「世界で最も危険なグループ」と称される、コンプトン出身の伝説的ヒップホップグループのN.W.A.(イージー・E 、ドクター・ドレ、アイス・キューブ、MCレン、DJイエラ)。昨年話題となった、N.W.A.の結成から解散、その後を描いた伝記映画『ストレイト・アウタ・コンプトン』は、全米興行収入で驚異の3週連続No.1を記録。さらに音楽伝記映画として歴代1位の興行収入、黒人監督史上最高興収を樹立、第88回アカデミー賞(R)にて脚本賞候補としてノミネートされるなど、ジャンルを越えて今もなお影響を及ぼしている。

そしてこの度、これまで明かされることの無かった、N.W.A.の内幕に迫るドキュメンタリー映画『N.W.A & EAZY-E:キングス・オブ・コンプトン』が4月2日(土)に
ヒューマントラストシネマ渋谷で公開初日を迎えた。この日は、本作の字幕監修を務めた丸屋九兵衛氏が登壇し、本作の見どころや、本家『ストレイト・アウタ・コンプトン』では明かされなかった裏話を解説した。(以下トーク内容を抜粋)

■ロンゾ・ウィリアムズに関して
『SOC』だと、クラブのオーナーにしか見えなかったロンゾ・ウィリアムズですが、実はワールド・クラス・レッキン・クルーというグループを率いていたリーダーで、DJ改めプロデューサーでもあり、実はアーティストだったんですね。その辺りがまったく描かれないまま、ドレーの音楽性に理解のない頑固なおじさんとしてしか描かれていないと。その辺りが、こちらの作品ですと、本人が出て来て色んな証言をしてくれていると言うところがメリットであります。ワールド・クラス・レッキン・クルーという西海岸のヒップホップを聴いて来た人間には常識なグループも『SOC』では、一言も言及されないという。あれだけ観てると単なるクラブのオーナーのおっちゃんにしか見えないというのが可哀想なところですけどね。

■脱退メンバー、アラビアン・プリンスに関して
『SOC』では、アラビアン・プリンスのアの字も出てこなかったでしょ?(メンバーが下から見上げている)『Straight Outta Compton』のアルバムジャケットを見てみればわかるんですが、あそこには6人いるんですよね。このアルバムでも「Something 2 Dance 2」っていう、最後に唐突に入っている、ダンサブルなエレクロ曲を仕切っているのがアラビアン・プリンスという。それ以外にも「パニック・ゾーン」という曲でもイニチアチブ握っていたり、J.J.FAD(JJ・ファッド)「Supersonic」という曲をプロデュースしたりして、つまりすごくエレクトロな人なんですよね。今で言うエレクトロではなくて、LA弁でいうところのテクノホップね。だからそのちょっと前の時代にあたる音楽性を代表する人だからこそ、後のN.W.A.でいらなくなっちゃったんだなぁという気はするんですけど、この映画での証言映像っていうのはかなり新しいものであるにも関わらず、かなり若若しくはつらつとした姿を見せて、非常にうらみがましいことを言うでもなく、すごくニュートラルな証言を見せてくれるので、その辺りの人格者ぶりは中々のものですね。

■スティーヴ・ヤノに関して
そして何と言っても私が絶対に言及しておきたいのが、スティーヴ・ヤノさんね。日系アメリカ人のヤノさん、通称“南カリフォルニアで最も危険なレコード屋”。何が危険かっていうと、まだリリースされていないはずのレコードまでそこで買えるっていう。(笑)そのヤノさんがやっていたレコード店、といっても、フリーマーケットに出しているブースなんですけど、そのブースを介して知り合い連絡を取れたのが、ドレーとイージー・Eだという。いろんな矛盾する証言はあるのですが、どうやらイージーは、ドラッグ・ディーラーから転職して、ヤノさんを見習ってレコード屋さんになりたかったらしい、と。一方、ドレーは、理解のないロンゾ・ウィリアムズに嫌気をさして、ヤノさんに「レーベルを作りませんか?」と持ち掛けていたという。その2人の野望がまったく違う形で成就したのが、ルースレスであり、N.W.A.となるわけなんですね。

上記の通り、本作ではこれまで語られる事の無かった貴重な証言やインタビューを数多く収められており、生前のイージー・Eをはじめ、ゲーム・Ice-T・KRS-Oneといった大物ラッパーも登場し貴重なコメントを残している。関東地区以外でも順次公開となるので是非チェックして欲しい。本作は6/3にキングレコードよりDVDのリリースが決まっている。
<東京>
4/2(土)〜2週間レイトショー ヒューマントラストシネマ渋谷 http://www.ttcg.jp/human_shibuya/
<大阪>
4/16(土)〜1週間限定レイトショー シネ・リーブル梅田http://www.ttcg.jp/cinelibre_umeda/
<京都>
4/23(土)〜4/29(金)17:20〜 / 4/30(土)〜5/6(金)15:10〜
立誠シネマプロジェクト http://risseicinema.com
<福岡>
4/30(土)レイトショー KBCシネマ http://www.h6.dion.ne.jp/~kbccine/
<愛知・名古屋>
5/14(土)1週間限定 センチュリーシネマ http://www.eigaya.com/theater/century/

■映画『N.W.A & EAZY-E:キングス・オブ・コンプトン』予告映像
https://www.youtube.com/watch?v=85ZS2CnX-8c

2016.6.3キングレコードより、N.W.A & EAZY-E:キングス・オブ・コンプトン DVD発売決定!
品番:KIBF-1421  価格:¥3,500+税  特典映像:オリジナル予告