先日行われた第68回カンヌ国際映画祭にて、台湾の巨匠ホウ・シャオシェン監督は『黒衣の刺客』で7度目のコンペティション部門出品という偉業を成し遂げ、見事に監督賞を受賞しました。唐代の中国を舞台に、数奇な運命に翻弄される女刺客を描く、最も美しく、最も静かな全く新しい感覚の武侠映画。出演には『ミレニアム・マンボ』などホウ監督のミューズ、スー・チーが、運命に翻弄されながらも力強く生きてゆく女刺客を演じ、アクションにも挑戦。標的となる暴君には、『レッド・クリフ』シリーズで知られるチャン・チェン。そして、窮地に追い込まれた女刺客を助ける日本人青年を妻夫木聡、その妻を忽那汐里が演じています。
この度、9月12日の日本公開に合わせ、プロモーションのためにホウ監督が来日し、記者会見を行いました。会見には本作に出演した忽那汐里も駆けつけ、作品の完成、カンヌ映画祭での受賞を祝福しました。

『黒衣の刺客』記者会見実施概要
日程:8月3日(月)15:30〜16:30 / 会場:松竹㈱ 会議室
登壇者:ホウ・シャオシェン(侯孝賢)監督、忽那汐里

【記者会見 内容】
ホウ監督8年ぶりの新作ということで、記者会見場には80名近くの記者が集まり満席となった。
開口一番、ホウ監督は「みなさん、今日は来て頂いてありがとう。ご苦労様です。ぜひ、自分の作品を気に入って頂ければと思います。」とお礼を述べた。
記者会見には、本作に出演した忽那汐里も駆けつけ、ホウ監督に花束を贈呈し「撮影したのは5年前。撮影しているときは、どこまで撮影が進んでいるかも分からない状態でした。待ち遠しかった完成品がやっと観られてとても嬉しいです!私自身も、この映画が日本で公開するのを楽しみにしています!」と映画の完成を祝福した。
5年ぶりの忽那との再会に「5年も経ったから、随分と大人になって。今日、久々に会ったら、まるでオードリー・ヘップバーンのようだから驚いた!」と、ホウ監督は満面の笑みを浮かべた。
カンヌ国際映画祭で監督賞を受賞したことについては、「8年間映画を撮っていなかったのですが、今回はずっと撮りたかった武侠映画というアクションに挑戦しました。カンヌでの反応は正直どうなるか分からなかったが、みんな私のことを覚えていてくれて、こうして賞を頂くことができて嬉しかった」と受賞の喜びを口にした。
ホウ監督の現場について忽那は「初めて外国の監督とご一緒に仕事をさせていただいたのですが、文化も違い、台本はなくアドリブという現場でした。役名も現場で決まり、初日にスタッフと一緒にロケハンをしてまわり、一番良い場所で撮影をしました。監督は常に横で具体的に動きや感情を細かく指示下さいました。また共演した妻夫木聡さんは慣れていたので、現場でも引っ張ってくれたり、他にも現場の全ての人に助けてもらいました」と語った。

忽那を起用した理由についてホウ監督は「5年前、上野の喫茶店で初めて会いました。彼女は自分の役柄、撮影のシーンについてすぐに理解をしてくれ、とても賢い子だなと思いました。」と語り、さらに忽那の夫役を演じた妻夫木については「彼を起用するという気持ちは初めからからありました。彼以外は考えられなかった。主人公の女刺客を支え、心を溶かすには、情緒やあたたかさだけでなく、感情の深い人が必要でした。彼自身がまさにそうだったのです。私は映画において、何をとっても役者が一番大事だと思っています」と語った。
最後に観客に向け、忽那は「私自身、すごくまっさらな状態で観ることができました。新しい感動があり、静かで無駄がなく研ぎ澄まされた、とっても芯の強いメッセージが込められた作品です。今の時代の多くの日本人に、この作品を観ていただきたいです」と語り、ホウ監督は「今回の作品はとても個人的で思い入れの強い作品です。ぜひ、ゆっくり味わって
観てほしい」と語った。