12/26(土)、大阪市西区のシネ・ヌーヴォにて映画『新しき民』が関西公開初日を迎え、上映後に山崎樹一郎監督が舞台挨拶に立った。
『新しき民』は、東京・ユーロスペースで12/5(土)〜25(金)の公開を終えたばかり。

満員の観客に安堵の表情を浮かべた山崎監督は、
「しばらく長い間こちらで上映されていると思いますので、ぜひ知人友人に声をかけて頂ければと思っております。今日はありがとうございます」

司会を務めたシネ・ヌーヴォ代表の景山理さんが初日限定の来場者プレゼントを紹介。
シネ・ヌーヴォの近隣にあるナインモールに支店を構える栗おこしの老舗・粟新が劇場限定のシネ・ヌーポンと名付けられたおこしを手がけているが、今回プレゼントされたのは、『新しき民』オリジナルのおこし。主人公・治兵衛と麦や土のイメージを再現、パッケージには映画の舞台となった真庭産の藁が巻かれている。
「映画の現地の風土をここに込めています」と景山さんが紹介すると山崎監督は、
「大阪っぽいですかね(笑)」と自ら突っ込んだ。

山崎監督作品としては、『紅葉』(’08)、『ひかりのおと』(’11)に続き3本目の劇場公開となった本作。低予算で作られることが多い自主映画では珍しい時代劇で、山崎監督が住む岡山県真庭市でおよそ 280年前に51人が斬首された山中一揆を描いている。百姓一揆の中でも、天草で起こった島原の乱のような宗教一揆を除けば一番多い犠牲者だという。
制作にあたっては、衣装や美術、スタッフワークなど時代劇に取り組む大変さは想像以上だったという山崎監督。
「当初より予算が倍に膨らむし、雪がたくさん降る季節で、車も慣れない人はスリップする状態で」

作品に込められた思いを尋ねられ、
「社会の状況であったり、世界の状況が目まぐるしく変わってくる中で、大阪も危険な場所になって行っていると側から見ていて思うんですけど、いち早くこの映画を上映して頂いたので、この映画を観て考えて頂けたらと思います」
と、大阪の行政状況に対する危機感を感じていることもコメントした。

大阪出身の山崎監督は、19歳まで大阪、その後は京都で暮らし、10年前に父親の実家がある岡山県真庭市に移りトマト農家を営んでいる。春夏秋はトマトを作り、冬場は映画を作る。
「農家をやりながら映画を作っているという。日本の映画監督にはいないんじゃないですかね」

「スペインには1人くらいいるみたいです」との答えに劇場は笑いに包まれた。

また、農業と映画制作の共通点について、
「農業っていろんなことに通じるし、映画作りって農業に似てる所があります。これはこれで凄い大変で精神的に引き裂かれそうになるんですけど、なんとかやっていこうかと」

観客に伝えたいことを聞かれた山崎監督は、映画で語り尽くしたことを持って帰って頂ければと語った。また、低予算で時代劇に挑み、5.1chサラウンドの導入や、音響、照明、美術などプロとして働く仲間の協力を得て1ヶ月間缶詰で作ったと見所を紹介。
「自主映画でもこういった映画が作れるのはひとつの希望だと思います」

その言葉を受けて、
「若い世代からこういう映画が生まれると祝福して行きたいと思いますし、ぜひ皆様も応援して頂きたいと思います」と景山さんがエールを送った。

最後に山崎監督は
「テレビじゃなく、ネットではなく、パーソナルではなく、たくさんの他者と一緒に観るという状況が貴重になっている。それしか真実はないんじゃないかと思うくらい、今は映画の存在意義は重要になって来てるんじゃないかと。これに関わらずたくさんの映画を観て頂けたらと思います」と語った。

『新しき民』はシネ・ヌーヴォにて2016年2/12(金)まで上映。山崎監督の特集も1/9(土)からスタートする。『新しき民』誕生のきっかけでもある真庭の住人たちが語る山中一揆のドキュメンタリー『つづきのヴォイス』は1/9(土)〜1/15(金)、『紅葉』『ひかりのおと』は1/16(土)〜1/22(金)の上映予定となっている。

(Report:デューイ松田)

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