これは『裸足の季節』が好きな方に是非オススメしたい漫画です。少女マンガの世界って昔から「保護者に決められた人生を
選び取らずに自分自身で未来を切り開く話」って名作が多いんです。そういった意味でも『裸足の季節』は日本人に親和性があると思い
ました。5人姉妹の中でラーレだけが、学ぶことを忘れず、脱出をするために知識を身につけることを疎かにしなかった。両親を失い3歳の頃
から、保守的な家で育ってきた彼女が、そういう環境の中で自由に生きることを諦めない姿は本当にすごいと思った。現代のガールズムービー
は『アナと雪の女王』もそうですが、もう王子様に助けられるだけの存在ではなく、自分の力で自立する 物語だと思います!

▪初監督作にしてすみずみまで行き届いた演出をしたエルギュヴェン監督を絶賛!
山崎まどかさん:初監督作品でこれほど演出が行き届 いた作品を撮ったエルギュヴェン監督はすごい!5人の女の子をひとりひとりの個性
を出しながらも、ひとつのチームにさせるってなかなかできない。ソフィア・コッポラ監督の『ヴァージン・スーサイズ』は、 監督自身が成り得ない
存在として5人姉妹を客観的に描いているように見えたけれど、エルギュヴェン監督は自分自身のこととして、監督自身も姉妹のひとりである
ように作品を撮っていて、それが一体感を生み出していた。あと、女対男という単純な構図に限らないのがいいところ。
トミヤマユキコさん:男性が全ての悪と描いていないのはポイントのひとつですね!ラーレたちが家を出ようとするシーンで「行かせてやれよ!」
と言う男性がいたり、トラック運転手の男性がラーレに運転の手ほどきをして協力してくれたりした。
エルギュヴェン監督のエッセイが出れば是非読んでみたい(笑)。どんな言葉を持っているのかライターとして気になりますね!

【山崎まどかさん(コラムニスト)寄稿コメント】
強い瞳の五女ラーレは「未来」である。
彼女たちは諦めず、手を取り合い、本当の自由を探し求めている。
傷つき、故郷や家族を失いながらも、光が差す方向に懸命に走っていく、
その先にはきっと、少女たちの本当の開放がある。

【トミヤマユキコさん(ライター/少女マンガ研究者)寄稿コメント】
出会えてよかった最高の映画。
5 人姉妹のうつくしさと危うさと気高さに打ちのめされ、
気づいた時にはもう泣いていました。