アスミック・エース配給にて2016年1月9日(土)公開の映画『ピンクとグレー』。
芸能界の嘘とリアルを現役アイドル加藤シゲアキが描いた問題作を、初主演・中島裕翔を迎え、『GO』『世界の中心で、愛をさけぶ』の行定勲が映画化。

この度、本作の監督を務める行定勲がトークイベントMeet the Filmmakerに登壇しました。
本イベントは、第一線で活躍する映画作家の生の声が聞けるとあって、老若男女の多くの人々が来場し、監督の話に耳を傾けました。
観客の方々からの質問に笑いを交えながらも一つ一つ丁寧に受け答えするなど、映画の見どころや制作秘話など語り、本作への想いが明かされる濃いトーク内容となりました。

『ピンクとグレー』Meet the Filmmaker @Apple Store, Ginza イベントレポート

【日程】 12月27日(日)
【場所】 Apple Store,Ginza (東京都中央区銀座3-5-12 3Fシアター)
【登壇者】 行定勲監督
【MC】 ミルクマン斉藤(映画評論家)

ミルクマン斉藤(以下、MC):早速ですが、非常に面白い作品ですね。
行定監督の作品にはいつも何かしらの仕掛けがあるような気がします。
原作を読んでいない方はもちろん、すでに読んでいる方も驚くと思いますよ。

行定勲監督(以下、監督):今日は言えない話ばかりなので(笑)
何回か先行で上映してますが、反応が良くて、故郷の熊本の友達がいつも
映画なんか興味ないってゆう人達も ざわついてるんです。(笑)
「62分後に衝撃があるって仕掛け 」のコピーに惹かれてるのかなぁ。
原作自体がとても映画的で、0から1を作るのが作家さんだと思ってて、僕なんかは1を作ることに
憧れを持ってたりするんですが、逆に僕たちは、その1 を10、20、100まで、どこまでも引っ張れるんです。
今回は特にその伸びが結構いったんじゃないかと手応えは感じてます。(笑)

MC:かなり実験的ですよね。

監督:年も取って、青春映画はもうないかなと思っていたところに、この話をもらって。
でも、作ってみたら、案外楽しかったんです。
昔、深作欣二監督が『GO』を観てくれた時に、「俺が撮ったらもっとエグくなる」って言ってたんです。
その言葉が今でも残ってて、今回この作品を撮っていて、なるほどって思いました。
社会の弱者を描くのってメッセージがわかりやすいですけど、青春映画とか恋愛映画は軽視されやすい。でも、そうゆうささやかな話こそ、世の中でキープしたいと思いませんかってメッセージだでもあるんです。この作品って普遍的で、きっと10年後観ても変わらない。
今の自分と同じような気持ちを感じるはずなんです。

MC:僕も知らずに観て、ビックリしました。この作品って、客観的に観るものじゃないですよね。

監督:人って、結局は自分が一番なんですよ。人間の小ささとか垣間見れた時に、観てる人は自分を投影 できるんだと思うんです。今まで偉人の話を作ってきたことないですが、例えば偉人を描くなら、その人の小ささを描きたいです。実は万引きしていたとか。(笑)
社会って簡単に良くならないですよね、そんな変わらない世の中で、生きてる実感、生きてることに、映画は”気付き”を与えてくれる。一人一人の浅ましさ、誠実さ、ちょっとした愚かさを、映画という大きいスクリーンで観ることに意味があるんだと思います。

MC:『ピンクとグレー』はずっと愚かさの話ですよね。人の心はわからないという。

監督:存在したものが不在になると、生き残った側を描くことになりますよね。
僕の作品は、遺された人を描くことが多いと言われるのですが、過去、幼少期に友人がなくなった経験をしているからか、無意識にやっているんだと思います。でも、昔は理解ができなかったことも、年を取ると理解できるようになってきて、この映画で最後、ある人のセリフが生きていく上で重要なことを言っているなと思います主人公たちはまだ20代で、これから30、40代を生きていくために、その言葉は背中を押してくれると思います。

MC:死の理由を探りながら、ミステリー的な青春映画として観ていくと、その向こうにまた違うものが見えてきますよね。ストーリーの中で、特にごっち演じる中島裕翔くん、りばちゃん演じる菅田将暉くんがとてもいい空気感を出してますが、2人ともお仕事は初めてですか?

監督:初めてですね。2人がキャスティングできて、本当によかったです。

MC:コンビネーションが最高ですよね。

監督:中島くんはテレビなどに色々出演してるけど、映画は初で、こういう役者だ、という強いイメージが付いていないので、それがよかったです。彼の可能性を広げられ たのではないかと思います。
アイドルが出演している映画って軽視されやすいけど、そんなこと言うオジサン達は間違いなくやっかみですよね。(笑)
中島くんはメタっぽさを強くしてくれました。イメージがまさに、ごっちだったんですよね。
でも後半の彼がいいんです。詳しく言えないけど(笑)、彼を素っ裸にできたのは気持ちよかったですね。

MC:菅田くんがまた、いい味を引き出してますよね。

監督:彼は衣装合わせの時、すっごく緊張してたらしくて不安になりましたが、現場では本当に自由でいろんなことをやってくれた。そんな菅田にくんに中島くんも引っ張られて、お互いをリスペクトして、刺激し合ってましたね。
カメラ回ってないところでも、背中合わせでギター弾いてたりして、仲が本当に良すぎて、映画の関係性そのものでした。

MC:柳楽優弥くんも出てますよね。

監督:この役は、真っ先に柳楽って思ってました。舞台「金閣寺」を見て、素晴らしすぎて、彼しかいないと思った。存在感がすごいし、実際に最初にリハーサルをやった瞬間に、なんだこの凄さはって思いましたね。

MC:脚本は蓬莱竜太さんなんですね。

監督:彼は嫌な話を書かせるとうまいんですよ。でも最初、真っ当な青春映画のシナリオで、みずみずしすぎてビックリしました。
でも、そこから僕の思っていることを伝えて、こっからがアナタの本領発揮!って後半が続いていくわけです。(笑)

MC:なるほど。(笑)音楽は半野喜弘さんなんですね。

監督:彼とは3本目なんですよ。映画の中で、” ファレノプシス” って曲を中島くんが歌うんですが、オリジナルで作ってもらったんです。あの時代に影響されたいい曲だと思います

MC:主題歌はASIAN KUNG-FU GENERATIONですね。

監督:彼らにお願いしたのは賭けでもあったけど、”疾走感”を見事に表現して、すごくいい曲を持ってきてくれた。あの疾走感があることで、観終わった人が、”りばちゃん”の気持ちを持って帰ることができると思う。上手くそのメッセージを取り込んでくれた。

MC:MVも監督が作られたんですよね?

監督:そうなんです。この作品の”その後”のような感じでもあるので、
観終わった後にぜひMVも見てほしいです。

<Q&Aコーナー>
Q1.監督は舞台と映画、両方を作られていますが、それぞれ作る側での楽しみはありますか?

監督:楽しくないです。(笑)プレッシャーと心配ばかりです。
全て思い通りにならないのは
わかってるんですけどね。僕たちって他者に委ねて仕事している ところも大きいので、時々、役者やスタッフが思ってもみない所へ連れて行ってくれたりする。舞台は、現実では具現化できないことも、果てしなくできてしまうんです。そこが醍醐味でもありますよね。
映画は、逆でできることは限られてて、思ったことを具現化するのに日々疲弊している感じですね。
でも、舞台をやっていて、気付いたことは、例えば今までは、 映画の中で、この部屋の窓からの景色が素晴らしいから”見せたい”って思ったら、頑張って撮ろうとしてた。
でも、舞台ではそんなの不可能で、でも観客も、何を見ているかってゆうと、役者の演技、顔を見ているんです。何が大切って、その景色を見せる事よりも、役者の芝居を上げることが大事だと気付きました。演劇に携わってよかったなって思いましたね。

Q2.主演の中島さんが雑誌のインタビューで、「ごっちは笑うイメージがなかったけど、監督に明るく笑ってもいいって言われた」と話してましたが、原作を読んで私も笑わないイメージだったので、どうしてそのような演出をされたか教えてください。

監督:笑わない人はいないと思ったからです。そうゆう先入観はあまり良くないと思っていて、そんな笑わない人は嫌われるじゃないですか。(笑)普通にしてても、喪失感って出るし、むしろ普通にしている方が出ることもありますからね。
それにスタイルを決めなくてもいいんですよ。その役等身大で演じてくれた方が一番自然でいい演技が見れるんです。

MC:最後に、一言お願いします!

監督:ヒットしてくれるといいなぁ…(笑)
ってゆうのは、今だと漫画原作の恋愛映画が流行っていて、お客さんが入っているそうゆう作品って、やはり 今後も映画業界で作られていくんです。この作品って青春映画にみせて、少しスパイスが効いているので、その流れに少し立ち向かう作品にはなっていると…思います。なってますよね?

MC:なってます!(笑)

監督:ヒットするってことは、観客がそれを作らせているってことでもあるんです。
映画ファンにかかっている。(笑)僕はこの作品で勇気を出して挑んでますけど、これがヒットすれば、他の監督もぶっ込んでいけるし、僕もまたぶっ込めます。(笑)
なので、素直な気持ちでヒットしてほしいなと思います!

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