当時のインディペンデントシーンに衝撃を与えた『三月のライオン』(92)から疾走を続け、来年には『無伴奏』(出演:成海璃子、池松壮亮、斎藤工、原作:小池真理子)の公開を控える矢崎仁司監督が、今年 『×××(キス キス キス)』を完成させました。 新人脚本家 5人が監督へオリジナル脚本を持ち込み、生まれた異色のプロェクトです。その5つの脚本は短編(儀式/背後の虚無/さよならのはじめかた/いつかの果て果て/初恋)となって繋がり≪KISS≫の物語を誕生させました。

矢崎監督の原点となる自主制作の、インディペンデントの自由な舞台のもと、目を輝かせた俳優たちが今までにない演技を見せ、自由にスクリーンを彩ります。
9月5日(土)に下記の通り初日舞台挨拶を行いました。

2015年9月5日(土)初回上映後
登壇者:矢崎仁司監督、(以下、出演俳優五十音順)
    荻野友里、柿本光太郎、加藤良輔、川野直輝、草野康太、
塚田美津代、中丸新将、松本若菜、安居剣一郎、吉田優華、涼香
会場:新宿K’s cinema(新宿駅東南口階段下る 甲州街道沿いドコモショップ左入る)

●登壇コメント:

矢崎「一昨日できて、まだ大きな画面で観れていないんだけれど、撮影が終わった後にラッシュを観ていたら、無性にキスしたくなったんで、きっと今皆さん、早く家に帰ってキスをしたいのではないかと思っています。」

Q.一言ずつお願いします。

松本「5作品共今日初めて観ました。それぞれキスが題材になっている作品ですけれど、それぞれのキスの色っていうのがあって、とても見応えのある2時間45分だと思いました。でもやっぱり(自分が出ている)『儀式』が一番好きだな。」

会場笑い

加藤「僕はまだ映画を観れていないんですけれど、キスがしたい・・・やっぱりそこに尽きるなと思います。」

柿本「僕の役は同性愛の役で、ちょっとヘビーなんじゃないかと思っていたけれど、全5作初めて内容を観てみて、僕のもそんなに重いわけじゃないんだなと思いました。自分で言うのもなんなんですけれど、かわいいなと思いました。」

安居「僕もキスっていいなって思ったんですけれど、(劇中のキスは柿本)光太郎君とで、しかも口をつけていなかったんで、結構状況によってキスの仕方も違うんだなと思って、興奮しました。」

中丸「最年長の中丸新将でございます。70歳という役で、自分でできるかなと思ったんですけれど、正直ぐっときました。監督、ありがとうございました。」

塚田「初めて自分で観て、自画自賛ですけれど、とても素敵な映画だと思いました。本当に平凡な人が出ている話ですけれども、勝手な解釈なんですけれど、”全ての人がキラキラしているんだよ“ということを象徴している最後のシーンがとてもよかったです。」

涼香「大きいところに自分が映るのはまだ慣れていなくて、すごく恥ずかしくて、でも、出れたことがすごく嬉しくて、感謝でいっぱいです。」

荻野「撮影当時の虚無感というかふわふわした感じがそのまま映像になっているなと思いました。個人的には(『背後の虚無』の)タバコとタバコのキスが一番エロかったなと思います。」

草野「キャストはこれだけいるんですけれど、スタッフの数が本当に少数だったので、映画を全編観て、現場の大変さや過酷さが映っていないことが感動でした。」

川野「5本分の余韻があって、笑いが止まらないんですけれど、いろんなキスがあると思いました。また観たいと思います。」

吉田「矢崎ワールドの画の美しさを感じました。『初恋』の最後の青空が個人的に一番大好きなシーンです。」

Q.全編山梨で撮られて、監督のご自宅が現場にもなったと聞きました。合宿のような形で撮影していたとのことですが、いかがでしたか?

松本「撮影自体私は2泊3日で撮ったんですが、その内1度しか監督のおうちにお伺いすることはできなかったのですが、そこで5人の脚本家の方たちがご飯を作って待っていて下さって、それがすごく楽しみで、おいしかったので印象深いです。私は出身が鳥取県なんですけれど、山梨はちょっと似ている部分があったので、とてもリラックスしながら撮影ができました。」

加藤「手作りのごはんを運んできてくださって、みんなが一つになって作っている環境だったので、すごく緊張していたんですけれど、すっと入っていけるというか、上手くほぐしてもらいました。皆があったかくて、いい現場でした。」

柿本「ご飯がすごくおいしかったです。撮影3日間で、全部監督の家に泊ったんですけれど、2日目の夜シャワーが出なくてお風呂に入れなかったんです。次の撮影まで3時間か4時間しかなくて、シャワーが出るまで待つか、寝るかの選択で、すごく疲れていて、”お風呂に入らずに寝る”を選択して、風呂に入らずに次の日撮影に挑みました。ちょっときつかったです。(会場爆笑)いや、楽しかったです。ホームな感じがして。またやりたいなと思いました。」

安居「バイクも僕の自前で持って行ったんです。だから自宅から監督の家まで行きました。その日、花火大会と重なっちゃって、ホテルが取れなくて、ずっと監督の家に寝泊まりしていたんですけれど、撮影してごはんを食べて、親戚の家に遊びに行って帰ってきたような感じで楽しかったです。」

中丸「最後、女房が『あなた、明かりを消しますね』と言うシーンを、監督のお母様のお部屋で撮らせて頂きました。ごはんも真ん丸だとか三角だとかパターンも色々で、サンドイッチもおいしかったし、何よりも撮影が終わって、監督の仕事場でビールを呑みながら食べたおつまみが楽しみでした。ごちそうになりました。」

塚田「新宿からバスに乗って山梨に行ったんですけれど、山梨に入った途端に空気感が変わったなと思って、しかも撮影したところはもっと田舎だったので、本当にいいところでした。本編の中にありますけれど、おにぎりは大葉のおにぎりなんですね。今も作って楽しんでいます。」

涼香「山梨は初めてで、泊まりでの撮影も初めてで、初めての経験ばかりだったんですけれど、すごく皆優しくしてくれて、大葉のおにぎりもすごくおいしくて、楽しかったです。」

荻野「私たちの作品はオール深夜ロケで、遅くまで撮影してヘトヘトになって帰ってきて、私たち役者はホテルに泊まらせて頂いたんですけれど、お昼は皆で食べようということで、お昼ご飯は監督の家に集まって食べに行っていました。到着すると、監督が大の字で死んだように居間で寝ていらっしゃるお隣で、監督のお母さんがお茶を飲んでいるというすごくシュールな現場を毎昼目撃して、それがすごく愛おしかったです。私のオススメの差し入れはサンドイッチで、ママレードジャムとスライスチーズのサンドイッチがとてもおいしくって、私も自宅でマネしてます。ごちそうさまでした。」

草野「僕らの『いつかの果て果て』は、ちょうど去年の9月5日が最終日だったんですよ。9月5日に撮り切れれば帰れるということで、結局帰れない人もいたのですが、荻野さんとかを置いて僕はそそくさと帰りました。ちょうど1年前の今のこの時間に朝飯と昼と夜を兼ねた食事を大量に頂きました。おいしかったです。」

川野「僕もおにぎりの話なんですが、無添加なんで、体にもいいし、都内のロケ弁に比べて、手作りはいいなって思いました。山梨の景色もきれいで、その中でのロケもよかったです。」

吉田「スタッフさん含め全員で衣食住を共にするというか、毎晩私たちは大家族のように食卓を囲んで食べました。朝は、照明の大坂さんがバイクで走っていく姿が爽やかだったりとか、スタッフさんもキャラが濃く、まとまって和気あいあいとした現場でした。」