名作『ぐるりのこと。』(2008年6月公開)から7年。誰もが待ち望んだ橋口亮輔のオリジナル脚本による長編映画『恋人たち』が、11月14日からテアトル新宿ほか全国にて公開スタートいたしました。
通り魔殺人事件によって妻を失い、橋梁点検の仕事をしながら裁判のため奔走する男、アツシ。そりが合わない姑、
自分に関心をもたない夫との平凡な暮しに突如現れた男に心が揺れ動く主婦、瞳子。親友への想いを胸に秘める同性愛者で、完璧主義のエリート弁護士、四ノ宮。心に傷を抱えながらも、幸せを求めて生きる3人の“恋人たち”を、稀代の才能・橋口亮輔は、時折笑いをまじえながら繊細に丁寧に描きだす。どんなに絶望的な世界であっても肯定し、ささやかな希望を胸に再び歩き出す
——明日に未来を感じることすら困難な今、私たちすべての人に贈る、絶望と再生の人間ドラマの傑作が誕生しました。

14日に公開がスタートすると、連日満席・お立ち見が続き、SNS には「今年⼀番の映画」「⼤傑作!」「とにかく⾒て!」といった絶賛評とともに「そっと背中を押してくれる映画」「感情が揺さぶられて自然と涙があふれた」「心が救われる気がした、一日を大事に生きていきたい」といった感想コメントが続々とあがり、本作への絶賛の熱がどんどん広がっていっております!

この度、大ヒットスタートを記念して、11月28日(土)に橋口亮輔監督と、本作に絶賛のコメントを寄せた
人気ロックバンド、クリープハイプのVo/Gt. 尾崎世界観さん、進行・門間雄介さん(編集者/ライター)によるトークイベントを行いました。
映画と音楽それぞれのジャンルで世の中や人間模様を描き出してきた2人が『恋人たち』を通してお互いを語る、興味深い内容となりました。

【開催概要】
日程 11月28日(土) 17:30〜17:55 (15:10の回上映後)
場所 テアトル新宿 (新宿区新宿3−14−20 新宿テアトルビルB1)
登壇者 橋口亮輔監督、尾崎世界観 氏(クリープハイプ)、門間雄介氏(編集者/ライター)

【イベント内容】
門間:「尾崎さんは『無性に誰かに優しくしたくなった。無性に誰かを許したくなった。やっぱり人を信じてみようと思った。
ただそれだけの事だけど、そう思えた事が嬉しかった。この映画を観れて本当によかった。』と映画に対してコメントを寄せていますが、
これを読んで橋口監督はどのように思いましたか?」

橋口:「鼻歌でメロディーを付けたくなるような、歌詞のようなコメントだなと思いました。さすが歌の人だ、ととても感動しました。」

門間:「尾崎さんは、トークイベントの前の回で、改めて『恋人たち』をご覧になったそうですが、いかがでしたか?」

尾崎:「改めて作品を観て、いろんなことを考えました。作品に寄稿したコメントですが、2時間20分の作品に対して作り手として、本気で作品で返そうと思って書きました。橋口監督のインタビューを読んで、いろんな辛いことがあって作品を作っていると知りました。
でも映画を観ていると、完全な悪者はいないというか。正面から相手に向き合っている、だから感動するんだと思いました。」

橋口:「映画の中の『よし!』というセリフですが、嘘でもいいからそう言って、ご飯食べて生きていくしかない、という思いがあるんです。
憎しみは人の中に根付くとなかなか離れない。気づくと、逆にそれが自分の支えになっている気にもなってきて怖いですよね。
でも、作り手として、自分が持っている黒いものが表現として出てしまうのは避けたかった。
撮影中も不安でしたが、完成したものを観て、あぁ大丈夫だ、と漸く思えました。」

門間:「橋口監督も、尾崎さんもトークが始まる3分前に会ったばかりですが、お互いどのような印象ですか?」

橋口:「尾崎さんの歌詞を読んだり、歌を聴いたりして、とてもまっすぐで信頼できる方だなと思いました。最近、体調を崩して寝込んでいましたが、
尾崎さんの(歌声の)高音が心地良かった。たまに『なぜ、あのシーンでああいう表現をしたのか』と意味を聞かれることがありますが
『気分』なんです(笑)。尾崎さんの曲からも、そういうものが感じられて、あぁ、信頼できる方だなと思いました。」

尾崎:「橋口監督の作品は、ずっと観ていました。だから、初めて会った気がしないんです。監督の作品のセリフは、切実で、でも何だか笑える。哀しみと滑稽が表裏一体になっていて、泣いているシーンも笑ってみえたりするし。
でも、それがすごく共感できる。突き詰めると色んなことって、そうなのかもしれないですよね。個人的には『しっとりするね』というセリフが好きです(笑)」

門間:「橋口監督は尾崎さんの書く歌詞についてどような印象がありますか?」

橋口:「『ウワノソラ』という曲に、「嘘つきだ」という歌詞がありますよね。聞いた時に、
この言葉を音に乗せてこんな風に表現できるんだと、衝撃というかショックでした。映画の中でいうと、アツシの語りの部分は、
自分でも人の胸の奥にあることが書けたなと、心がこもったセリフになったなと思っています。
『しっとりするね』とか『準ミスだから』は、安藤玉恵さんにしか演じられないと思ってます(笑)」

尾崎:「橋口監督の作品は、信用できるとことが魅力だと思います。歯医者でも、虫歯になったことがない人に治療されるよりも、
虫歯になったことがある人の方がいい。人の痛みを分かってくれる人が作った、だから信用できるのかもしれないですね。
監督とお話しできる機会を作って頂き、ありがとうございました。」

橋口:「曲を聴きながら、率直で嘘のない方だと思ってお会いするのが楽しみでしたが、本当にその通りの方でした。
ご一緒できてうれしかったです。ありがとうございました。」

【クリープハイプ 尾崎世界観さん(ミュージシャン) コメント】
無性に誰かに優しくしたくなった。無性に誰かを許したくなった。
やっぱり人を信じてみようと思った。
ただそれだけの事だけど、そう思えた事が嬉しかった。この映画を観れて本当によかった。