昨年、「京都映画祭」の伝統と志を引き継ぎながら、新たな映画文化の創造をはかるべく幕を開けた「京都国際映画祭」。「映画もアートもその他もぜんぶ」をテーマに、映像だけでなく広くアート分野をもカバーする内容で好評を博した同映画祭が、今年も10月15日(木)〜18日(日)、よしもと祇園花月をはじめ京都市内各所にて開催されます。9月7日(月)にはプログラム発表会が行われ、上映・展示作品や各種イベントの詳細が発表されました。

発表会の司会はピースのふたりとKBS京都アナウンサー・遠藤奈美さん。「京都は、変も乱も好き♥」という今年のテーマを紹介するオープニング映像の後、まずは門川大作京都市長の挨拶からスタートです。門川市長は「東洋のハリウッドを呼ばれた日本映画の聖地ともいえる京都。立誠小学校跡地は日本で最初に映画が上映された地でもある」と、京都と映画の関わりの深さに触れ、本映画祭は「京都映画祭の流れをくみ、吉本さんとのコラボレーションでより想像力豊かなものにしていこうというもの」と改めて説明。世界で一番訪れたい都市に2年連続で選ばれるなか、「継続して発展していくのが務めであり、伝統も大切しながら創造的に活動していくのが使命」とも話し、本映画祭においても「想像力あふれる作品が出てくるのではと期待しています」と述べました。

本映画祭の運営を担う「きょうのよしもと」からは、代表取締役社長・木村深雪が登壇。昨年の第1回をふまえ、さらに飛躍したいと相談を重ねてきたという今回。「コンテンツのひとつひとつが思いのこもったもの」と胸を張り、「映画の街・京都で愛される映画祭として深く広くつながっていきたい」と抱負を語りました。

さらに、本映画祭実行委員会事項委員長である映画監督・中島貞夫さんも挨拶を。「この映画祭の特徴は『映画もアートも』。なぜそうなるのかということですが、京都の映画の歴史、特に時代劇を支えてくれたのが、実は伝統工芸の部分なんです。今年はこれをひとつのポイントに、私自身が『時代劇は死なず ちゃんばら美学考』というドキュメンタリーを制作し、京都の伝統工芸がいかに京都の映画を支えてきたかという部分に触れている。京都の伝統工芸は、当時の京都のアートの先端であり、京都では映画とアートが根深く広範囲にわたって展開してきたことを起点に、今年は映画もアートも大きく羽ばたいてもらいたい」と思いを語りました。

続いては、同映画祭総合プロデューサーを務める奥山和由さんによる概要説明が行われます。開口一番「映画祭は、考えれば考えるほどゴチャゴチャになるところがある。考えすぎて(テーマが)『変と乱』になった」と奥山さん。そんな熟考の末に生まれたプログラムについては、「映画もアートも自由表現。自由は快楽と同時に危険を伴います。危なっかしいからこそ魅力がある」。今回上映される『ワレワレハワラワレタイ(仮)』『HEE〈メイキング〉』『追憶』といった作品を例に、「京都に来ないと見られないという映画を集め、未来に羽ばたいていく才能も開発する映画祭にしたい。京都という懐に甘えさせていただき、危険な映画をどんどんやっていきたい」と狙いを語りました。「今日発表するもの以外にも、『上映はいかがなものか』と言われるようなエッジのきいた作品を並べていきたい」とのことで、期待が高まります。

奥山さんの話が長引き、呼び込まれるなり「(持ち時間が)25秒しかないと言われましたよ!」とクレームをつけて笑わせたのは、「アート部門」プロデューサーのおかけんた。「今年はアートと映画の融合をテーマにした」そうで、中島監督の作品で使用された小道具の展示なども行われるとのこと。また、京都市役所前では風を使って動くテオ・ヤンセンの巨大作品『アニマリス・シアメシス』が展示され、「京都に新しい風を吹かせます」とアピールしました。