世界最大級のオンラインストリーミングサービスを提供するNetflixは、ついに2016年6月3日(金)より配信スタートしたNetflixオリジナルドラマ「火花」の全世界同時オンラインストリーミングを記念して、約60ヵ国の日本在住外国人約70名を招いた「火花」上映イベントを都内で開催しました。漫才の世界を理解し、NETFLIXオリジナルドラマ「火花」の英語字幕を担当した芸人チャド・マレーンさんと、イマドキの日本の若者を代表するタレント・鈴木奈々さんが登壇し、トークイベントを行いました。

ドラマ「火花」は、第153回芥川賞を受賞、単行本の累計発行部数が250万部を超え、空前の大ヒットを記録した、ピース・又吉直樹の中編小説の実写版。6月3日(金)よりNETFLIXオリジナルドラマ「火花」として、日本はもちろん世界190ヵ国同時で、全10話一挙にストリーミング開始されました。

芥川賞受賞作を原作にしたドラマが、海外ではどのように受けとられるのか大きな注目が集まっている中、トークイベントではチャドさんと鈴木さんがドラマ「火花」で描かれている「漫才文化」「日本の芸能界」、そして主人公徳永と神谷の青春する姿を見ながら「イマドキの日本の若者文化」のリアルな実態を語りました。

外国人はMANZAIを理解できるのか?!
イベントでは、まず「火花」で描かれる漫才についてトークスタート。日本在住の60ヶ国、75名の外国人に「漫才を知っていますか?」と質問したところ、「漫才を知っている」と答えたのはたったの3名のみ。漫才を知らなかった外国人来場者に対しチャドさんは「日本のお笑いにはいろんなジャンルがあり、漫才はそのひとつ。僕が生まれたオーストラリアでは例えコンビで活躍するとしても二人ともボケ役。ツッコミがおらず、見ているオーディエンスが心の中で勝手にツッコむんです。でも日本の漫才だとツッコミがいることでリズムが生まれ、ボケが活かされどこまでも拡げてボケられる。僕は15歳で初来日して日本のお笑い番組を見て日本語を勉強したけど、その日本のボケとツッコミ文化の方が断然面白いと思いました」と日本で活躍するお笑い芸人らしく、漫才文化について冒頭から熱弁。それを聞いた鈴木さんは「え?!海外ではツッコミないんですか?!」と驚いた様子を見せ、「テレビでは、わたしがボケたコメントをするたびに芸人さんのツッコミに助けられているので、ツッコミがなかったら私のキャラは成立しないと思いました」とコメント。チャドさんは「そう、日本のツッコミって愛情なんですよね!」、鈴木さん「そうそう!!」と意気投合。「わたしが“新おバカ女王”と呼ばれて活躍できたのはツッコミのおかげです!」と日本のツッコミ芸に対して鈴木さんは改めて感謝していました。
また「火花」の漫才を翻訳する際の苦労についてチャドさんは「例えば第1話の冒頭で“おっさん?”とツッコムセリフがあったんですが、あれは“おじさん”とか“オッチャン”ではなく、日本語の“おっさん?”だから面白いんです。吹き替えなら声のトーンで面白く表現できるけど、字幕は尺も決まっていて難しい。結局“Old fart”という、直訳すると「古い」「オナラ」・・・スラングで“クゾジジイ”と翻訳したんですが、本当に困りましたわー」と翻訳時の苦労について語りました。

ここがヘンだよ、日本の芸能界!!
続けて、ドラマ「火花」第1話で主人公が熱海の花火大会で漫才を披露したり、牛の着ぐるみ姿でスーパーの販促イベントに勤しんだりする営業活動の様子を描いたVTRを紹介。日本の若手芸人は地道な営業活動を行う点についてチャドさんは「日本らしい!」と一言。また日本の芸能事情に関して「ぼくの地元オーストラリアでは、地方のラジオDJですら高級車を乗り回しているんです。だからオーストラリアより人口も多く、お笑い文化が進んでいる日本はもっとスゴイはずだと思っていたら、ある時レギュラーで冠番組を持っていたペナルティのワッキーさんがボロボロの原チャリでTV局入りしてきたのをみて、すごい悲しかった(涙)」と想像とのギャップについてコメントしました。

先輩は後輩におごる、独特の日本&芸人文化
チャドさん「オーストラリア人は“おごる”なんて貸し借りは作らない!」
鈴木さん「おごられたら惚れちゃいます!その昔、ノブコブの吉村さんにもおごってもらってキュンとしました」
ドラマ「火花」では後輩の徳永には絶対おごらせない先輩の神谷について外国人の反応をうかがったところ、韓国やインドなどのアジア圏を除き約9割の外国人が「先輩が後輩におごる文化がない」と驚きの反応。チャドさんも「例えばオーストラリア人は上下関係が嫌い。人のお世話になるのも嫌で、貸し借りを嫌がるんです。だから外食したら全部割り勘、または今回は払うから次は払ってね、と順番におごりあいます」と文化の違いを説明。先輩後輩のおごり文化について鈴木さんは「おごってくれたら好きになっちゃう!前に平成ノブシコブシの吉村さんがテレビ局でお寿司をおごってくれた時にキュンとしました。今はすごい好きじゃないけど(笑)」と、最近犬猿の仲が噂された吉村さんとのエピソードを明かしてくれました。
また、散々飲んだあと泥酔しながら街中を歩き回る徳永と神谷の2人のシーンを見たチャドさんは「オーストラリアでは、シドニーみたいな大都市でも夜中12時頃になるとお店が閉まっているんです。なぜならみんなが酔っ払うと危ないから夜中の営業が禁止されているんですよ。だから日本はそれだけ平和なんです!街中で夜な夜な飲み歩くなんて文化ないですよ。でも、ドラマ『火花』はこんな何気ない日本の普通の風景が描かれ、それが世界に伝わっていくのが面白いですね」とコメントしました。