【柴内裕子】
高齢者問題は日本が抱えている大きな問題で、高齢者の医療費を若い人が支えないといけません。そのことで、今、世界各国でも動物との触れ合いで削減できる可能性があるとのことですが、もしお年寄りが一人暮らしている場合、朝おきるのが嫌な場合もありますよね、そんなことが続けば、どんどん体力が失われることになります。ただ、動物を飼うことで、規則正しい生活に導いてくれるし、なにより楽しいんです。お年寄りは時間や心に余裕があるので動物も幸せだと思います。
ただ、問題になっている認知症になると動物を不幸にする可能性もあります。そういう場合、近くに暮らす若い方が、動物もお年寄りも気遣って声をかけるのが大事です。また、孤独死に動物が巻き込まれる可能性もあります。今、私は高齢マンションのプロジェクトを進めていて、その中の一部を動物を住めるマンションにしようとしています。これが結果いい方向に向けばどんどん増やしたいと思っていますが、ここにも問題があります。高齢者のための住まいですから高齢者のためのケアが必要です。でも、そこにいる動物たちのことがほったらかしでは困りますので、近くに獣医科大学や動物の看護学校の学生にその高齢者の方のもとに出向いて頂けるようにボランティアをしていただくことになりました。大学サイドも学生にボランティア精神を活用していきたいと、考慮してくれることになったんです。

【越村義雄】
この施設を早くつくることによって、健康寿命の延伸にもつながるとおもいます。最後に、人とペットの理想の関係をお伺いしたいとおもいます。ペットと暮らすことによってどう楽しくなると思いますか?

【於保実佐子】
出張が多くてペットが飼えなかったですが、今やっと念願の猫を飼うことができました。今は、週末しか会えないんですが、(仕事で)ヘトヘトの私を癒してくれます。一心に愛情を求めてこちらに向かって来てくれると、なんて愛おしいんだと思うんですね。こうやって頼ってくれるんでれば、こちらも精いっぱい幸せにさせてあげたいと思うわけです。なので、一方的にペットから癒しや幸せをもらうだけでなく、こちらからも返していくことにより、お互いに幸せになれるとおもいます。そして、そんな風な世の中になっていけばいいなと思います。

【越村義雄】
大変素晴らしいお考えだなと思いました。山?先生はいかがでしょうか?

【山崎薫】
私は、生まれてから記憶にあるだけで、生活の中で動物がいなかったことがないんです。いなかった時のことを想像しかできないんですが、そんなことがあったら本当に寂しいとおもいます。
人間は一人では生きていけない、自然の中で、他の命を生きていくことが幸せなんだと思っています。ジオトロジー(老年学)は、生まれてから亡くなるまでの命のことを学ぶ学問があります。ジオトロジーとドックウォーキングという授業を大学で2年前から始めています。これは、犬と一緒に散歩する、これにどういう効果があるかというのを勉強していくことをいいます。ともに歩んでいく、これが人間にとって一番大事なことで、また猫や犬のように、今いる犬や猫は、突然日本に現れたわけでなく、鼠を退治するために中国から連れて来たわけです。人間がつれてきたもの、そういう動物たちと人が生きていくことは当たり前で、自然なことなんです。戦争のある国では、動物のことを心配していられませんが、平和な日本にいる私たちは動物がもたらす効果を世界に発信していかなくてはいけない。それが、今私たちに出来ることだと思います。

【越村義雄】
犬との散歩する男性は、0.44歳延びる、女性の場合は2.79歳延びるということで、家で旦那と一緒にいるよよりは、外に犬と散歩をする方が健康寿命が延びると言われています。特に女性は早い段階から散歩をされる方がいいようです。太田先生はどうお考えでしょうか?

【太田光明】
犬や猫を飼っているとおそらく笑いが絶えない、楽しいんです。私は、長男とは決して仲が良くないんですけど、最近、柴犬を飼い始めました。それによって親子の笑いがでてきて、家族が円満になりました。犬から人の繋ぎを実感しています。

【越村義雄】
実は、ペットフード協会で、“生活に最も喜びを与えるものは何ですか?”と聞いたところ、猫を暮らしている方は、家族よりも一番に「猫」という答えが出るんです。2番に「家族」、3番に「趣味」になります。犬の場合は、1番に「家族」、2番に「趣味」、3番に「犬」という大変面白い結果もでています。

【柴内裕子】
今もお話ありましたが、猫は大変気まぐれな性格です。良い環境があれば、そこに住み着いてもいいと思うのが猫なんです。何年か一緒に住んでいても居心地が悪くなると突然いなくなったりすることもあります。
人と動物が気持ちよく過ごせる世界をつくっていかなくてはいけない。動物は飼い主を選ぶことはできません。だから動物からしたらどんな人であれ、飼い主が一番良いと思う。それほど愛おしい関係になるんです。
今まで、飼い主と動物のたくさんの別れを見ていますが、動物が一番喜んでいるのは、家族がニコニコしている時なんです。別れが辛いから飼うことを嫌がる人もいますが、別れも見送るのが飼い主の責任。別れの時も、元気な時のことを思い出して飼い主自身も元気になってほしいです。失ってしばらくしたら、その時のことを思い出して、そして、その時の経験を活かして、もう一つの命を預かってほしいとおもいます。前の子の恩返しは人類として次の命を預かってあげることが一番幸せだとおもいます。人は代わりがないとなかなか補えない動物ですが、そういう補い方だったらきっと価値があると思います。多くの方々に伝えて頂ければと思います。

【越村義雄】
私は、ペット産業は、ある意味、健康産業でもあり、教育産業、平和産業でもあります。ある意味では創造産業だと思っています。『先生と迷い猫』の映画の公開によって、ペットと暮らす方が増え、幸せな社会づくりに貢献できればこの映画の素晴らしさが皆さんの中に残っていくのではないかと思います。