目指すはイタリアの動員数1200人越え!映画『メイクルーム』森川圭監督・森田亜紀さん関西公開初日舞台挨拶
ゆうばり国際ファンタスティック映画祭2015にてオフシアターコンペティション部門グランプリに輝いた森川圭監督『メイクルーム』。5月の関東・東海地方での公開を経て、6/20(土)、大阪市西区にあるシネ・ヌーヴォにて関西公開初日を迎えた。映画『メイクルーム』の元となった舞台版『メイクルーム』と新作『メイクルーム〜すかんぴんアイドル〜』が、森川監督の演出で6/4(木)から6/14(日)にて上演されたばかり。
『メイクルーム』はAVの撮影現場のメイクルームの一日を描いたコメディで、現役のAV監督である森川監督ならではの人間観察の暖かい視点が光る作品だ。
司会は現役高校3年生にして女優の中島舞香さんが務め、森川圭監督、ヘアメイクの都築を演じた森田亜紀さんが登壇。
「本日は遅い時間帯にいらしてくださってありがとうございます。シネ・ヌーヴォで大阪初日なのでとても嬉しいです。ありがとうございます」と森川監督。森田さんは、
「面白いと思ったら色々な人に宣伝してもらえると嬉しいです。ありがとうございました」とコメント。
それを受けた中島さん。「大阪初日を迎えていかがでしょうか?」という迷コメントに場内は爆笑となり、一気にリラックスした空気となった。
●2日間の撮影の裏側は?
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『メイクルーム』は86分の作品だが、わずか2日で撮影されだと紹介されると場内は驚きの声に包まれた。通常撮影に時間を要する原因となるのが、シーンごとの撮影で機材を搬出して車に乗せて移動といったセッティングの手間。本作はワンシチュエーションで場所をメイクルームに限定したことで、短時間での撮影が実現したという。
森川監督は、
「前もってみんなでリハーサルを繰り返したので、全然苦じゃなかったですね。時間がないから端折うということもなくて、スムーズにいきました」
と、ここで森田さんが微妙な反応を見せる。
「え?スムーズにいってなかったですか?(笑)」
苦笑する森田さん。一般的な撮影であれば、カット割りで切り返しの短いショットになるが、今回はほぼ長回しで、同じシーンを角度を変えてたくさん撮ったという。
「NGを出したら最初からやり直し。もう絶対間違えられない、みたいな。物凄い緊張感の中でやってました」
「緊張してなかったのは僕だけだったんですね(笑)」
撮影は一昨年の12月、クリスマス近くに行われた。忘年会で撮影を振り返った森田さんが、大変だったと涙を見せる場面もあったという。複数の女優たちにベースからメイクして完成させる手元の作業に追われている上に、膨大なセリフ、しかも長回しという制約。
「常に段取りに追われてリアルにパニックになりましたね(笑)」
「でもこれを一週間掛けて撮ったら、こういう感じにはならなかったんじゃないかな」
と森川監督。AVは長い作品でおよそ2日で撮影する。『メイクルーム』では1日撮りの予定が朝までずれ込んだ撮影となっているため、実際の撮影の緊張感とリンクしていい効果を生み出したようだ。
●『メイクルーム』動員のトップシェアはイタリア!
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『メイクルーム』は、ゆうばり国際ファンタスティック映画祭25周年の節目のオフシアターコンペティション部門のグランプリに輝いた。映画祭で数々の作品を上映してきたアディーレ会館が老朽化で取り壊されることになり、今年がその最後の年となった。森川監督は、
「そこでメイクルームが最後に上映できたっていうのは本当に感激しました。呼ばれた時は、こんなことは一生ないんじゃないかって思うくらいビックリしましたね」
スケジュールの都合で閉会式に立ち会えず先に夕張を発つことになった森田さんたち出演者・スタッフ一行。
「監督1人を置いて去って行ってしまいました。(笑)。受賞を知ってバスの中で大喜びしました」
『メイクルーム』では空回りする監督の姿も描かれている。
「あれは実は僕の事なんですよ。撮影終わって気が付いたらみんな帰ってたりとか(笑)
また、『メイクルーム』は、4/27にイタリアのウディネ・ファーイースト映画祭にて、国際プレミアとして1200人の大観衆の前で上映された。
イタリアの観客の反応を後ろの席で見ていたという森川監督。
「皆さんずっと笑ってくれてたので、ほっとしました。イタリア人と日本人ともに同じようなところで笑うんだなと思って」
日本のAVは日本独自のカルチャーであるため、受け入れられるのか心配だったと語る。
「1200人一気に笑うと地響きがズンとくるくらい。ビックリしましたね(笑)。今のところ日本よりイタリアで『メイクルーム』を見た人が多いと思う(笑)。まだ上映が続くので動員数を抜きたいですね」
森川監督には、ゆうばり国際ファンタスティック映画祭のグランプリ受賞によって、次回作の支援金200万円が贈呈された。現在は『メイクルーム』の4ヶ月後を描いたパート2の制作に入っている。前回の登場人物に加え新キャラクターも登場し、さらなるドタバタが繰り広げられるという。
「パート2を持ってまた大阪に来れるよう頑張りますので、よろしくお願い致します」
『メイクルーム』は6/26(金)まではシネ・ヌーヴォ、6/27(土)から7/10(金)までシネ・ヌーヴォX。
そして7/18(土)から7/31(金)まで京都・立誠シネマにて上映予定となっている。
(Report:デューイ松田)