公開直前記念として、「映画を観る前に!「殿、利息でござる!」をさらに楽しむ3つのマル秘情報を“つつしまず”にお伝えしちゃいます」と銘打って行われたトークイベントには、本作の主演、重い年貢に苦しむ町を救うため、奇想天外なアイデアを実行しようとする主人公・穀田屋十三郎(こくだや じゅうざぶろう)を演じた阿部サダヲと、その十三郎の良き相棒であり、町一番の(自称)キレ者の茶師・菅原屋篤平治(すがわらや とくへいじ)を演じた瑛太がそろって登壇。

『殿、利息でござる!』公開直前トークイベント 概要
【日時】4月28日(金)
【場所】スペースFS汐留
【登壇者】阿部サダヲ、瑛太、磯田道史

会場から拍手が鳴りやまない中、「今日は雨の中本当にありがとうございます!」と阿部が挨拶すると、瑛太も「沢山の方が集まっていただき嬉しいです。ありがとうございます。」と挨拶しました。さっそく司会から本作の舞台が、今から250年前の江戸時代であり、ビンボーな庶民が宿場町を救うために千両(現在の価値で約3億円)もの大金を集めて殿さまに貸し、その利息で町を立て直そうとする前代未聞な物語であることが紹介されると、スクリーン上には一つ目となるマル秘情報、【じつは、こんなところで撮影した、でござる!】の文字が!ビンボーな宿場町を再現するにあたり、山形県の山奥にあるロケーション、スタジオセディック庄内オープンセットで行われた撮影を振り返った二人は、「ここは、色々な映画で使われている場所みたいですが、僕自身は初めてでした。山の中腹にあって、時代劇向きの自然がたっぷりの場所だったので、とても演技がしやすかった」(阿部)「現場に入ってしまえば、物語の世界観に浸れる、役者にはありがたい撮影地でした」(瑛太)とそれぞれコメント。「ただ、夜にはカブトムシとかクワガタとかが沢山集まってくるんですよ。虫好きの自分にとっては楽しかったですね。ただ、着物にカナブンが入ってくるのはちょっと嫌でしたね(笑)」と続ける瑛太に、阿部も「本当に虫多かったですね。虫よけスプレーも全然聞かないんだよね(笑)」と笑いを誘いました。さらに、撮影後の食事やお酒の席について「瑛太さんが手配してくれることが多かったんです。しかも僕のその日の健康や体調にまで気遣ってお店を選んでくれて、もう本当に最高の相方!」と瑛太の心遣いを絶賛する阿部に、瑛太も照れ笑いを浮かべました。

さらに、二つ目のマル秘情報として、【じつは、実話、でござる!】と紹介されると、スペシャルゲストとして、映画の原作となった「無私の日本人」の著者である、磯田道史氏が登場し、「映画『武士の家計簿』を見た人から「私の住んでいる仙台でも同様の面白い話があるので、ぜひ本にして、映画にしてください!」と連絡をいただいたんです。その熱意が伝わって、書くことにしました。」と、本作の物語との出会いを語りました。台本を最初に読んだ感想を聞かれた阿部は「本当にいたのか?!と思ってしまうくらい、素敵な方々が登場する物語でした。自分でもこれまで演じていないキャラクターに挑戦できて、やりがいがあって、嬉しかったです」と返答。瑛太も「僕も阿部さんと同じように、実話であることにとても驚きました。現実で起きていることのほうが意外とドラマチックな場合も多いですよね。磯田先生の文章を読んだ時にもつい涙してしまうくらい感動しました。キャスティングして頂いたことはとても光栄です」とコメントしました。また、最近阿部さんとともに舞台となった宮城県黒川郡大和町に酒屋として現存する穀田屋を訪れたという磯田は、「(代々穀田屋に受け継がれている)十三郎の木彫りを見せて頂いたのですが、顔が阿部さんに似ているんですよ!」と明かし、阿部も「ちょっと泣きそうになりました」と感服した様子で語りました。

そして、最後となる三つ目のマル秘情報として、【じつは、殿役を知らなかった、でござる!】と発表されると、場内からは驚きの声も。スクリーン上で、羽生結弦演じる殿が、阿部・瑛太らキャストの前に初めて現れた際のメイキング映像も紹介され、「本当にびっくりしました!本番直前まで本当に誰も聞かされていなかったので。色々みんなで話して、最終的にはサンドイッチマンの伊達さんなんじゃないかと推測していました。羽生さんが登場したときは、びっくりしすぎてじっと見ちゃいましたよ。殿様なので見てはいけないのに…(笑)すごく綺麗で演技もとてもナチュラルで、役者として、美しかったです。なんかニヤニヤしちゃいました」と、撮影裏エピソードを明かした阿部に続き、瑛太も「羽生さんが登場した瞬間は、全然演じられていなかったですね。素で驚きと嬉しさが顔に出ちゃってました。本当にキラキラしてましたから。終わったあとに2ショットも撮影してもらって、羽生さんから「一緒にスケートしましょう」って言ってくれて。僕は全然できないので、返答に困って「僕もオリンピック目指します!」って訳の分からない返事をしてしまいました。」と当時の興奮の様子を語りました。

最後に、映画をこれから観る人に向けて、阿部は「面白くて感動できるところが沢山ある映画です。皆さんそれぞれ共感できる人物が必ずいると思います。お金をテーマにした物語なので、お金を払って映画館でみるのも良いんじゃないですかね(笑)」とコメント。続く瑛太も「今の日本人にとって、本当に大切なものは何かということが多く含まれた内容になっていると思います。皆さんに何かを与えられる映画だと自信を持って言えます。ぜひ周りの方に進めていただけると嬉しいです」と語りました。磯田は「阿部さんが演じると、真面目なことをやればやるほど笑えてきたり泣けてきたりする。表現の幅が本当に広い役者だなと。役者はピアノと同じで、色んな音が出るのがありがたいんです。多重奏ができるから。鍵盤が豊かな俳優に会えたことが本当に嬉しかった。あと驚いたのは瑛太さん。こんなに集中力のある俳優さんがいるのかって思いました!別の役の時にお会いしたことがあるのですが、形相が変わりすぎて、最初瑛太さんだと分からなかったです。こんなお二人が映画にもたらしてくれたことは非常に大きい!」と二人を絶賛しつつ、「中村義洋監督をして、「自分の遺作としても恥ずかしくない!」と言い切った作品ですので、なので、皆さんも自信をもって応援してください!」と締めくくり、イベントは終了しました。