第28回東京国際映画祭:『残穢【ざんえ】-住んではいけない部屋-』プロデューサー陣が自負!「幽霊でさえ出たがる映画を作った」
『残穢【ざんえ】−住んではいけない部屋−』プロデューサーティーチイン
◆日時:10月27日(火)22:37〜23:07
◆会場:新宿バルト9 スクリーン3
◆登壇者:プロデューサー永田芳弘、プロデューサー池田史嗣
第28回東京国際映画祭コンペティション部門にノミネートされた邦画3作品のうちのひとつ『残穢【ざんえ】−住んではいけない部屋−』の公式上映にて、プロデューサー陣が登壇し上映終了後にティーチインを行いました。
永田氏「中村監督と初めて本作の打合せをしたのがちょうど2年ほど前、ここ新宿でした。
この地で観てもらえることがうれしいです」、池田氏「昨年は『紙の月』、今年は本作でTIFFに参加でき、大変うれしいです」と2人とも感慨深げに挨拶し、観客からの質問にはひやっとするようなエピソードも笑いを交えながら答え、映画のテイストとは真逆に和やかなイベントとなりました。
【Q&A】
Q.撮影中に怖いことはありましたか?
池田氏:撮影中も編集中も不可解な現象はあったのですが、
基本的には中村監督もスタッフも皆、心霊現象否定派です(笑)。
ひとつ編集中に、映っているはずのないものが映っていることに気づきました。
タクシーの中のシーンで、一瞬手が映っているんです。そこにはカメラマンしか乗っていないので、
もちろんカメラマンはカメラを持っているはずだから、おかしいわけです。
まあ我々は幽霊でさえ出たがるくらい、素敵な映画をつくったのだと解釈しています(笑)。
Q.中村監督が撮ることになった理由は?中村監督のライフワークである「ほんとにあった! 呪いのビデオ」に関係しますか?
永田氏:原作者の小野不由美さんが中村監督のファンで、「ほんとにあった! 呪いのビデオ」も
全巻所持しているそうです。原作を書かれているときに、担当編集者との何気ない会話で
「実写化するなら中村監督がいい」とおっしゃっていたそうです。想いというのは通じるんですね。
それが中村監督の耳に入り、監督自身も原作を読んで「これって“ほんとにあった! 呪いのビデオ”に
影響されているはず、自分が撮るしかない!」と思ったそうです。相思相愛でした。
Q.キャスティングについてお聞きします。俳優さんをどう口説かれたのですか?
池田氏:竹内結子さんと中村監督は今回で5回目のタッグ、竹内さんから監督への信頼は絶大なんです。
中村監督が新作を撮るということで出演OKと即答だったのですが、それが怖い話だとあとで聞いたそうで
いつまでも台本を読んでもらえず(笑)。この話、流れるんじゃないかと心配になったほどでした(笑)。
橋本愛さん、佐々木蔵之介さん、坂口健太郎さん、滝藤賢一さんは、怖いのは大丈夫!ということと、
中村監督作品は初ということで、「ぜひやりたい!」とおっしゃっていただけました。
いちばん時間がかかったのは竹内さんでしたね(笑)。
Q.映像化でこだわったポイントを教えてください。
永田氏:長い黒髪のワンピースの女性(『劇場霊』)、白塗りの子ども(『クロユリ団地』)など
実体として怖いものが出てくるわけではないので(笑)、監督も随分悩まれていました。
造形(不気味な黒い影)を最初はあまり怖くないように見せて、ラストだけ怖く見せるなど差をつけたりしています。
あとはこの作品、怖いの前にミステリー性を強めています。「音」からいろんなことにつながる、
それをどう観客に伝えようかと監督が考えていました。
その物事がつながっていく論理性を楽しんでいただけたら、と思っています。