大人も子どもも共有できる優れた作品に送られる文学賞「第28回坪田譲治文学賞」、2013年本屋大賞第4位に輝き、10代からシニアまで幅広い世代の人びとの心を掴んで大きな話題を呼んだ小説「きみはいい子」(著:中脇初枝〈ポプラ社刊〉)が、『そこのみにて光輝く』でモントリオール世界映画祭最優秀監督賞を受賞した呉美保監督によって映画化され、6月27日よりテアトル新宿ほか全国ロードショー公開となります。

この度、公開に先駆けてプレミア試写会を6月7日(日)に舞台挨拶付きで開催いたしました。登壇ゲストは高良健吾さん、尾野真千子さんです。今作は「抱きしめる」ことの大切さを描いており、登壇のお二人には、最近大切な誰かにハグされた経験やそのときの気持ちを伺いました。

日時:2015年6月7日(日)
場所:スペースFS汐留
登壇者:高良健吾さん、尾野真千子さん

司会:それではまず会場の皆さんにご挨拶をお頂きたいと思います。

高良:映画を観終わった方々にお話しができるということでとても楽しみです。自分にとって十年目ということで、とても気合いの入った作品です。本日はありがとうございます。

尾野:本日はお越し頂きありがとうございます。尾野真千子でございます。今日はよろしくお願い致します。

司会:昨年の6~7月にかけて小樽で撮影されたそうですが、印象に残ったことはありましたか?

高良:子どもたちと接した時間ですね。子どもは化け物だと役者仲間から聞いていたのでちゃんと向き合えるか不安だったのですが、ただただ楽しかったです。やっぱり子どもたちとの時間が一番印象に残っています。

司会:尾野さんは、映画の中で娘に手をあげてしまう母親役を演じましたが、あやねちゃん役の三宅希空(みやけ・のあ)ちゃんと仲良しだったようですが、どのように撮影されていましたか?

尾野:すごく仲良かったです。大丈夫です、本当は叩いていません!(笑)でもお客さんに叩いているように見えるように、そして痛みが伝わるように、見えない位置で希空ちゃんの上に自分の手を置いてそれを叩いていました。それか、助監督の脚を叩いてました。(笑)
それでもトラウマになってほしくなかったので、カットがかかるたびに、ぎゅっとハグをしていました。

司会:高良さん演じる岡野先生がクラスの児童に「家族に抱きしめてもらう宿題」をだすシーンがありましたが、どのように撮影されたんですか?

高良:そのシーンの前日に実際に宿題をだして、翌日リハなしで宿題のシーンを撮影しました。ドキュメンタリータッチで撮りましたね。

司会:「抱きしめる宿題」のお話がでましたが、お二人は最近、抱きしめる、抱きしめられるということはありましたか?

高良:男友達とは高校の頃からいつも挨拶でハグしています。握手からのハグは習慣のようになっています。

尾野:奈良の実家に帰ったときには「またね」と母親とはここ何年もハグしています。それが、急になんですが、ここ一年くらい父親ともハグしています。寂しいんですかね。(笑)

高良:俺もしてみようっと!(笑)

司会:ありがとうございます。抱きしめることの意味をかみしめられる作品でもありますが、本作の監督でもある呉美保監督が、5月29日13:40に3014gの男の子(第一子)をご出産をされました!監督からコメントを頂きましたので読ませて頂きたいと思います。

※監督と息子さんの写真がスクリーンに映し出される。

<監督コメント>
———————————————————-

『きみはいい子』のプレミア試写会に来てくださったみなさま。

本当は、高良さん尾野さんとともに、公開間近の作品のために、この場に立ち、みなさんにご挨拶したかったのですが・・・。

私事ですが、5月29日に第一子となる男の子を出産しました。

なので、たった今のわたしは、息子のおむつを交換しているか、おっぱいをあげているか、ともに寝ているか、はたまた、泣き止まない息子をあやしているか。。。そのどれかだと思います。

誕生して、まだ10日にも満たない息子は、ときどき目をあけては、わたしのことをじーっと見つめます。たぶん、まだ目はちゃんと見えてないでしょうし、わたしのことをお母さんだなんて、認識もしていないのでしょうけれど。

だけどわたしは、じーっと、息子に見つめられるたびに、親としてのとてつもない責任を感じると共に、わが子をぎゅーっと、抱きしめずにはいられなくなります。

おそらくこの気持ちこそが、今のわたしにとっての「しあわせ」なのかなと。

さて、、、
思いを込めて作った映画は、完成し観客のみなさんに観ていただいた時点で、観てくださる人それぞれのものになりますので、もはや、わたしが何かを語ることもないのですが、、、

ひとことだけ。

この映画を観てくださった方が、それぞれの「しあわせ」について、考え巡らせていただけたら嬉しいですし、また、より多くの方がそうなれるように、

「こんな映画があるよ」

と、近くのだれかに伝えていってもらえたら、とっても嬉しいです。

本日は、映画『きみはいい子』を観にきてくださり、本当にありがとうございました。

6月7日  呉美保

———————————————————-

司会:いまこの場でお二人は初めて監督とお子さんの写真をご覧になったかと思いますが、監督へお祝いのコメントや感想などをお願い致します。

高良:監督は小柄な方なので先日会ったときには体の半分くらいがお腹というぐらい大きかったんですけど、無事生まれてよかったです、うれしいです。

尾野:本当におめでとうございます。先日お会いしたときに、お腹が大きくても母親の実感がないと言っていたので、変化があったか聞いてみたいです。早く会いたいですね。

司会:最後にお二人から観客の皆様にメッセージをお願いします。

高良:この映画を観て感じて頂いたことを大切に育てていってほしいです。映画に出てくる「子供たちを大切にすると世界が平和になる」という言葉も、きれいごとではなくて本当だって思いたいです。今日はありがとうございました。

尾野:映画を観て頂いてありがとうございます。わたしたちそれぞれに、たくさんの小さな希望があったと思うので、それが伝わったならまた観てください、人に伝えてください。どうぞよろしくお願い致します。