Q:最近は、戦後に比べると事件の件数だけ見ると減っているものの、表面的には犯罪が凶悪化していると言われています。
ただそれは、際立ったものが出てるからそう感じるだけと聞きました、それは本当なんでしょうか。

【小川さん】
本当です。実際、犯罪件数も凶悪化も減っています。
ここ10年、年間の殺人事件は約1000件ほどで変わりません。

でも凶悪犯罪が起こるとクローズアップされて連日連夜、どのチャンネルを回しても繰り返し報道していますよね。
10年、20年前より警察も以前に比べて、情報提供するようになってきました。
レプといって報道陣を集めて、ある程度の情報公開も行います。
さらに、一般の方もそういったことに慣れてきているんです。
その結果、多いような錯覚を起こしてしまうんじゃないかと思います。

Q:映画を観て、同じような手口で事件を起こす人がいるんじゃなかと言われることもありますが、私が逆でこんなことをしたらこういう風になってしまうといった抑止力になると思うんですが、小川さんはどう思われますか。

【小川さん】
僕も同じ意見ですね。
事件(手口)をマネする人もいるかもしれませんが、みなさんに知ってもらうことによって、これは詐欺なんだ、泥棒に入られますとといった抑止力になるという両面がある気がします。
知らないことが怖いので・・・

Q:映画の中で犯人たちに感情移入するべきじゃないと思うんですが、いつの間にか犯人たちが捕まらないでほしい!という心理になってしまう気がするんですが・・・

【小川さん】
僕は犯人たちが口論するシーンで「そこで怒っちゃダメなんだよ〜!」と思ったんですよね。(笑)
彼らを応援するわけじゃありませんが、それに近いものを感じましたね。
結果的に、ハイネケン氏がこの事件で亡くなっていないこともわかっていますから、何とかして助かるし、お金も持ってますしね。

Q:こういった事件に巻き込まれた人のその後のケアというのは現状どうなんでしょうか。

【小川さん】
誘拐事件だけではありませんが、ほどんとの被害者が子供、女性、高齢者などの被害弱者と言われている人たちなんですね。
そういった人へのケアは十二分にされています。
逆に、加害者のケアをしっかりしていなから簡単に(刑務所から)出てきてしまうと言われています。

Q:日本において映画のような事件を起こした場合の服役期間はどれくらいなんでしょうか。

【小川さん】
10年前後くらいだと思います。
と言うのは、(人を)傷つけていませんから。
映画の中で、犯人たちが強盗した時、拳銃で地面を撃てと言っていましたし、誘拐事件に関しても、女性や(富裕層の)子供を誘拐していません。
子供が誘拐されるのを見ると精神的にまいってしまうじゃないですか、この映画でいうと途中まで被害者のハイネケン氏の方が強かったりしましたしね。

Q:この事件を調べてみて、オランダ在住の日本人が書いたブログを見つけたんです。
2003年1月27日にレストランで1人が死亡した銃撃線に巻き込まれて、その後この事件で死亡したのが、ハイネケンを誘拐した犯人の1人だったとあったんです。
おそらくジム・スタージェス演じるコルだと思われるんですが・・・

【小川さん】
ハイネケン氏が亡くなった翌年に起こった事件でしたよね。
私もいろいろ調べてみたんですが、オランダに友達がいてどこまでが本当かわかりませんが、事件後、“絶対に許さない!”とハイネケン氏が資産を投じて警察に負けないくらい犯人探しをしていたと聞きました。

Q:最後に、この映画の面白いところはどこだと思いますか。

【小川さん】
この映画の面白いところは、まだまだ未解決なことがたくさんあるということですよね。
是非、第2弾を観たい!と思う作品でしたね。

【松崎さん】
ダニエル・アルフレッドソン監督は、映像で何かを訴えかけるという部分に長けていると思うんですが、犯人が捕まるカットで地面に伏せるシーンがあるんですが、あのシーンだけ上から撮っているんです。
あのシーンで“神だけは知っている”ということを表しているじゃないかなぁと思いましたね。
ご興味がある方は、是非、もう1度ご覧ください。