第28回東京国際映画祭コンペティション部門の『さようなら』(11月21日全国ロードショー)の舞台挨拶が24日、TOHOシネマズ六本木で行われ、本作で“映画初出演”の本物のアンドロイド「ジェミノイドF」が監督と共演者、ジェミノイドFの開発者である大阪大学の石黒浩教授とともに登壇しました。

■日時:10月24日(土)  ■場所:TOHOシネマズ六本木 スクリーン7
■登壇者:深田晃司監督、ブライアリー・ロングさん、ジェミノイドFさん、村上虹郎、石黒浩教授

今回初めてお披露目となる本作。上映前の舞台挨拶では、深田晃司監督、村上虹郎、石黒浩教授に続き、ブライアリー・ロングに押されジェミノイドFが車いすで登場すると会場からは拍手が。
ワールドプレミアを日本でやりたかったという深田監督は、東京国際映画祭のコンペティション部門への選出、そして六本木最大のスクリーンでの上映に万感の思いで挨拶。
主演のブライアリー・ロングは、「『歓待』(2010)で賞(第23回東京国際映画祭「日本映画・ある視点」部門作品賞)を頂いていて、わたしはこの映画祭に育ててもらったようなもの。またここに帰ってくることができてとても嬉しい」と流暢な日本語で会場を沸かした。
アンドロイドのレオナ役を演じたジェミノイドFは「私の演技も思いの外良かったので最優秀女優賞をいただけるのではないか」と述べ、会場が笑いに包まれた。主演のブライアリーさんに「すみません・・・」と気を遣う場面もあったが、「私が受賞するとアンドロイドが女優賞を受賞するのは世界初のこと」と女優賞獲得へ意気込んだ。
「先ほど、ジェミノイドさんに挨拶したのですが、手の感覚とかやばかったです」とジェミノイドの人間っぽさに驚きのコメントするのは村上虹郎さん。そんな村上さんは、希望を無くした世界の中で、唯一希望の光として存在する役どころ。劇中のあるシーンについて「こんなシーンは今後一生経験できない。他に見たことがない」と見どころを語ってくれた。
今回アンドロイドアドバイザーとして関わった石黒教授は、「今まで色んな所でアンドロイドを使ってきたが、アンドロイドを通して人間とは何かを考えるうえで、演出家から学ぶことが多い。アンドロイドを使うことで、人の表現の幅が広がり、新しい可能性を広げられた」と自身のロボット研究の成果を確信し、「“本物の”アンドロイドの映画出演は映画界における大きな一歩であり、歴史に残ることである」と説得力のある言葉で本作の凄さを熱弁して頂いた。
個性派揃いの舞台挨拶、記者会見、上映後のQ&A。中でも本物の人間かのように思えるアンドロイドに場内の観客は始終釘づけ。人間と会話を織りなすジェミノイドFの姿とその発言に会場に笑いがおき、上映後のQ&A終了後には、ジェミノイドFを写真に収めようとする観客が続出。早くも注目女優としての一歩を踏み出した。

映画『さようなら』は11月21日(土)より全国ロードショー。