8月8日(土)より、大ヒット上映中の映画『さよなら、人類』。公開初日から、満席の回も出る好調なスタートをきり、YEBISU GARDENCINEMAオープン以来、初日・2日目の動員・興収記録1位となり、また最高の日計動員記録も更新しました!
そして、なんと9月1日には2016年のアカデミー賞外国語映画賞のスウェーデン代表に選出されることが決定!
日本の公開から約1か月が経つにも関わらず、注目度は高く、連日多くのお客様にご来場いただけております。

ロイ・アンダーソン監督の作品は、1シーン1シーンがまるで絵画のような、徹底的に作り込まれた映像美が魅力のひとつ。
CG全盛期の現代にも関わらず、巨大なスタジオにセットを組みマットペイントを多用して、細部にまでこだわった配色や美術は、業界の垣根を越え、日本でもトップクリエイターの方々をも魅了するほどです。

今回、本作のパンフレットにも寄稿して下さった映画『CASSHERN』や宇多田ヒカルのPVなどを手掛ける日本を代表するマットペインターの木村俊幸さん、そして、本作にコメントを寄稿して下さった建築評論家の五十嵐太郎さんに、映画のヒットを記念して、プロのお2人の目線から、ロイ・アンダーソン監督の驚異のアートディレクションについてお話いただいたトークショーを実施いたしました。
プロでも見分けがつかないほど作りこまれたマットペイント技術の高さや、さまざまな西洋絵画から影響を受けた構図は、ロイ・アンダーソンの造詣の深さを感じさせる!とのお話まで…大変興味深い内容のイベントとなりました!

【イベント概要】
■日時 :9月2日(水) イベント21:00〜21:30(19:10の回終了後)
■会場 :YEBISU GARDEN CINEMA(渋谷区恵比寿4-20-2恵比寿ガーデンプレイス内)
■登壇者 :木村俊幸さん(コンセプト・マットアーティスト/VFX監督/美術家) 
五十嵐太郎さん(建築評論家)

トーク内容

<映画の感想について>
木村さん:「『さよなら、人類』は、幻想的なのにすごくリアル。哀しみや喜びが絶妙に描かれていって、
まるで、面白い夢を見たのに話せない…そんな朝逃げてしまった夢のような映画ですよね。」と熱く話した。

五十嵐さん:「登場人物が白塗りでまるで彫刻のよう。ジョージ・シーガルという(彫刻家)のアーティストがいますが、
日常を切り取る感じなど近い雰囲気を感じました。空間の表現も独特で非常に興味深かったです。」と作品を観た印象を話した。

<『さよなら、人類』の映画美術について>
木村さん:「マットペイント(背景画)を使っているとは聞いていましたが、ほとんど気づきませんでした。
そもそもマットペインターは映画において隠れた存在です。しかもCG全盛の時代手描きで仕事をする人は絶滅危惧種といっていいほど。
通常、SF作品では多く用いられるマットペイントですが、この作品のように”日常”を撮影するためにこんなに多用するのは珍しいですよね。
しかもそれが自然に見える。監督の目には、すごいものが仕込まれているんじゃないかと思いました!」と語った。

<『さよなら、人類』での空間演出について>
五十嵐さんは「空間が、斜め45度で作られているショットが多くて、独特だなと思いました。
固定カメラなのに奥行を出すために効果的に演出していて、面白いですよね。印象に残ったのは、18世紀の国王が登場するシーン。
手前は静止画のようなのに、後ろの窓の外では騎馬隊の列が絶えず動いている。西洋絵画の屋内の表現は長い歴史がありますが、
ロイ・アンダーソン監督の作品を観ていると、そんな絵画と映画の繋がりを感じて、より楽しめるのではないかと思います」と話した。

お2人そろって、1度だけでなく2度3度見ても楽しめる映画!と絶賛の内容の濃いトークイベントとなった。