公開を直前に控た6月7日(火)、名古屋での舞台挨拶イベントを実施致しました。当日は西島秀俊さんと竹内結子さん、そして黒沢清監督が登壇。撮影当時の思い出や、映画の中で最も気になる存在、“奇妙な隣人・西野”役を演じた香川さんとの共演について等、映画の魅力を語ったほか、甘いものが大好きな西島さん、竹内さんは名古屋のスイーツについて熱く語り、最後は名古屋の名物“菓子まき”で映画の大ヒットを祈願しました!

【日時】 6月7日(火)
【場所】 ミッドランドスクエアシネマ スクリーン1(名古屋市中村区名駅4-7-1 5F)
【登壇者】西島秀俊、竹内結子、黒沢清監督

◆ご挨拶
 いよいよ公開を来週に控えた本日、主演の西島は観客を前に、「名古屋のみなさま、こんばんは! 西島秀俊です。こんなに温かく迎えていただき、また皆さんとお会いできて本当にうれしいです。今日は楽しんでいってください」とあいさつ。竹内は「みんさん、こんばんは。今日はようこそお越しいただきました。わたしは、この作品が本当に大好きです。本作は6月18日(土)より公開になりますが、皆様がこの作品をどう観ていただけるか楽しみでしかたありません。どうぞごゆっくり映画を楽しんでください」と話し、黒沢監督は「本日は、こんなにたくさんお集りいただきありがとうございます。西島秀俊、竹内結子が出演しているから、ちょっと観てみようかなって、お気楽に来た方もいると思いますが、この映画を観るにはちょっとした覚悟が必要かもしれません。この舞台挨拶では、陽気に明るい2人ですが、映画の中ではどんな風に変化していくか……!? 楽しみにしてください」」とあいさつした。

◆名古屋の印象はいかがですか?
西島は「撮影でも、舞台挨拶でも度々来させていただいてますが、 今日は、わらび餅やら、ひつまぶしやら、そして、すごいモンブランをいただきまして、もう太って帰ろうと思ってます」と笑顔で語った。竹内は「今回は、名古屋でしか味わえないわらび餅を美味しくいただきました」と話すと、それを聞いた黒沢監督が「僕は、わらび餅食べてないんですけど……!? 」と驚く。西島・竹内は「えっ!まずいまずい」と焦り、会場の笑いを誘った。黒沢監督が「少しムッとしています」と言うと、西島が「世界の黒沢清監督に、名古屋のわらび餅を食べさせてないなんて…、びっくりしました」と驚き、焦った様子をみせた。

◆原作を映画化する上でこだわったところは?
 黒沢監督が「原作は、とにかく面白いんです。その中の核となる部分を映画では拡大しました。主人公の家と、その近隣で起こる事件が中心になりますので、登場する家をどのように映すか? どう表現するか? けっこう工夫しました。映画を観れば、みなさんもご理解いただけると思いますが、なんでもない普通の家が、物語が進んでいくにしたがって、どのように変貌していくのか? 楽しみにして観ていただければ幸いです」と述べた。

◆今回の役について、演じてみていかがでしたか?
西島が「僕が演じた役は、家庭を顧みない、あまりいい夫とは言えないかもしれません」と話すと、竹内が「いやいや、悪い人ではないんです。ただ、仕事に没頭すると周りが見えなくなるタイプなんですよ」とフォロー。すると西島が「はい、倦怠期の夫婦を演じています」と話、竹内が「私が演じたのは、家庭の事を完璧にこなす大人しい主婦です」と述べた。

◆監督から見た西島秀俊さん、竹内結子さんとは?
 黒沢監督が「西島さんが若い頃に、何度かご一緒させていただきました。僕の中では、西島さんはナイーブな若者といったイメージなんです。最近では、男らしい役もやるし、中年の役もやっているので、この作品でも妻や家族を守ろうとする中年の男を、そして中年の悲哀を表現してくれると思ってお願いしました。でも、会ってみると、見た目は、若者のままなので、大丈夫かな?と心配しました(笑)。出来上がった作品では、期待通りのキャラクターを演じてくれました。竹内結子さんは、前からずっとキャスティングしたい女優さんで、今回はじめてご一緒させていただきました。僕の印象では、積極的でアクティブな役が多かったと思いますが、今回は受け身なキャラクターなんです。さて、どんなお芝居をしていただけるのかと、楽しみにしていたのですが、凄いんです。天才的なんです。あまりに美形なので、そちらに気をとられがちなのですが、本当に演技派なんです。驚きました」が述べた。

◆映画は緊張感みなぎる印象でしたが、現場の雰囲気はどうでしたか?
竹内が「今日の舞台挨拶のように、こういう感じでずっと話をしていましたね」と言うと、西島が「そうそう、今日は居なくて残念ですが、この会話に香川照之さんが加わる感じです」と、共演した香川照之とのエピソードを語った。

◆香川さんはムードメーカーなのですか?
西島が「まぁ、そうですね! だいたい香川さんが喋って、竹内さんが巻き込まれていくっていう…、映画の展開と同じです(笑)」と笑って話すと、竹内も「そうそう、映画はネガティブな展開ですが、ポジティブな感じのトークが止まらないんです」と楽しげに語り、黒沢監督が「僕は現場の段取りで忙しいので、西島さん、竹内さん、香川さんが楽しそうにしている輪には加われませんでした。ハードな演技を要求される現場だからこそ、カメラが回っている時と、回っていない時のONとOFFの切り替えが大事なんだと思います。シリアスなシーンのカットの後に、3人が集まって爆笑しているんです。なにを楽しそうにしているんだろう?って、僕は気になってしょうがなかったです(笑)」と話した。

◆ほかの共演者の方の印象は?
西島が「東出昌大くんは、初めて現場で会った時に『東出くん』って、フレンドリーに接していったのですが、東出くんから『普段は話すんですけど、今回の役はそうもいかないので、今回は、共演者の方々とは話さないようにします』って言われしまい、現場の東出くんは共演者から少し距離をとって、すごく役に集中していました。川口春奈さんは、すごい長ゼリフがあるのですが、テストの段階から完璧でしたね。藤野涼子さんは、初日に自分の出番がないにもかかわらず、勉強熱心にメモしていました。若手の方々は本当に真剣に取り組んでいたと思います」と、東出昌大、川口春奈、藤野涼子との撮影時の思い出を振り返ると、竹内が「わたしも真剣ですよ(笑)」とアピール。すると西島も「いや、僕ももちろん真剣です(笑)。とにかく、若手の方々が集中して頑張っていました」と話した。

◆西島さん、竹内さん、香川さんは何度も共演しているから若手にはないチームワークがあったんですね!
西島が「そうですね、長いですからね」と話すと、竹内が「西島さんは、香川さんとずっとタッグ組まれてますよね!?」と聞き、西島が「タッグ組んでないけど(笑)。香川さんとタッグは組んでないし、「ストロベリーナイト」で竹内さんと共演した方が長いですからね(笑)」と笑みをこぼした。
【『クリーピー 偽りの隣人』大ヒット祈願「菓子まき」タイム】
【MC】名古屋では、結婚式などのお祝い事の時に、近隣に駄菓子を大量に撒いて、それを近所の人が拾いに来るという風習があるんです。タイトルにもあります『隣人』にお菓子を撒いてヒット祈願しようという意図と、「ストロベリーナイト」では、竹内さんが演じる姫川玲子に片思いだった西島さん演じる菊田和男が、本作で見事に夫婦になったという意味も込めまして……」
西島は「僕のためにですか? いや、ありがとう。じゃあ菊田の気持ちになってお菓子を撒きたいと思います」と意気込んだ。

◆それでは「菓子まき」を行いたいと思います。肩の調子はどうですか?
黒沢監督が「いや〜、10年くらい投げてないですからね。昔は投げてたんですけど、ちょっと怖いですね…」と心配な様子を見せると、西島が「いや、後ろの席には届かないんじゃないかな? 」と同調。竹内が「西島さんは、昔鍛えた豪腕なんで大丈夫なんじゃないですか?」と言うと、西島「ほんとに、そういうことばっかり言ってるよね(笑)」と笑った。

【「菓子まき」スタート。 会場にお菓子を投げ込んで盛り上がる】
◆最後の一言メッセージ
黒沢監督が「“クリーピー”という言葉は、英語で気味が悪いという意味です。日本を代表するトップスターたちが勢揃いして、こぞって気味悪さを演じています。腕によりをかけた極上の気味悪さをご堪能ください」と語ると、竹内が「今回、高倉康子という役を演じるにあたり、監督から『康子さんは夢を見ている感じです』というヒントをもらいました。その監督からのヒントを元に最後まで演じたつもりです。映画を観た方から『大興奮の悪夢だった』と言っていただけたら最高だと思います」と願った。最後に、西島が「作品が作品なんで、こんなに舞台挨拶が盛り上がると思っていませんでした。なんか、香川さん連れてくれば良かったなと悔やんでいます(笑)」と香川との舞台挨拶を願うと、竹内も「そうですよね。この場にいたら、全力でタンバリンとか鳴らしていると思います(笑)」と話した。
そして、西島が「いや、これから映画を観ていただくので、この楽しかった舞台挨拶のことは一旦忘れていただいて、この映画の気味悪さを楽しんでいただきたいと思います。こんなに一体感のある舞台挨拶を体験したみなさんは、もう“クリーピー仲間”です。できたら、2度3度、お知り合いの方々も誘って、劇場で“クリーピー体験”を楽しんでください。今日はほんとうにありがとうございました」と挨拶し、イベントは終了した。