桂望実のベストセラー小説を原作に、女優・黒木瞳が初めて映画監督に挑戦した話題の映画『嫌な女』 (6月25日公開)。
主演には、映画初主演となる吉田羊、木村佳乃を迎え、堅物弁護士と天才詐欺師という境遇も立場も違う対照的な二人の女性の人生のケミストリーを鮮やかに描いた話題作です。

この度、6月25日(土)の全国公開を前に、本日5月23日(月)に日本外国特派員協会主催の試写会にて黒木瞳監督が登壇し、本作初となる記者会見を実施いたしました。

【『嫌な女』 日本外国特派員協会 記者会見 概要】
日時 5月23日 (月)  
場所 公益社団法人 日本外国特派員協会
   (千代田区有楽町1-7-1 有楽町電気ビル北館20F)
登壇者 黒木瞳監督

会見が始まり、最初に、なぜ映画監督をしようと思ったのですか?という質問に対し黒木監督は「最初は演じるために原作権をとりにいきました。その中で、脚本家の方とお話をしているうちに、この世界観を一番分かっているのは自分だと思い、映画の監督してみようと思いました。」と作品への思いを語りました。

監督という裏方に回ったことで、後悔はありましたか?という記者の質問には「後悔は全くありませんでした。演じられないことへの不安もありませんでした。」と答えつつ「むしろ自分がやったことがないことを、この年齢で新しく挑戦できることにとてもわくわくしました。」と語りました。

また、監督と女優の違いについては、「女優として役で作品に入るときは、その女性がどういった女性なのかを考え、違う女性になるのですが、監督だと“私”が全部出てしまう。つまり、女優として演じるときは作品の中で別の女性になるけれど、監督をして思ったのは全部私になる、ということでした。」とコメント。

監督として時間や予算の制約がある中で、どうしても妥協できない、ここをどうしても撮りたいと思ったところはありますか?という質問に対しては、「監督をします、と決断した時から物理的な時間や予算との闘いは考えておりました。しかし、徹子(吉田羊)と夏子(木村佳乃)の喧嘩シーンと徹子とみゆき(永島暎子)が太陽と向日葵の話をするシーンは粘らせていただきました。時間との闘いではあったのですが、それと同時に女優さんが長時間撮影することの体力面も考えなくてはいけないなとも思いました。」と語りました。

また、実際に吉田羊さんと木村佳乃さんとお仕事をされていかがでしたか?という質問に対し「吉田さんはとても素直で柔軟性のある方だと思いました。徹子がストレスのかかる役なので、負荷を与えてしまったこともありましたが、いつでも柔軟に対応してくださいました。彼女と話し合っていくうちに、徹子の役をより高いハードルをあげて撮影することができました。木村さんは夏子というムードメーカーの役どころなので、本当にテンションを上げて演じなくてはならないのに、どんなに疲れていても切り替えてポンっとテンションを上げてくださるのは本当に素晴らしいと感じました。彼女自身の明るさを出してくださって、ありがたかったです。」と、主演2人への感謝の気持ちを語りました。

この作品には女性がどうあるべきかなどメッセージが多く描かれていますが、黒木さん自身の思いも脚本に入っているのでしょうか?という質問に対し「たくさん思いは込めました。脚本家の方とも、原作を読んだ後に感じた前向きになれる気持ちや、観た人が絆や、いのちの大切さを感じられるような作品に描けるようにと話しました。」と作品への思いを語ると共に、「向日葵は太陽をみて頑張っている、というセリフで女性に“頑張れ”というエールを表していたり、ラストのみゆきの手紙では、「でんでんむしのかなしみ」から“悲しいのはひとりじゃない”ということを伝えるために引用したりしました。」と裏話も語りました。

また、次は監督としてどういった作品を撮りたいですか?または女優として戻りたいですか?という質問に対し「女優としてすでに撮影しています。この映画で8か月ほど撮影をしていなかったのですが、女優として現場に戻ったとき、「監督」と呼ばれて振り向いてしまった自分が怖かったです(笑)次も女優の仕事をしますが、監督をやらせていただいて、コツコツと地味な作業も好きなんだなぁと自分を再発見しました。」とコメント。
また、『仄暗い水の底から』に出演されていらっしゃるので、自身でもホラー作品を撮りたいと思いますか?という質問に対し「女もある意味ホラーですから…『嫌な女』もどこかホラーかも知れませんよ(笑)」と語り、会場を沸かせました。

最後に、黒木瞳監督自身が、この映画の中で伝えたいメッセージとは?という質問に対し「メッセージはいろいろな所に散りばめています。冒頭はルーマニアのアーティスト・INNAの「In Your Eyes」を使っているのですが、この曲は「Party Never Ends」というアルバムに入っていて、“女たちのパーティーは終わらない!”私なりの「女性へのエール」という意味を込めてこの曲を使いたいと熱望しました。また、主題歌の竹内まりやさんの「いのちの歌」は、いのちの大切さや絆、見えないところに大切なものはあるよ、という素敵な歌詞です。そういう点からも作品へのメッセージを感じてもらいたく思います。」と、作品への思いとともに自身の熱い思いを伝え、会見を終了しました。