5月21日より公開となる是枝裕和監督『海よりもまだ深く』が、第69回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門に正式出品され先程、阿部寛さん、樹木希林さん、真木よう子さん、是枝裕和監督がレッドカーペットを歩き会場入り、世界の観客を前に舞台挨拶をおこない、正式上映が行われました。上映後は、スタンディングオベーションで観客から賞賛を受け、日本のメディアに向けた囲み取材が行われました。

【フォトコール】
 爽やかな風が吹き抜けるカンヌの青空の下、是枝監督はじめ、フランスの有名ブランドBerluti(ベルルッティ)に身を包んだ阿部寛さん、グッチのトラッドでキュートなワンピース(靴、バックもグッチ)を纏った真木よう子さん、そして独自のスタイルがひかる樹木希林さんがフォトコールに登場し、世界から集まったスチールカメラマンたちの前で、笑顔でフォトコールに参加しました。
また、直前にフォトコールをおこなっていたアカデミー賞受賞監督であるウィリアム・フリードキン監督(『フレンチ・コネクション』、『エクソシスト』)が、是枝監督に挨拶に来る場面もあるなど、是枝監督の世界からの注目度の高さが感じられる一幕もありました。監督、キャスト達は5月16日(月・現地時間)にカンヌ入り、海外プレスの取材を受けるなど、多忙な時間を過ごしつつ迎えた公式上映日。高まる緊張を抑えながら、レッドカーペットと公式上映にむけて、準備を整えつつ、それぞれにコメントしました。

阿部さん:初めてカンヌに来ましたが、街全体が祭りのような状態で、すごく楽しんでいます。今晩の公式上映でどういう反応が返ってくるかは予想がつきませんが、楽しみたいと思います。

真木さん:前回(『そして父になる』)のときはドシャ降りのカンヌだったので、街を全然歩けなかったのですが、昨日歩くことができて、歴史のある建物がたくさんある街で、とても美しいなという感想を持ちました。街全体がすごく盛り上がっていますし、こんな中で上映されるということにドキドキしていたりもしますが、楽しみにしています。

樹木さん:もう出来上がっていますので、ただみんなと一緒に観ます!

是枝監督:マーケット試写を観てきた記者の方たちと取材のときに話したら、意外とみんなちゃんと笑ってくれているようでした。日本と同じようにクスクス笑いながら、後半はちょっとしんみりとしっとりとそういう展開になってくれればなと思っています。

【海外のプレスの反応】

<女性>
完全なハッピーエンドではないけど、家族の描き方が良かった!
コメディ要素もあるし。家族ってそういうもの。とってもよかったわ。

<女性>
良い作品でした。是枝監督はストーリーテリングが自然だし、俳優たちの演技も素晴らしかった。
ファニーな映画だけど、真理がある。主人公が成長しないのがいい!人生そのものね。

<男性>
素晴らしかったよ。是枝監督作品の大ファンなんだ!毎回期待して観るんだけど、毎回その期待を超えてくる。
監督の作品はあたたかいところが好きなんだ。正直なところもね。ダメなキャラクターだけど、愛おしいんだよ。

<女性>
すごく感動したわ。是枝監督の作品は何本か見てるの。主演の人も。是枝スタイルの映画ね。
今回も感動したわ!是枝作品でこれまで失望させられたことはないわ!

【レッドカーペット】
 大勢のマスコミや観客があふれる中、レッドカーペットに登場したのは、是枝監督とベルルッティのタキシードに身を包んだ阿部寛さん、肩と背中を大胆に露出した透け感のあるアルマーニのロングドレスにショパールのダイヤのイヤリングを着用した真木よう子さん、海と鶴の柄をあしらった着物に真っ赤な鯉がデザインされた帯を締め、ならではの貫録で一際目をひいた樹木希林さん。
カンヌ国際映画祭参加は初となる阿部さんは、観客やメディアの声に応え手を振るなどして対応していました。

【舞台挨拶】
満席の会場でステージに登壇した是枝裕和監督、阿部寛さん、真木よう子さん、樹木希林さんは、それぞれ晴れやかな笑顔で、世界の観客の前で、舞台挨拶をおこないました。阿部さんの「是枝監督作品は2作目ですが、いつか是枝さんの作品でカンヌに来れることを夢見ていました。今日は楽しんでいってください」というコメントには熱い拍手が送られ、さらに樹木さんの「今はゆとりのある顔をしていますが、上映が終わったらすぐに逃げられるように準備しております」という希林節には場内から笑い声もおき、和気あいあいとした雰囲気の中で上映は始まりました。

【上映後】
上映中は、阿部さん演じるダメ息子の良多と、樹木さん演じる母・淑子の会話シーンなどで度々笑いがおこるなど、日本の団地を舞台にした家族の物語は、しっかりと世界の観客の心に届いたようで、上映後は是枝監督や出演者たちに向けて、約7分間にもわたるスタンディングオベーションが続き、阿部さんは時々手を振ってそれにこたえるなど、場内はとても温かい空気に包まれました。また場内を出たところでも、海外のファンに囲まれ拍手や賞賛コメントを浴び、好評のうちに公式イベントを終えました。