6月27日より公開が始まりました映画『きみはいい子』。3週目を迎えた本日7月11日(土)、大ヒット御礼として出演者の池脇千鶴さん、高橋和也さんを迎えてトークイベントを実施しました。映画賞を総なめにした前作『そこのみにて光輝く』では憎み合う因縁の関係だったお二人が、今作では夫婦でしかも天使のような役柄。そして映画のなかでそのお二人の子どもを演じた子役のお二人も急遽登壇!呉美保監督と共にお話しを伺いました。

日程:7月11日(土) 15:11〜 15:41
場所:テアトル新宿
登壇者:池脇千鶴(33)、高橋和也(46)、呉美保監督(38)、佐々木実琴(6)、川村あやの(1)

MC:今日お越しいただいた池脇さんと高橋さんは、呉監督の前作『そこのみにて光輝く』でもご一緒されていましたね。
 
呉:さっきも楽屋で色々な想い出話しをしていたんですよ。
 
MC:ちなみに前作をご覧になっている方はどれくらいいらっしゃいますか?
 
———7割以上のお客さんが挙手
 
MC:今回は前作とは全く違う役柄でしたが、演じてみていかがでしたか?
 
池脇:たしか高橋さんとは現場ではお会いしていないですよね?
 
高橋:そうですね、学校と自宅のシーンは別々のスケジュールで撮影していたので、実際に撮影はご一緒していないんです。撮影前の衣装合わせで、家族の写真を撮るということでお会いして。

池脇:そうです、そうです。
 
高橋:(今回二人が一緒のシーンも無いし)監督に聞いたんです「これ僕とちづちゃん(池脇千鶴)が夫婦だって観てる人はわかるんですか?」って。
 
呉:夫婦で一緒のシーンを作ることも出来たかもしれないですけど、表現しなくとも分かってくださる方がいればいいなと思って、あえてそうしなかったんです。ちょっとした遊びというか、前作からの因縁の関係ですし。なんかわたしはすごく心残りだったんですよ、前作のあの二人の終り方が。なので、今回はせめて、と思って。

池脇:監督と撮影に入る前にお話しさせていただいたんですけど、高橋さんのこの太陽のような笑顔を、悪じゃなく善に使わなきゃいけないんだよねってお話しされていましたよね。
 
呉:そうなんです。わたし高橋さんのえくぼが好きで。
 
高橋:ありがとうございます。。
 
呉:『そこのみにて光輝く』でのあのえくぼは、ものすごく気持ち悪くて、えくぼの窪みに吸い込まれてしまうような…。今回はそういうえくぼじゃなくて、チャーミングなえくぼを見せたいなと思っていました。
 
高橋:いやあ、前作はしょうもない男でしたからねえ。今度は打って変わってこんな天使みたいな先生をやらせてもらって。前回が悪魔で今回は天使ですよ。どっちかっていうと、天使をやるより悪魔を演じるほうが気は楽なんですよ。天使のほうがプレッシャーが強いというか、そんなに良い人って、なかなか恥ずかしくてやっていて照れるもんですよね。
 
池脇:分かります。
 
呉:今回『きみはいい子』をご覧になったある方が、高橋さんが演じた大宮先生がいつか悪い顔を見せるんじゃないか、なんか裏があるんじゃないかと思ってすごく冷や冷やしながら観たって話しがありました。
高橋:そうだよねえ、先生がいきなり裏切ったら怖いですよね。
 
呉:でもこの映画だったらそれも有り得るかもって思われちゃったみたいです。

高橋:この夫婦って本当に、この映画のなかでみんなを救うというか、そういう役どころだったよね。まあ、前作であれだけ憎み合った二人が、こうやって人助けをするのは不思議だね。

呉:わたしの心残りだったから。池脇さんのあの変貌ぶりがすごかったですね。衣装合わせも楽しかった。如何にダサくするかという話しで、もう色々着てもらいましたよね、映画に出てきてないものも含め。
 
池脇:すごくたくさん着ました。
 
MC:池脇さんは今回、撮影に入るにあたってプロデューサーから役作りのお願いがあったと聞いてますが?

池脇:太ってくれって言われまして。まあ、言うのは簡単でしょうよ、と思いました(笑)。 わたしはその時、別の現場で撮影に入っていたので、今太ると映像の繋がりがおかしくなるから難しいですって言ったんです。けど「そんなの関係ない」とか言ってくるんですよね。まあ言いそうな人ですよね。(笑)

高橋:わがままなプロデューサーだよね(笑)。

池脇:だから前の現場では撮影の衣装がだんだんきつくなっていって、ごまかしながら撮影を続けました(笑)。

呉:撮影中も合間合間で「池脇さんいま焼肉食べてます」とか色々と情報が入ってくるんです(笑)。で、最終的にはもうこれ以上太れませんってところで終わりましたね。

池脇:そうですね、これ以上太れませんって言いました(笑)。本当にたくさん食べましたね。

高橋:僕ら映る立場としてはね、少しでもね、良く映りたいわけですよ、本音を言えばね。でもそれを今回は思いっ切りダサく映るっていうのがね、なんともいえない雰囲気でね。

池脇:わたし、自分の衣装合わせの時に高橋さんの衣装も見ていたんですよ。みんな本当に言いたい放題でね、ださい青系のTシャツばかり並んでいましたね。でも着こなしてらっしゃっいました(笑)。

呉:そうそう(笑)

高橋:ああいった衣装は実は得意なんですけど(笑)

呉:実際の特別支援学級の先生たちに会いに行ったときまさに劇中の高橋さんみたいな感じでしたね。

高橋:ものすごい大変な仕事なんですよね。尊敬します。スーパーマンみたいな方々です。

呉:高橋さんも生徒たちと実際にコミュニケーションをとったりしましたよね。

高橋:ロケが小樽でちょっと離れた札幌の生徒たちなんですよね。僕がウエスタンのバックルをしてたんです。そのベルトに興味持ってくれた子がいて・・それをきっかけに子どもたち皆とたくさん遊んで仲良くなれましたね。

池脇:(子供たちのこと)可愛い、可愛いって仰ってましたよね。

高橋:本当に可愛いんですよね。

呉:二人の長男役のひかるくんもやんちゃで可愛かったですね。

MC:照明の藤井勇さんがこんなことを語られていましたので紹介します。

———ひかるくんはオーディンションで監督が彼の天真爛漫な笑顔に惹かれ、選んだのです。本当に天真爛漫で、カメラを見ては「何撮ってるの?」、テイクを重ねていくと「またこの人がいる」、食事のシーンでは「もうお腹いっぱい」。なかなかコントロールできません。しかし救世主はいたのです、目の前に。それはひかるくんの母親役を演じた池脇千鶴さんです。ひかるくんのキラーパスを見事に生かし、なんとかOKが出るようにコントロールしてくれました。池脇千鶴は日本の宝です。

呉:実はひかるくん今日来ているんですよね。

———客席にいた大宮ひかるを演じた佐々木実琴〈ささき・みこと〉(6)くんが登壇。
佐々木:佐々木実琴です。

池脇:撮影楽しかった?お腹いっぱいになっちゃった?

佐々木:・・・うん。

呉:お腹いっぱいって言ったり、こぼしたクッキーを食べたり、全部演技じゃないんだよね。最後の池脇さんと尾野真千子さんのシーンで尾野さんの娘役を演じた女の子を連れてくシーンがあったんだよね。ちょっと難しくて・・頑張ろうねって言ってたときに「なんで僕この役なの?やりたくなかったー」って(笑)

池脇:でも最後はちゃんと決めてくれたんだよね。

MC:照明の藤井さんがさらにお話ししていたのでご紹介します。
—(ひかるくんは)まさに天使の笑顔で映画を良くしてくれています。

佐々木:・・・楽しいです。

呉:ちょっと緊張してる?さっき裏では相変わらず元気いっぱいで。

池脇:もっといっぱい喋ってくれたじゃん。

MC:まだまだお話を伺いたいのですが、そろそろお時間が迫ってまいりました。それではマスコミの方々向けにフォトセッションを行います。
さらにお二人の娘役の大宮はなちゃんを演じた川村あやの(2)ちゃんに最後に舞台に登場頂きます。大宮家が一同そろいましたね!
本日は誠にありがとうございました。池脇千鶴(いけわき・ちづる)さん、高橋和也(たかはし・かずや)さん、佐々木実琴(ささき・みこと)さん、川村あやのさん(かわむら・あやの)そして、呉美保(お・みぽ)監督でした。拍手でお送り下さい。