●『キャロル』で女優賞を獲得したルーニー・マーラは帰国後で、トッド・ヘインズ監督が代理で受賞!

 2人目の女優賞受賞者ルーニー・マーラは、既にニューヨークに戻ってしまっていたため、『キャロル』の監督トッド・ヘインズが代理で女優賞を受け取った。トッド・ヘインズ監督は、授賞式で「僕は女優2人に恵まれた監督です。この作品のテーマは難しいものでしたが、ルーニーは深く理解し上手に表現してくれました。ルーニー・マーラ、本当にありがとう。彼女は驚いていることでしょう。心から感謝の気持ちを伝えたいと思います。ありがとう!」と述べ、受賞者会見では「ルーニー・マーラは傑出していました。彼女のためにこの場に立てることを光栄に思います。女優2人とも最高でした。彼女たちのおかげでこの作品ができました」 とコメント。

☆短編コンペティション部門のパルムドールに輝いたのはレバノンのエリ・ダゲール監督作『ウェーヴズ ’98』

 エリ・ダゲール監督は1985年生まれ。『ウェーヴズ ’98』は15分間のアニメーションで、レバノンの首都ベイルートを彷徨う男の姿を描いた作品だ。
 審査員を務めたのはモーリタニアの映画監督アブデラマン・シサコ(審査委員長)、ベルギー出身の女優セシル・ドゥ・フランス、ポーランドの男優ダニエル・オルブリフスキー、フランスの監督レベッカ・ズロトヴスキら総勢5名で、彼らはシネフォンダシヨン部門の審査も同じく担当した。
 エリ・ダゲール監督は、授賞式で「この短編パルムドールを授けて下さいました審査員の方々、私の家族、友人、そして私を支えてくれた皆様に感謝いたします。ありがとうございました!」とコメント。受賞者会見では、「フィクションがどうしても作りたかったんです」と語った。

☆カメラドールはコロンビアのセザール・オーガスト・アセヴェド監督が『ランド・アンド・シェイド』で受賞!

 オフィシャル部門、併行部門の垣根を越えて、監督処女作を対象とする“カメラドール”(新人監督賞)は、コロンビアのセザール・オーガスト・アセヴェド監督が獲得した。受賞作の『ランド・アンド・シェイド』は、コロンビアの農夫が、瀕死の息子のために故郷へと戻る物語で、“批評家週間”部門で上映された作品だ。
 全26本が対象作品で、審査員を務めたのはフランスの大女優サビーヌ・アゼマ(審査委員長)、フランスの女性監督デルフィーヌ・グレース、フランスの男優メルヴィル・プポーら総勢7名。
 授賞式で、セザール・オーガスト・アセヴェド監督は
「光栄に思います。審査員団やこの映画祭を開催してくれた皆様にお礼を申し上げます。映画への愛に満ちた“批評家週間”部門の方々にも感謝いたします。こんな夢のようなことを可能にしてくれた映画製作チーム、キャストにも感謝します。この作品をコロンビアの農民たち全員に捧げたいと思います。この国のヒーローは彼らです。彼らは決して1人じゃないということを伝えたいです」と語り、受賞者会見では「歴史、アイデンティティ、人々の記憶を描いた作品です。進歩という考えがありました」 と述べた。

 また、高等技術院(CST)が技術者を対象にして選出する“ヴァルカン賞”は、ハンガリーのラズロ・ネメス監督のコンペ出品作『サン・オブ・サウル』のナレーションに貢献したタマス・ザンニー(音響技術)に贈られた。この他にも映画学校の学生作品を対象とするシネフォンダシヨン部門では1位〜3位までの賞が決められたほか、全キリスト教協会が選ぶエキュメニック賞なども選出された。また、併行部門の“批評家週間”と“監督週間”でも、それぞれ各賞を授与している。
(記事構成:Y. KIKKA)