実在した⼥性逃亡犯の内⾯を圧倒的リアリティーで再現し、映画賞を総なめにした傑作『顔』から16年。日本演劇界が誇る舞台⼥優、藤山直美と阪本順治監督が再びタッグを組んだ最新作『団地』の初日舞台挨拶が行われ、阪本監督ほか主演の藤山直美さん、岸部一徳さん、大楠道代さん、石橋蓮司さんが登壇しました。

■日時:6月4日(土)
■会場:有楽町スバル座(東京都千代田区有楽町 1 丁目 10 番 1 号 有楽町ビルヂング 2F)
■登壇者:藤山直美(57 歳)、岸部一徳(69 歳)、大楠道代(70 歳)、石橋蓮司(74 歳)、阪本順治監督(57 歳)
MC 荘口彰久

2000 年の映画『顔』でその年の映画賞を多数受賞—阪本順治監督と藤山直美が再びタッグを組んだ『団地』の初日舞台挨拶が行われ、阪本監督、藤山直美、岸部一徳、大楠道代、石橋蓮司が登壇した。

藤山は「(舞台のように)衣装も着ず、台詞も覚えない初日は初めてです。不思議な夢を見て頂けたらうれしいです。」と挨拶。続いて岸部は「午前中に観るのにふさわしい映画です」大楠「斎藤工(さいとう・え)くんはいないけど、老若男⼥、沢山の方々にお越し頂いて嬉しく思います。」石橋「続編、『団地』シリーズができるように応援よろしくお願いします。」とそれぞれ挨拶。
藤山は撮影にあたり、「最初(阪本監督に)ヘアヌードがあります、と言われ、えーっ!と思ったら「部屋でヌードル(麺)を食べるシーンでした。このおっさん何を考えてるか分かりません。」と会場を笑わせると、阪本監督は「前作の時にも変態テインメントと言われてましたね。」と振り返る。

本作について、藤山は「監督の考えていることはよく分かりません。取り扱い説明書がないんですよ。20 代で読んでいたら、3 日間、気失っていました。頭おかしいと思ったんでしょ、姐さん!」と大楠に話を振ると、「さすがにじかには(『監督、どうしちゃったの?』と)言えないから、岸部さんに相談したの。」岸部は「僕もひそかにそう思っていた。だから大楠さんから電話をもらった後、あなた(阪本)から電話しなさいと伝えました。」とその他出演者も次々に述懐。

このエピソードを受け、阪本監督は「(脚本を書いた時)僕はこのくそみたいな業界が嫌になって、石を投げたかった。遠い所に行きたかったんでしょうね(笑)。一人じゃ不安なんで、(出演者の)皆さんを道連れにしました。このメンツだったら怖くないと思った。」と語る。
撮影現場で原田芳雄さんの写真を阪本監督が必ず持っているという話になると、阪本は「原田さんはものすごい晴れ男。(スタッフの)皆も(それを)知っていて雲行きが怪しくなると『監督、そろそろ原田さんお願いします』って言われるんです。それで写真を空にかざすと本当に晴れる。でも1回置いていた写真を助監督が落としたらザーッっと雨が降ったんですよ。石橋さんに『お前、さっき落としたよな!』って言われました。」
「舞台では絶対に会えない諸先輩方との時間は楽しかった。『僕はこんな罪を犯した』『人として外れたことをした』というここでは言えないような話をいっぱい聞いて、勉強になりました」と藤山が岸部へ語りかけ本作同様、夫婦のような掛け合いをみせた。
また、6 月 11 日より開幕となる中国・上海国際映画祭に全 14 作品で競う日本映画としては唯一のコンペ部門出品決定したことを受け、阪本監督は「コンペって落ちたら格好悪いんですよね・・。」と言うとすかさず藤山が「ニーハオ、ホイコーローってことで。」と会場を盛り上げた。
さらに一言を求められた阪本監督は「僕はヒーローインタビューのよくあるこれからもよろしくお願いしますって嫌いなんですよ・・・・これから応援よろしくお願いします!」とアピールして締めくくった。