映画『母と暮せば』クランクアップ記者会見が12日、ザ・プリンスパークタワー東京にて行われ、吉永小百合、二宮和也、黒木華、浅野忠信ら豪華キャストに加え、本作のメガホンを取った山田洋次監督が出席した。

終戦3年後の長崎を舞台に、原爆で一瞬にして人生を失った息子・浩二(二宮)が突然現れ、助産婦の母親・伸子(吉永)や小学校教師の恋人・町子(黒木)との奇妙で特別な時間を描く、山田洋次監督初のやさしく泣けるファンタジー感動作。

先日行われた長崎の平和記念式典に、山田監督とともに参列した吉永は「もうこれから絶対に核兵器が使われてはいけないという平和に対しての強い思いを感じることが出来ました。この映画を観て、あのとき起こったこと、私たちがこれからどんなふうに未来を歩いていけばいいかを感じていただければ」と平和を願う気持ちを明かした。
山田監督の作品に初出演となる二宮は、戦争を題材にした本作について「史実に基づいたこの映画を通して、改めて長崎の原爆について勉強する機会をいただき、それを体現することが出来ました。自分がどう思うか、どう考えるかは全て映画に置いてきたつもりです。ぜひ何度も観て感じていただけたらなと思います」と自信をみせた。
山田監督の『おとうと』以来5作目の出演となった吉永は「今回が一番監督の情熱を感じました。全シーン心からの演出をなさっていたのですが、私がそれに応えられなくて落ち込んだときがありました」と振り返り、「そんな時、息子の二宮さんが軽やかに演技をしてくださって本当に助かりました」と二宮に感謝していた。
吉永との初共演を果たした二宮は、現場でのエピソードを聞かれ「僕を“和也さん”と呼んでくださって。身内に一度も呼ばれたことがなかったので、初めての体験にドキドキしちゃいました」と照れ笑いを浮かべると、吉永は「どうお呼びしていいか分からなかったのですが、スッと“小百合さん”と呼んでくださって、とっても嬉しくて感激しました。TVを観ていても『大丈夫かしら、ウチの息子…』とドキドキしていました」とにっこり。

また、第64回ベルリン国際映画祭で銀熊賞を受賞した『小さいおうち』以来2度目の山田監督作出演となる黒木は「長崎弁にすごく苦労しましたね。やはり監督の思いがすごく強くて、『ちょっと怖いぞ』と思うこともありました」と圧倒されていた様子。また「原爆のことは授業で勉強した程度なので、監督や長崎の方に当時のお話を聞いたおかげで演じきることが出来ました」と笑顔をみせた。

本作について山田監督は「この映画は、母と子の愛情物語であり、戦争という問題、平和について改めて考えていただければと思っています。戦後70年にこの映画が公開されることは運命であって、僕の中で一番大事な映画になる」と語り、最後に吉永は「語り継いでいくことの大切さを感じています。戦争や原爆を知らない若い世代へ、私たちが出来ることは語り継いでいくこと。この映画は、皆さんの心に残る作品になっていくと思います」と力強くアピールした。

映画『母と暮せば』は12月12日より全国ロードショー

(Report:小宮駿貴)