第28回東京国際映画祭にて、今回から新設されたパノラマ部門へ正式出品された映画『ラスト・ナイツ』。その初回上映であり、ジャパンプレミアとなった、10月29日(水)TOHOシネマズ六本木での上映前、紀里谷和明監督&伊原剛志が登壇しての舞台挨拶が行われました。

満席の場内、MCに呼び込まれた紀里谷監督と伊原は客席から登場!観客に『ラスト・ナイツ』仕様の“特製名刺”を配りながらステージに上がると、「この日を夢見て、今日まで頑張ってきました!」と感慨深い様子の紀里谷監督に続き、「こんばんは、モーガン・フリーマンです!」とのっけから爆笑を巻き起こす伊原。

本作について、どのようなビジョンを持って取り組んだのかと問われると、紀里谷監督は「この映画のストーリーのベースは忠臣蔵です。いわば、シェイクスピアの戯曲『リア王』をベースに日本人キャストで映画化した黒澤明さんの『乱』の逆バージョンをやるようなイメージでした(日本の物語を世界各国のキャスト&スタッフで作るという意味で)。そして、本作がこれからの日本映画にとって、一つの“可能性”を提示できたらという思いもありました」。

続いて撮影時のエピソードを問われると、伊原は「紀里谷監督の仕事ぶりには全キャスト、全スタッフがリスペクトしていました。紀里谷監督は(ハリウッドという環境、外国人キャスト&スタッフとの仕事、極感のロケ地での過酷な撮影など)様々な意味で“闘って”いました。そんな監督の背中を見て奮い立ち、私も闘いながら撮影に臨みました」。伊原の言葉を聞きながら感極まったのか、目に涙を浮かべながら語り始めた紀里谷監督は「映画は自分の子供のようなものです。この映画はマイナス20℃〜30℃の状況下、毎日12時間の撮影しながら、『これで命を落としてもいい』という覚悟でやりました。そうして産まれた我々の子供を好きになっていただけたら嬉しいです。本当に命懸けで創りました」、そんな心からの想いに静かに聞き入る観客。

そして主演クライヴ・オーエンやモーガン・フリーマンなど、世界的な大物俳優との仕事について、紀里谷監督は「技術も人柄も素晴らしい方々でした。願わくば(これからの日本人監督も)国や人種を超えて映画を創っていけるようになったら」と語ると、伊原は「彼らの存在に負けない存在感を出そうと意識しましたが、完成した映画を見て、『あ、俺も意外とやれてるな』と思いました(笑)」と、茶目っ気たっぷりに話すと、笑いに包まれる場内。

ここで、紀里谷監督が、来場していた盟友でありプロデューサーのルーシー・Y・キム&ケイト・ホンの両女史を紹介すると、最後に再び目に涙を浮かべながら「“日本映画”と“世界映画”が一つになればと(国や人種や条件など、あらゆることに分け隔てのない映画づくりが出来るような環境になればと)願っています!」と語ると、場内は大きな喝采につつまれながら、舞台挨拶は終了いたしました。