ベネチア国際映画祭で《アウト・オブ・コンペティション》作品としてワールドプレミア上映され、いち早く作品を鑑賞した世界の映画批評家たちが絶賛、更に先日の全米公開後も各メディアが主演のジョニー・デップへ惜しみない賛辞を贈った『ブラック・スキャンダル』。
冷酷な”凶悪犯”ジェイムズ・〝ホワイティ”・バルジャーが起こしたアメリカ犯罪史上、最大のスキャンダルを描いた本作は、ジョニー・デップを主演に、ジョエル・エドガートン、ベネディクト・カンバーバッチやケビン・ベーコンら豪華演技派俳優陣が集結。監督を務めるのは、『クレイジー・ハート』でジェフ・ブリッジスにオスカーをもたらしたスコット・クーパー。バラエティ誌に「ジョニー・デップ史上、最高の演技」、ボストン・グローブ紙にも「(ジョニー・デップは)抑制がきき、集中力が途切れない演技」と絶賛。更に全米公開後にはメディアから「圧巻の演技」と評され、早くもオスカー主演男優賞の最有力候補とみなされているジョニー・デップ。彼の作品史上最高傑作である本作は、日本で2016 年1月30 日(土)より全国ロードショーとなります。

この度、10月7日(現地時間)より開幕した第59回ロンドン映画祭にて10月11日(現地時間)にオデオン・レスター・スクエアでロンドン・プレミアを実施いたしました。

レッド・カーペットに登場したのは、主演ジョニー・デップと、彼の弟役ビリーを演じたベネディクト・カンバーバッチ。米英を代表する豪華2大スターの2ショットが実現。世界5カ国より、TV・スチールフォトグラファー合わせて約200人のマスコミが殺到!集まった3000人以上のファンの熱狂的な期待に笑顔で応えた。ジョニーとの共演について質問されたカンバーバッチは、「もちろんジョニーの方が、僕が弟ビリー役をやると決まるずっと前にホワイティ役(ジミー・バルジャーの愛称)を演じることが決まっていたんだが、僕をこの役に考えてくれていると聞いた時はとにかく嬉しかったね」と当時の心境を語り、また「監督とはそれ以前にいくつかの作品について話し合ったことがあったんだが、彼の仕事、そして彼の作品に出演する俳優の大ファンだったんだ。すばらしい俳優たちと仕事をしてきたということから、彼が(俳優の役作りの)プロセスを尊重する人だということはわかっていたんだが、僕は自分自身のプロセス、演技を常に向上させていこうと努めているので、これは僕にとって良い勉強になると感じた。ボストン訛りだけではなく、すべてが真のチャレンジとなったが、とても楽しいものだった」と撮影時を振り返った。
今回話題を呼んでいる“ルックス”について、ジョニーは尋ねられると「僕のメイクアップアーティスト、Joel Harlow とKenny Niederbaumerと共に5、6回テストをしたんだが、そのうちの一人が「うーん、良い線いってはいるけれどどうかなあ。はい、次!」と言い、試行錯誤した挙げ句、最終的に、最も近いと思われるあるルックスに決まった。そのキャラクターが浮かび上がった時、彼はとても肉体的で、タフな男だったので、更に体格を良くしたんだ。そういう側面、彼の肉体的な面を利用するというのはとても重要だった」と語り、「彼の声の録音はあまり残っていなかったので、ある意味、カンでやっていたが、うまくいったようだった。彼の以前の仲間から手紙をもらったんだが、かなりビビっていたようだったよ(笑)。そう聞いて嬉しかったがね」と役作りに関するエピソードも明かした。
冷酷非情な役を演じているジョニーにあまり親しみのない日本のファンに注目して欲しい点として「この映画で最も重要なのは、最初の10分で映画を観ているという感覚を失うほどになるということだと思うんだ。というのもスコットはすばらしい監督で、彼のカメラの動かし方、使い方が型にはまったものでないというのは確かだ(笑)。カメラをまるで人のように扱い、覗き見しているかのように使う。カメラがあたかも一人のキャラクターとして息をしているかのようなんだよ」と語った。

サウンドバイツ コメント

■ジョニー・デップ
—背筋が凍る様な演技でしたね。これまでにもスクリーン上でルックスを変えるということは経験されていますが、あの様にまったく別の姿になるというは、あなたにとってその役により魅かれるアピールとなるものなのでしょうか?ご自身で満足される様になるまでどのくらい時間がかかりましたか?

当初、僕のメイクアップアーティスト、Joel Harlow とKenny Niederbaumerと共に5、6回テストをしたんだが、そのうちの一人が「うーん、良い線いってはいるけれどどうかなあ。はい、次!」と言い、試行錯誤した挙げ句、最終的に、最も近いと思われるあるルックスに決まった。そのキャラクターが浮かび上がった時、彼はとても肉体的で、タフな男だったので、更に体格を良くしたんだ。そういう側面、彼の肉体的な面を利用するというのはとても重要だった。彼の声の録音はあまり残っていなかったので、ある意味、カンでやっていたが、うまくいったようだった。彼の以前の仲間から手紙をもらったんだが、かなりビビっていたようだったよ(笑)。そう聞いて嬉しかったがね。

ーここまで冷酷非情な役を演じているあなたを日本のファンは見たことがないと思いますが、日本のファンに、この作品の特にどのようなところに注目してほしいですか?

この映画で最も重要なのは、最初の10分で映画を観ているという感覚を失うほどになるということだと思うんだ。
というのもスコットはすばらしい監督で、彼のカメラの動かし方、使い方が型にはまったものでないというのは確かだ(笑)。カメラをまるで人のように扱い、覗き見しているかのように使う。カメラがあたかも一人のキャラクターとして息をしているかのようなんだよ。カメラの存在に気づかないし、派手な小手先のことは何もしない。彼のアプローチはとても勇敢で、ある意味、過激だったね。

■ベネディクト・カンバーバッチ
ーギャングの兄を持つ政治家という複雑な立場の役を演じましたが、ビリーは兄との関係性をどのように感じていたのだとお考えですか?

大いなる忠誠心を感じていた。彼は実際、あえて見て見ぬ振りするという微妙な立場を取った。脚本にもあるように、「ジミーのビジネスはジミーのビジネス(私には関係ないこと)」だというわけだ。ああいった緊迫感を映画の中で表現していこうとしたんだ。二人きりの時にお互い何を言い合ったのかは誰も知らない。当時、あの町で最も権力を持つ両極端の存在だったにもかかわらず、二人が共謀したという証拠は残っていない。これはすばらしい物語で、信じられないほどだね。それこそが、とても複雑で、人間的であり、追求していくのが興味深いと感じることなんだ。そのため、僕とジョニーはかなり早く固い絆を結ばなければならなかった。奥が深いマテリアルを追求し、理解し合い、お互いをみつめる瞬間を持つことが必要だった。言葉で言うのではなく、2人の間の共謀、理解を示すということだ。だから映画の中で示唆し、言及したいと思ったことの中に、実際に起こったかはわからないというようなものは一切ない。僕とジョニーがやった、俳優が兄弟間の関係、心理を模索していくという作業は、僕たち二人の間だけの話であり、それを僕たちが頭に入れた上でセットに臨んだ。そういうやり方だったんだよ。そこから先は監督と編集者に、二人の関係の何を残して何を残さないかという判断を任せた。その結果を嬉しく思っている。

ージョニー・デップさん兄弟を演じると最初に聞いたとき、どう感じましたか?共演はいかがでしたか?

というか、もちろんジョニーの方が、僕が弟ビリー役をやると決まるずっと前にホワイティ役(ジミー・バルジャーの愛称)を演じることが決まっていたんだが、僕をこの役に考えてくれていると聞いた時はとにかく嬉しかったね。監督とはそれ以前にいくつかの作品について話し合ったことがあったんだが、彼の仕事、そして彼の作品に出演する俳優の大ファンだったんだ。すばらしい俳優たちと仕事をしてきたということから、彼が(俳優の役作りの)プロセスを尊重する人だということはわかっていたんだが、僕は自分自身のプロセス、演技を常に向上させていこうと努めているので、これは僕にとって良い勉強になると感じた。ボストン訛りだけではなく、すべてが真のチャレンジとなったが、とても楽しいものだった。