このたび、世界6カ国の在日外国人たちが、映画「帰ってきたヒトラー」の為に集結。本作を試写後、【緊急国際サミットG6】と題したディスカッションイベントを実施いたしました。
様々な国の教育や文化の中で育った外国人の眼に、本作のヒトラー像がそれぞれどのように映るのか、もし現代にヒトラーが存在したら世界は一体どうなるのか?意見が紛糾!
司会兼ゲストスピーカーとしてケニア・ナイロビ生まれのインテリハーフ芸人、リロイ太郎さん、「NHKドイツ語講座」でおなじみのドイツカルチャーのご意見番、マライ・メントラインさんが登壇しました。 

 外国人達の大きな拍手の中、登場したリロイ太郎さんとマライ・メントラインさん。
リロイ太郎さんは、「単純に面白かったですよね、コメディとしての面白さなのか、ヒトラーの考え方の面白さなのか、色々入り交じったものなのだと思いますけど引き込まれてしまう。最後まで集中力を切らす事無く観る事ができました。でも、ちょっと考えさせられる部分もありました。」と、大満足の様子。また、本作のように、もし現代にヒトラーが現れたとしたら、リロイ太郎さん自身は、「ヒトラーを支持してしまうだろう」とその魅力を理解できてしまったようだ。しかし、ドイツ人であるマライさんは、「支持出来ない。ドイツ人として、支持しないよね?とついつい言ってしまうだろう。」と、ヒトラーを生んだ国の国民として、切実な思いを述べた。
 さらにマライさんからは、原作となった小説が発売された当時の、ドイツとフランスでの反響が紹介された。本国ドイツでは高評価を得、爆発的なベストセラーとなる一方で、隣国フランスではその表現が全く理解されず、「だから何?」というレビューまでがAmazonで書かれたりしたという。国によってこんなにもこの作品の捉え方が違うという一例。また、本国ドイツでは原作発売時に「ヒトラーをどこまで笑うことが可能か?」という討論番組がテレビ放送され、物議を醸し、社会現象に発展したケースも報告された。
 
今回参加したドイツ・オランダ・アメリカ・台湾・韓国・日本の6カ国の人々から飛び出た意見には、国が違うからこその捉え方の違いが窺えた。現在の母国の情勢と本作を重ね合わせ、危機感にかられた人、大衆を魅了するヒトラーのカリスマ性を理解できるという人、観終わった後、なんだか微妙な気持ちになった人など様々だ。ほとんどの人に共通するのは、現代の世界にも独裁者が現れる可能性があるという危機感と、今この作品が公開されるという事が、どれだけ重要なのかを強く実感したということ。本作の日本での封切りは6月17日(金)。公開されるとさらなる議論を巻き起こしそうだ。

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※外国人のみなさんの意見※
【日本人女性】「もし目の前にヒトラーがいたら、戦時中ヒトラーが行った歴史的事実を知っているので怖いが、実際には思わず写メを撮ってしまうだろう。」と発言。

【ドイツ人女性】「ヒトラーは当時、私の母国を最悪の地獄に突き落としたので、忘れる事ができない存在です。しかも、今のドイツはヒトラーがいた頃のように、右翼寄りになり始めている。今、ヨーロッパで巻き起こっている難民問題とこの映画で描かれていることには共通点がいくつもあり、あらためて、無視してはいけない事だなと目が覚めました。」

【アメリカ人男性】「アメリカ大統領選に現れたトランプの存在と、この作品のヒトラーが似ていると思った。トランプがなぜ支持されているのかは、分からない。もしかしたらヒトラーみたいな存在なのかも。」

【アメリカ人女性】「ヒトラーのようなカリスマ性がある独裁者は、国を強くしてくれるのでは?と大衆に思わせる力があるんだなとあらためて感じた。」

【台湾人男性】「ヒトラーが行った歴史的事実を知らない人には難しいメッセージも含まれていたと思う。見終わった後は、なんだか微妙な気持ちになった。」

【オランダ人男性】「ドイツとオランダは共通点が多く、オランダ人にも良く分かる内容でした。観ていくとどんどんメッセージ性が強くなった。この作品はヒトラーがただ笑いものになるというだけの作品にならなかったので、良かった。でも、人によってはこの作品を観ることで悪い影響を与えられてしまうのではないかと思った。」