映画『氷の花火 山口小夜子』松島花さん、松本監督による初日舞台挨拶
70年代初頭、 “日本人であること”を武器に、たった一人で世界に闘いを挑んだ女性がいた。
黒髪に切れ長の瞳…その名は、山口小夜子。この映画は、生前、山口小夜子と交友のあった松本貴子監督が、彼女と親交のあった人々の証言を集め、残された貴重な映像に触れながら、「山口小夜子」を探す旅に出ます。
本作、いよいよ本日10月31日(土)に公開初日を迎えました。
劇場のシアター・イメージフォーラムは開場前から長蛇の列となり、初回上映は大盛況・満席でのスタートとなりました。映画上映後には本作出演の松島花さん(女優・モデル)、そして松本貴子監督による舞台挨拶が行われました。
『氷の花火 山口小夜子』初日舞台挨拶レポート
日時:10月31日(土)
場所:シアター・イメージフォーラム (渋谷区渋谷2-10-2 )
◆登壇者:松島 花さん(女優・モデル)、松本貴子(監督)
松本:監督の松本貴子です。本日は初日、初回の上映にたくさんの方にお越し頂きまして、大変嬉しく思います。
今日はどうもありがとうございます。
松島:初めまして、松島花です。宜しくお願いします。
松本:チラシだけ見ていた方は、松島さんがどういう事で出ていらっしゃるんだろうと思っていらした方がいらっしゃったと思うんですけど、小夜子さんになるということをしていただいたんですが、久しぶりにこれをご覧になってどうでしたか?
松島:小夜子さんになるというのは、本当に恐れ多い事で、お話しを頂いたときは私で良いのかとすごく思いました。撮影中はただただ夢中でシャッターを押されるたびに動いていたんですけど、小夜子さんをずっとメイクされていた富川さん、そして下村さんをはじめ、(丸山)敬太さん、間山さん、みなさんそれぞれ小夜子さんへの愛がものすごく深くてそれぞれの情熱があったので、その気持ちがメイク中からどんどん私の中にも入って来て、小夜子さんをリアル世代で私は存じあげなかったんですが、写真集だったり母が若い頃に舞台を見に行ったことがあって、お話しで聞いていたりとか、とにかくイメージの中でメイク中からどんどん作り上げていって、ただメイクをしてマネをするってことだけでは済ませたくなかったので、気合が入って皆さんの愛とそういったもので、すごく良いものができたんじゃないかなと思っています。
松本:今日ご覧になった方は見ていらっしゃるんですけど、のりうつってきたかもしれないとおっしゃっていましたが、どうだったんですか?
松島:普段の撮影でも、自分なのに自分じゃないって感覚が常にあるんですが、今回の場合特に小夜子さんという特定の人がいて、そこに向かって突き進んでいくうえで、皆さんの気持ちがどんどん高まっていく中で、一瞬記憶が無くなるというか、撮影中に自分じゃなくなっている気分という時がありました。富川さんも喜んでくださって、素晴らしい物になりました。映画で小夜子さんがおっしゃっていた、「服が教えてくれる、服が勝手に自分を動かしてくれる」という感覚って、恐れ多いんですけど私にもあって、表現をするうえで、クラシックバレエをずっとやっていたので、体が勝手に動く、つま先、手足が動く感覚、顔の動く幅だったりというのは、小夜子さんがおっしゃっていることがすごく共感できました。小夜子さんの身長が今の時代でもモデルは身長が高くないとっていう時代にもかかわらず、当時アジア人で決して周りに見劣りせずに何か光るものがあって、表現をしていたっていうのは、自分を知り尽くしていて、どういう風に見せたら魅力的なのかっていうのを熟知されていて、新しい表現力を見つけ出して磨いていったんだろうなと思ってるところに、尊敬と共感があったりとか、この映画を通して、改めてモデルの楽しさだったり、素晴らしさだったりとかを感じることができました。この作品にこういう形で参加させていただいて本当に光栄だし感謝しています。
松本:ありがとうございます。花さんがこのようにおっしゃっているんですけど、皆さんスクリーンをご覧になって、花さんに小夜子さんがおりて来てましたでしょうか?
会場:拍手
松島:私の世代もそうだし、今ってすごくリアルな物が受け入れられている時代だと思うんですけど、憧れというか、こんなにきれいな人がこの世に存在するんだろうかっていう、この当時のファッションの時代っていうのに私は魅力を感じるし、憧れを感じています。ファッションが好きな方、そうでない方でも、小夜子さんの人生観とか、素晴らしさを、男性にも、女性にも多くの方に見て頂きたい。