伝説の漫画雑誌「ガロ」に連載され、日本漫画家協会賞優秀賞を受賞した、天才漫画家・杉浦日向子の傑作を実写映画化した『合葬』。幕末、将軍の警護の為結成された「彰義隊」を舞台に、時代に翻弄される若者たちの青春を描く、全く新しい時代劇として海外からも熱い注目を集め、第39回モントリオール世界映画祭の「ワールド・コンペティション部門」に正式出品が決定しました。

現地時間9月3日(木)(※日本時間4日(金))、カナダ・モントリオールにて、記者会見とプレミア上映会が行われ、主演の瀬戸康史と小林達夫監督が参加致しました。

プレミア上映 舞台挨拶
(9月3日(木)PM21:30〜※現地時間/会場:Cinema Imperial)
昨今の日本ブームもあり、本作への海外からの興味度は高く、夜遅い上映時間にもかかわらず、20代の女性グループを含め老若男女たくさんの観客がつめかけました。上映前に主演の瀬戸康史さんと小林達夫監督が登壇。美しいグリーン色の着物姿で登場した瀬戸康史さんに観客からは大きな歓声が起きました。小林監督からの挨拶に続き、瀬戸さんは、完璧なフランス語で挨拶。その発音は、通訳が「以前、フランス語を勉強していたのですか?」と聞くほど素晴らしいものでした。瀬戸さんは俳優デビュー10年目の節目の年に、初めて国際映画祭に参加したことへの感謝と、作品に描かれたテーマ「武士道」にからめた熱いメッセージを伝え、大いに観客を沸かせました。

<小林監督 挨拶>
「合葬」の監督の小林達夫です。この映画は、僕にとって初の本格長編映画になります。
このような立派な映画祭にご招待頂き、大変光栄に思っております。
約260年続いた江戸時代が終わり、明治へと移り変わる激動の時代に、どんな人々がいて、どんな青春があったのかを描いています。普遍的な時代の出来事として観て頂けたら嬉しいです。

<瀬戸康史 フランス語での挨拶>
Mesdames et messieurs, Bonsoir! Je m’appelle Koji Seto.
Je suis heureux de me trouver debout sur une scène magnifique comme ici.
Le film ‘GASSOH’ est une œuvre décrivant la vie de jeunes samouraïs inconnus qui ont vecu à la fin de ‘l’époque d’Edo’, c’est-à-dire, dans une ère mouvementée marquant la fin d’un monde dans l’histoire du Japon.
Le film dépeint la vie quotidienne des samouraïs et les combats pour leur résolution tout en ayant des embarras, des soucis, et ce dans une époque où les samouraïs étaient sur le point de disparaître dans la société.
Les samouraïs chérissent les bienséances et les manières et ils ont un esprit fort de fidélité respectable même par les jeunes japonais de nos jours.
Les samouraïs ont disparu, mais l’âme de samouraïs ‘Bushido’ reste dans notre esprit en nous qui vivons à l’époque contemporaine.
‘Bushido’ qui reste pour moi en tant qu’acteur, c’est la résolution de mettre la vie à chaque moment.
Pour moi ‘GASSOH’ est un film pour lequel j’ai fait tout en mettant ma vie à chaque scène et à chaque mot de mon rôle.
Je vous souhaite à vous tous présents aujourd’hui un bon cinéma jusqu’à la fin.

【日本語訳】
皆さん、こんばんは。瀬戸康史です。
このような素晴らしい場に自分が立っていることを、幸せに思います。
映画「合葬」は日本の歴史において、「江戸時代」の終焉、つまり世の中の終わりの激動の時代に生きた、名もない若い侍達の姿を描いた作品です。
映画では侍が世の中から姿を消そうとしている時代に、彼らの日常や、迷い、悩みながらも志のために戦っている姿を描いています。
侍は礼儀や作法を大切にし、忠誠心の強い、現代の我々日本の若者にとっても尊敬すべき精神をもっています。
侍はいなくなってしまいましたが、現代を生きる僕らにも侍の心、「武士道」が残っています。
私が役者として、宿っている「武士道」はその一瞬一瞬に命をかけるという覚悟です。
私にとって「合葬」は1シーン、1シーン、台詞一言、一言に命をかけて作った映画です。
今日お越しいただいた皆さん、どうぞ最後までお楽しみ下さい。

プレミア上映後の反応

エンドロールに入った途端、感動した観客たちから自然に拍手が湧き起こりました。全ての上映が終わった後、再度盛大な拍手に会場が包まれました。観客と一緒に映画を鑑賞していた小林監督と瀬戸さんが客席に向かって一礼し、会場を出ようとすると「素晴らしかった!」と次々に握手を求められ、更に劇場のロビーでは観客からの感想と質問が殺到。なかなか会場を去れない状態が約40分間続きました。(写真④)

<瀬戸康史 プレミア上映後の感想>
自分たちは日本の歴史を知った上でこの映画を観ますが、日本の歴史を知らない海外の方々がご覧になって、
どう捉えたのか、どう感じたのかが、気になります。映画が終わって拍手を頂けた事がとても嬉しいです

<<上映後の海外の観客の反応>>
★クロード・ガニオン監督(カナダで非常に著名な映画監督)
非常に素晴らしく、非常にユニークな作品。

★50代男性 
本当に素晴らしい映画でした。
なぜならば江戸時代から明治時代へ、伝統的な時代から現代に移る移行期を描いた作品であり、このような時期をテーマに選ばれるというのは、稀なことではないでしょうか?ある人々は、時代の移り変わりを受け入れ、一方では拒絶をするという事が特に興味深かったです。アイデンティティが失われるのが移行期の一つの特徴だと思いました。

★30代男性
映像が特に素晴らしかったです。この作品はセットで撮影したのか、今でもこのような場所が日本に残っているのでしょうか?

★20代女性 
瀬戸康史さんのフランス語のスピーチ、とてもお上手で驚きました。日本文化と日本映画が大好きなので、とても楽しめました。

★40代男性
死を取り扱っている内容なのに、とても綺麗な映画でした。