公式記者会見が重なった15日(金)は、コンペ出品作2本の会見に続き、14時から行われたウディ・アレン監督の『イラショナル・マン』の会見に顔を出した。

◆前作に引き続き、エマ・ストーンをヒロインに迎えたウディ・アレン監督の軽妙作『イラショナル・マン』

 79歳の名匠ウディ・アレンの最新作『イラショナル・マン』は、悩める哲学科の大学教授(ホアキン・フェニックス)が、小さな町の大学に赴任して学生(エマ・ストーン)と恋仲になったことで“実存の危機”に陥る様を描いたミステリー・コメディで、共演はパーカー・ポージー、ジェイミー・ブラックリーら。

 19時30分からの正式上映に先駆け、14時から行われた公式記者会見にはウディ・アレン監督、エマ・ストーン、パーカー・ポージーの3人が登壇。終始、シニカルなアレン節が炸裂する饒舌会見となった。
 映画作りは人生における疑問を解決するのに役立つかと聞かれるや、「恐ろしい現実についてのポジティブな答えなんてない」と即答したウディ・アレン監督は、「現実に対処する唯一可能な方法は、気を紛らわせること。映画を作ることは素晴らしく気を紛らわせてくれる」と続け、映画館で映画を鑑賞することでも気が紛れるとし、「フレッド・アステアの映画を1時間半観ている間は、自分の死、衰え、老いさらばえた姿を想像しなくて済むからね」と述べ、記者たちを爆笑させた。
 また、前作『マジック・イン・ムーンライト』に続き、エマ・ストーンを起用した理由を「美しく聡明な大学生役を考えた時、すぐにエマの顔が浮かんだ。彼女はプロフェッショナルで素晴らしい女優だからね」とコメントし、惨めな結婚生活を送る孤独な同僚教授役で初起用したパーカー・ポージーについては「パーカーもずっと一緒に働きたいと思っていた女優なんだよ」と言い添えた。

◆タイ国政府国際貿易振興局が主催した“タイナイト”パーティに出席!

 映画祭の期間中は、各国の映画機構が自国映画をプロモートするための華やかなパーティが連日、高級ホテルを会場にして開催される。今宵は19時30分からマジェスティック バリエールホテルのクロアゼット・サロンで催されたタイ国政府国際貿易振興局主催の“タイナイト”パーティに招待されていたので、時間をやりくり(19時から鑑賞予定だったコンペ作『ザ・シー・オブ・ツリーズ』のプレス向け試写をパスし、22時からの上映回で観ることに!)して出席した。

 このパーティはタイ王室のウボンラット王女を迎え、タイ映画の振興をアピールするためのイベントで、王女が挨拶に立つや、タイの関係者が一様に跪いて敬意を表していた姿が印象的だった。会場ではタイ料理がサービスされ、ステージではタイの男女オペラ歌手が歌を披露。スクリーンではタイの人気映画や、『ザ・ビーチ』などタイでロケされた外国映画のワンシーンが次々と流された。
 残念ながら、今年の“ある視点”部門に『セメタリー・オブ・スプレンダー』がエントリーされているタイの監督アピチャッポン・ウィーラセタクン(2010年に『ブンミおじさんの森』でパルムドール受賞)は、まだカンヌ入りしておらず、パーティへの参加は叶わなかったが、タイのエキゾチックなムードは充分満喫できた。
(記事構成:Y. KIKKA)