第71回ヴェネチア国際映画祭にて金獅子賞(グランプリ)を受賞した『さよなら、人類』が8月8日(土)、YEBISU GARDEN CINEMAにて公開致します。監督は、独特の世界観で、熱狂的なファンをもつスウェーデンの巨匠ロイ・アンダーソン。人間の本質をシニカルな視点で描いた″リビング・トリロジー?第1章『散歩する惑星』(’00)、第2章『愛おしき隣人』(‘07)そして、最終章『さよなら、人類』。
ロイ・アンダーソン監督が描く、まるで絵画のような洗練された映像世界や哲学的な台詞、可愛くて、ちょっとブラックなキャラクター設定は実は北欧映画の特徴!?昨年あたりから、『シンプル・シモン』(10)、『100歳の華麗なる冒険』、(14)、『フレンチアルプスで起きたこと』(14)などスウェーデン映画が立て続けに公開され、そしてヒットする中、満を持してスウェーデンを代表する巨匠ロイ・アンダーソン監督の最新作『さよなら、人類』がいよいよ日本公開!本作で監督の虜になった北欧BOOK代表・森百合子さん、そしてロイ・アンダーソン監督作をはじめとした北欧映画に造詣が深い「トーキョーノーザンライツフェスティバル」ディレクターの笠原貞徳さんにロイ・アンダーソン監督作品の見どころ、人を惹きつけてやまない北欧映画の魅力をたっぷりお話いただきました!

【イベント概要】

・日時  7月24日(金)19:30イベントスタート
・会場  VACANT(渋谷区 神宮前3-20-13)
・登壇者  森百合子さん(北欧BOO代表)、笠原貞徳さん(トーキョーノーザンライツフェスティバル ディレクター)

森さんは「『さよなら、人類』を観てすっかりロイ・アンダーソン監督の虜になり、過去作も観ました。とても気に入っていて、これは絶対観た方がいい!あなたの人生よくなるよ!と皆に薦めたいです」。また、笠原さんは「ロイ・アンダーソン監督は作家性が強く、頑なに自分のスタイルを守り、こだわりを持って撮り続けている。『さよなら、人類』ではこれまでのものが見事に昇華されていた」と絶賛。
ロイ・アンダーソン映画の魅力について「カンヌ国際広告祭で8度も最高賞を獲っているCM監督でもあるので、決して派手なことは起こらないけれど、1カットで心を掴み、カットが変わるたびに何か起こりそうと感じさせるところが素晴らしい」とコピーライターでもある森さんらしい答えを受け、「スウェーデンといえば世界三大映画監督の1人であるイングマール・ベルイマンですが、ベルイマンの真似は出来るかもしれないが、ロイ・アンダーソンの真似は誰もできない、唯一無二の存在であり、絵画のように1カットの中にすべてがおさまる構図を生み出すところは職人のようでもある」と笠原さんが熱く語った。

北欧のイメージについて、
「かわいいイメージがありますが、実際に北欧で過ごすとロイ・アンダーソンの映画の世界のような感じなので、観ていった方がギャップを感じないかもしれないですね。ロイ・アンダーソン監督はロケはせず、自身のスタジオにセットを組んで10人くらいのスタッフだけで撮影しているということですが、北欧はDIY精神があり、普通の人たちがベランダを作ったりしています。スウェーデンの家具と言えばIKEAですが、北欧映画の魅力のひとつに真似をしたくなるようなルームデザインの可愛さがありますよね。『さよなら、人類』に登場する家具は1940年代〜50年代頃のスウェーデンの家具と同じようなデザインで、街並もその頃のストックホルムを彷彿とさせます。北欧映画は、可愛さだけでなく、自虐的なネタが多いので、クスっと笑えて、日本人の笑いのツボに似ていると思います」と森さんが語ると、「北欧は幸せな国ランキングベスト5に入ってくる常連ですが、北欧映画のイメージはハッピーな感じではないんですよね。
映画自体に彼らの正直さが表れていて、そこが魅力なのだと思う。スウェーデンの人口は959万人で東京よりも少ないですが、音楽輸出は世界第3位なんです。スウェーデン出身のミュージシャンとして有名なのはABBAですが、最近ではテイラー・スウィフトのプロデューサーでもあり世界一のヒットメーカーと呼ばれるマックス・マーティンがいて、北欧の中でも特に文化基準が高いと思います」と国としてのイメージと北欧映画のギャップを笠原さんが告白すると、客席ではクスっと笑いながら頷く人の姿が見られた。1時間半のトーク中には、ロイ・アンダーソン監督のCM過去作、『さよなら、人類』のメイキング映像なども流され、時間を忘れさせる濃密なイベントとなった。

<トークゲスト プロフィール>
森 百合子さん
コピーライター。著者。スウェーデンやフィンランド大使館との仕事を通じて北欧の暮らしや文化への知識を広げ、2010年より北欧関連の本を執筆。
主な著書に『北欧のおいしい話』『コーヒーとパン好きのための北欧ガイド』『3日でまわる北欧』シリーズなど。定期的に北欧諸国を訪れて取材を重ね、コーヒー文化や食、ビンテージ事情などユニークな切り口で北欧の魅力を紹介している。執筆の他にも監修、講演、イベント企画、メディア出演など幅広く活動し、2012年には東京・田園調布に北欧ビンテージ雑貨の店『Sticka スティッカ』をオープン。映画好きで、北欧映画のレビューも数多く執筆している。

笠原 貞徳さん
スウェーデンを含む北欧5か国の新作・名作映画を厳選し上映する北欧映画祭『トーキョーノーザンライツフェスティバル」を2010年に立ち上げる。
ノオミ・ラパス主演のノルウェー映画『チャイルドコール』、スウェーデン映画『シンプルシモン』の配給にも関わる。現在は、2015年9月に開催が決定した『スウェーデン映画祭2015」と2016年2月に開催予定の『トーキョーノーザンライツフェスティバル2016』の準備に奔走中!