フランスにて開催中の第69回カンヌ国際映画祭にて、現地時間14日(土)に日仏合作映画『淵に立つ』が「ある視点部門」で公式上映され、出演者の浅野忠信、筒井真理子、古舘寛治、深田晃司監督がレッドカーペットに登場した。浅野忠信は昨年の黒沢清監督『岸辺の旅』に続き2年連続で同部門に主演作が選出、深田監督は今回が初の選出となる。レッドカーペットの後上映会場に入り、深田監督の舞台挨拶で映画がスタート。約2時間の上映が終わったあとは、場内の観客からの鳴り止まないスタンディングオベーションに応えた。

【深田監督による舞台挨拶】
まずは2時間楽しんでください。私から言える事は、本当に素晴らしい俳優たちの演技、日本を代表できる俳優たちの演技をこの映画で2時間堪能できると思います。

【公式上映後の第一声】
深田監督:最高のスタートを切れたと思っています。レッドカーペットはあっという間でしたね。あまり覚えていません。

浅野忠信:(2年連続カンヌに参加されたお気持ちは?)これから毎年来られるよう頑張ります(笑)

●今回はどういう所が評価されてのノミネートだったと思いますか?

深田監督:それはわからないですね。逆に選んでくれた人に聞きたいです。

浅野忠信:やはり監督のきちんと考えていた事を、粘り強く最後まで仕上げた所がひとつの大きな要素だと思いますね。映画は強烈なものでないと届かないと思うので、監督の中にあった何かが花開いたんだと思います。

【囲み取材にて】
古舘寛治:すごく温かい拍手を頂いて、とても嬉しいです。カンヌなんて来ることは僕の人生で無いと思っていたので、生きているとすごい事が起こるもんだなと。深田監督の現場は毎回色々とディスカッションして、すごく深い所まで追求できる現場なので、自分の表現したいものを監督の求めているものとすり合わせながら出来るという事では、今回もとても楽しかったです。

筒井真理子:温かい拍手が止まなくて、本当に嬉しかったです。海外の人にも、人種を超えて、まるで隣の人を観ているみたいなに観てもらえたらいいなって思っていたのですが、そういう風に観てもらえたのかなって、(頂いた)拍手で思えた気がしました。ずっと舞台をやっていて、初めて映画に出させて頂いた時から、いつかカンヌに行きたいなって思っていたので、報告をマネージャーからもらった時、「あぁーー」って、遠い目になってしまって(笑)今もちょっとふわふわしています、でも、これから日々日々精進して、ここからまたスタートですね。

浅野忠信:本当に長い戦いだったので、それがやっと実ったというか。このカンヌに来る時も、飛行機がたどり着かないとか、荷物が着かないとか、ハプニング続きだったんです。本当に今とてもほっとしています。皆さんにこうやって観て頂いて、温かい拍手を頂いたのがとても嬉しいですし、これからたくさんの人に届けばいいなと思っています。去年も(『岸辺の旅』の上映で)ずっと長い時間温かい拍手を頂けて、今年も同じようにずっと拍手を頂けたので、これはとても良い感触だなと思っていますね。(※『岸辺の旅』は監督賞を受賞した)
とても良い役を頂いて、これをどう演じるのかというのは、自分でも大きな課題だったもので、監督が忍耐強く見守って、僕の意見も全部取り入れてくれて、こういう映画に仕上げて頂けたので、これは僕にとっても大きな一歩になったかなと思っています。

深田監督:カンヌはとにかく初めてなので、何とも比較できない経験ですね。最高の舞台をプレミア上映として与えられたと思うので、あとは出来るだけ多くの国に、この映画が巣立っていけばいいなと思っています。子供の時からずっとカンヌを通過した映画や監督たちに憧れて、そういう意味では特別なのですが、ただ誰一人としてカンヌがゴールだと思っている監督はいないと思うので、これからがスタートだと思って、これからもコツコツと地道に映画を作っていきたいと思います。こういう最高の舞台を与えられましたが、やっとこれからよちよち歩きを始めた赤ん坊のような映画で、これから皆さんに観てもらって、いろんな声をかけてもらって大きく育っていく子供だと思っています。ぜひ皆さんで見守って育んで頂ければと思います。