映画『日本のいちばん長い日』本木「是非、皇居試写をやりたい!」大ヒット御礼舞台挨拶
映画『日本のいちばん長い日』 (8月8日公開/アスミック・エース、松竹配給)は、昭和史研究の第一人者・半藤一利の傑作ノンフィクションを、『クライマーズ・ハイ』『わが母の記』の原田眞人監督が完全映画化。太平洋戦争終戦の舞台裏では何が行われていたのか? 日本の未来を信じ、今日の平和の礎を築くため、身を挺し闘った人々の物語に挑みます。ベテランから、躍進目覚ましい若手俳優まで、今の日本映画界を代表するキャストの豪華競演が実現。すべての日本人に伝えたい、戦後70 年の壮大な記念碑となる感動作が、ここに誕生しました。
このたび、8月8日に全国公開となった本作の大ヒットをうけ、8月13日(木)に新宿ピカデリーにて主演の役所広司、本木雅弘、松坂桃李、そして原田眞人監督が登壇しての大ヒット御礼舞台挨拶を実施いたしました。
『日本のいちばん長い日』 大ヒット御礼舞台挨拶 概要
【日時】 8月13日 (木)
【場所】 新宿ピカデリー スクリーン1
【登壇者】 役所広司(59)、本木雅弘(49)、松坂桃李(26)、原田眞人(66) *敬称略
上映後に行われた舞台挨拶。まずは主人公・阿南惟幾陸相を演じた役所が「やはり映画というものはお客さんが観て、はじめて完成するものだと思います。みなさんこの作品を他の方にもすすめていただければと思います」。本木は「公開されてから関係者や同級生からの反応をいただいてホッとしています(笑)」とコメント。司会からの「すでに2回目以上本作を観ている方?」との問いにたくさんの手が挙がると松坂は「これだけたくさんいるのは嬉しいですね。是非3回目も!(笑)」とコメントし会場を沸かせる。原田監督は「いま(同時期上映の)『ジュラシック・ワールド』は800館以上で上映されています。この作品が800頭の恐竜に210(館)の歩兵が竹槍を持っていい戦いをしてくれています(笑)よろしくお願い致します。」と挨拶。
公開から5日を迎え25万人を動員し、15日からは50スクリーン増え拡大上映が決定している本作だが、周りの反応に役所は「(自身が演じた役を)水野晴郎さんに似ていると言われてショックを受けている(笑)」と話し笑いを誘う。また「公開日初日に鑑賞したという息子さんからの反応はどうでしたか?」の問いに本木は「彼なりに観て「なぜもっと早く終戦をむかえられなかったのか」というジレンマを抱えながらも、終戦に向けてどれほど難しい時代で、苦悩していたのかというのが伝わっていました」と述べた。「家族以外の方ではどんな方に観て欲しいですか?」と問われると隣に立つ原田監督の耳打ちを受け本木は「是非皇室関係の方に、皇居試写をやっていただきたいです!」と訴えかけた。
この日の舞台挨拶の客席には若い方も多く、本作を若い方も多く鑑賞しているとのことに松坂は「この作品をきっかけにしっかりと70年前に起きたことを見つめなおして今を伝えていこうという意識がすごく高まったので、もっともっと若い世代の方に観て頂きたいなと思います」とコメント。原田監督は「僕自身がやっていたわけではないのですが、学生の頃は反戦運動が大きかったので戦争はやってはいけないものという意識はありましたね、第二次世界大戦に関しては学校の授業ではなかなかやってくれなく、アメリカの戦争映画を観て育っていたので、僕自身は最初連合国軍側でしたね。こういう御聖断、昭和天皇の部分というのは隠されたままだったので、そういう真実は全くわからなかったですね」と振り返った。
ここで、戦後70年、8月15日の終戦記念日。この日から、今の平和な日本が始まったともいえるとのことで、登壇者が自ら考えた直筆の“平和への想いを表す一文字”披露。
役所は「知」という文字書き「色々な国の歴史を知るということ、自分の国のことを知るということ、世界の色々な人を知るということが平和につながることかなと思いこの文字にしました」と答え、「祈」と書いた本木は「昭和天皇を演じさせて頂くにあたり、国を想い世界の平和を心から願っていたというところで、願うというよりかはより慎ましく厳かな感じがし世界に通じる言葉ではないかと思って平和を祈るということを忘れないという意味でもこの文字にさせていただきました」と説明。「人」と書いた松坂は「平和を壊すのもつくるのも守るのも人。これから先平和をつくっていくのも僕たち人。人という字に祈りを込めてこの字を選びました」と答え。「命」と書いた原田監督は「命というのは、映画の中にあるセリフで入れようと思っていたんですけども、義命派の政治家というのは出てきましたけれども、時運の赴くままになって義命派というのは拒絶されてしまいますよね。やはり日本に必要とされていると思うのはこういう義命という言葉だと思うんですけど、それと同時に平和ということを考えると奪われた命だけではなくて奪った命も考えないといけないと思うんですね。そういう意味で命という文字にしました」と答えた。
最後にメッセージとして、役所は「8月15日に向かって色々な特集が組まれていますが、この映画のバックグラウンドには戦場で苦しんでいるひとがたくさんいるということを演じて感じることが出来ました。そういったことも感じていただければと思います」と述べ、原田監督は「封切られて色々肩の荷が下りて、色々受けた取材で自分の発言を読んで愕然としたのは、 岡本喜八監督の1967年(『日本のいちばん長い日』)の作品を批判しているように発言していたことです。これは僕自身、言葉が足らない部分があったと反省しています。「我々はどこから来て、どこへいくのか」の歴史的な観点で考えてほしい」と舞台挨拶などでも話してきたのですが、肝心の自分が、この映画をつくるにあたって「どこから来て、どこへいくのか」を話していなかったことを反省しています。この映画は岡本喜八監督の1967年の『日本のいちばん長い日』からはじまっています。岡本監督が当時やりたくてもやれなかっただろうことを、今、ようやく描ける時代になりました。そして今回描けなかったことが、将来また描けるようになることを願います。今回、昭和天皇を正面から描くことが出来ました。しかし、昭和天皇をとりまいていた状況は映画では描いていません。戦争はいけない、軍をなくして国を残す、という決断をした意識を全うしつつ、これから様々議論できる社会になっていけばいいなと思います。次の『日本のいちばん長い日』が描ける、そういう時代が来ることを祈っています。」と答え、舞台挨拶を終了しました。
舞台挨拶終了後、客席をバックにおこなわれたマスコミによるフォトセッションでは、この日来場者に配られたミニキャンドルの明かりに照らされ幻想的な雰囲気に包まれ撮影を終えた。
また、終戦記念日である15日(土)には本木雅弘による昭和天皇演じる玉音放送の全文を読んだ音源が今月末まで本作公式HPで公開されることが決まっている。