アントニ・ガウディ世紀のプロジェクト「サグラダ・ファミリア」にまつわるドキュメンタリー映画『創造と神秘のサグラダ・ファミリア』が12月12日(土)よりYEBISU GARDEN CINEMAほかにて公開いたします。公開に先立ち、試写会付トークイベントを実施いたしました。

●日時:2015年11月26日(木)
●場所:セルバンテス文化センター東京
●ゲスト:岡啓輔(建築家)、佐藤健寿(写真家)

 スペイン、カタルーニャの建築家アントニ・ガウディによる未完の一大プロジェクト「サグラダ・ファミリア」の実態に肉迫するドキュメンタリー映画『創造と神秘のサグラダ・ファミリア』のトークイベントが26日、セルバンテス文化センター東京で行われ、セルフビルドを実践する建築家の岡啓輔氏と、世界各地の“奇妙なもの”を撮り続けている写真家の佐藤健寿氏が登壇。それぞれの活動を織り交ぜながら、ガウディならびに「サグラダ・ファミリア」について熱いトークを繰り広げた。

 ホームセンターの資材のみで家を立てるという究極のセルフビルド建築「蟻鱒鳶ル(アリマストンビル)」を2005年に着工し、今なお作り続けている岡氏。バラエティー番組「タモリ倶楽部」(テレビ朝日系)で取り上げられたことから “三田のガウディ”と呼ばれ始めたことに対して「おこがましい」と苦笑いしながら、「僕みたいな人間にとっては、ガウディはとんでもない存在。『爪の垢、煎じさせてください』っていうくらい凄い人」と謙遜しきりだった。

 東京の一等地である港区三田に建設中の「蟻鱒鳶ル」、実は今日(11月26日)が着工から10周年という記念の日。岡氏は、「これを建てる前に、1度ガウディを観ておこうと思って、スペインへ行く話が持ち上がったんですが、間際になってやっぱり観られないなと。たぶんガウディの建築物を観たら、何も手が付かなくなるような気がして。ただのガウディ・ファンになって、真似して人生終わっちゃうなと思いましたね」と述懐する。

 そんな思いを抱きながら、本作で初めて「サグラダ・ファミリア」を目の当たりにした岡氏は、映像を観て愕然としたという。「この作品はガウディのものではないんですね。ガウディは2代目として建築を受け継いで、そして亡くなって、内戦が始まると図面や模型も紛失し、その時点でほとんど次の人たちにパスされている。だからこの建物はガウディの作品ではなく、たくさんの人が命を注いでできているんですね」としみじみ。

 一方、写真集としては異例のベストセラーとなった『奇界遺産』で世界の様々な変わった形の建物をカメラに収めている佐藤氏は、「実際に『サグラダ・ファミリア』を観てみると『廃墟』に似ているなと思いましたね。未完の状態というよりも、一度出来上がっていた物が壊れてしまって、それをみんなで修復しているような感じを受けた。今回の映画を観ても、ガウディのイメージを探って、そこに近づけていくというよりも、昔存在していた『何か』を取り戻そうとしている印象を受けましたね」と独特の視点で作品の印象を語った。

 ちなみにガウディ生誕100周年にあたる11年後の2026年、「サグラダ・ファミリア」は完成予定と発表されたが、奇しくも岡氏の「蟻鱒鳶ル」は着工から11年目に突入。また、高速鉄道AVE のトンネル工事計画に巻き込まれた「サグラダ・ファミリア」に対して、「蟻鱒鳶ル」も都市再開発の渦中に巻き込まれ、現在、話し合いの真っ最中。何か不思議な縁さえ感じるガウディと岡氏だが、「妻の思いもありますし、このビルの完成を楽しみにしている祖父のことを考えると、とにかく急ぎたい」と、最後は複雑な胸中を明かしていた。

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<プロフィール>
岡啓輔(おか・けいすけ) /建築家
建築家。1965年九州柳川生まれ、船小屋温泉育ち。有明高専卒。鳶、鉄筋工、型枠大工、建売り住宅の大工など。舞踏。岡画郎。高山建築学校。2005年蟻鱒鳶ル(アリマストンビル)着工。現在も建設中。 http://arimasutonbi.blogspot.jp/?m=1

佐藤健寿(さとう・けんじ)/写真家
写真家。武蔵野美術大学卒。世界各地の“奇妙なもの”を対象に、博物学的、美学的視点から撮影・取材・執筆を行なう。著作に写真集としては異例のベストセラーとなった『奇界遺産』『奇界遺産2』ほか、『世界の廃墟』、『諸星大二郎マッドメンの世界』、『ヒマラヤに雪男を探す』、『空飛ぶ円盤が墜落した町へ』など。近著は米国の民間最大の人工衛星企業、デジタルグローブ社と協力し、世界120箇所以上を人工衛星で撮影した『SATELLITE』(朝日新聞出版)を発表。TBS系列『クレイジージャーニー』にも出演中。

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