海外TVドラマシリーズ「Zネーション<ファースト・シーズン>」を、2015年7月8日DVDリリース、デジタルセル&レンタル配信開始いたします。
かつてない人気を集めるゾンビエンターテイメント。ついに現れた新世紀サバイバル・パニック・ドラマ「Zネーション」の日本上陸を記念し、超豪華座談会を実施いたしました。

■昨今のゾンビブームを振り返る
マイケル・ジャクソンの『スリラー』がゾンビを一般化した(高橋)
『バイオハザード』の監督がポール・W・S・アンダーソンじゃなかったら今回のゾンビブームは起きていなかった(吉田)
「ウォーキング・デッド」や「Z ネーション」などテレビドラマから火が点いて一気に盛り上がっているんだと思う(伊東)

伊東:海外 TV ドラマシリーズ「ウォーキング・デッド」から火が点いてムーブメントが巻き起こり、盛り上がっているんだと思う。
高橋:ゾンビ映画ブームは一段落した感があるけど、ゾンビそのものがメジャー化したからじゃないかな。映画だけで楽しめていたゾンビがテレビでも連続ドラマとして放送を始めて、それでも皆ついてこられる時代になり、ゾンビ自体がクラシックモンスターな扱いになった。ゾンビの存在を一般世間に知らしめたのはマイケル・ジャクソンの『スリラー』のお陰だと思うんだけど、あの時は普通の人だとゾンビを皆良く知らなかったはず。死んだ人が墓場から蘇るぐらいの感覚しかなくて、ジョージ・A・ロメロ監督が提唱したテイストが浸透したのはここから 20〜30 年を経て、テレビドラマになって一般化したおかげと思うんだよね。
吉田:90 年代半ばにゲームで『バイオハザード』が登場してからゾンビというキャラクターの復権が徐々に映画界でも進んで行った。80 年代もゾンビブームあったけどね。
伊東:特にイタリアで沢山作られていたけど、すぐブームは終わって 90 年代はほとんど作られてなかったね。しかし、そこからゲームの世界でゾンビが盛り上がって、さらにゲームから映画化されちゃって。『バイオハザード』とか。
吉田:『バイオハザード』はポール・W・S・アンダーソン監督が映画化しなかったら、今回のゾンビブームは起きていなかったと言われている。あれはアクション映画として成功した。

■『Z ネーション』の魅力を解析
アクション系とゆっくり系の2大恐怖要素があるのは珍しい。水死体のフリをしたゾンビたちの賢い描写は新鮮(高橋)
「ウォーキング・デッド」と対局で、ヒロイズム皆無な登場人物たちが逆に魅力的(吉田)
今までのゾンビを知っているからこそ、今までにないゾンビ像が誕生。1エピソード完結も見やすさがある。(伊東)

吉田:連ドラ化することはネタ切れの危険性がある。「ウォーキング・デッド」はネタが尽きないようにやってはいるけど、原作があるからの安定と安心感。が、原作通りにやっていない部分も多々あるし、飽きない作りになっているんだよね。「Z ネーション」は新しいことを色々やって楽しい反面、原作がなくてロードムービー要素が入ってどこまでやっていけるんだろうという不安も。
伊東:逆に強みだと思うな。1エピソード完結だから増やそうと思えばいくらでも増やせるし。
高橋:あのスタイルだったいくらでも続けられるよね。途中から観ても大丈夫だから。
伊東:今回、ファースト・シーズンだけでも色んなネタが詰め込まれてて、夢ネタだけで進む話や原発作業の話など展開早すぎるけど大盤振る舞い。
高橋:本当のこと言っちゃえば、アメリカの田舎は広いから人なんて少ないわけだし、そんなゾンビに出会うこともないと思うんだけど、毎回田舎的なところでゾンビが集まって何かしらやっている話を作り上げているんで上手くやってるなぁと。
吉田:そういう意味では確かにいくらでも話が作れそうだわ。分かりやすく作るうえではその土地ならではなアイコンやランドマークを出すと良いみたいな。フィラデルフィアへ行ったら『ロッキー』のブロンズ像が劇中で出てきたりしてたし。
高橋:名所巡りみたいなね(笑)。
吉田:そこでロードムービー要素を入れているポテンシャルが出てくるわけだ。ニューヨークからカリフォルニアへ向かわないといけないミッションを課せられた一行は、寄り道しながらもイマジナリーラインを崩さずにと、シナリオ作りもブレてない。
登場人物にも意外な裏切られ方する!
伊東:そうそう! びっくりするような死に方をする!
高橋:それだけの理由で殺してるよね(苦笑)。
吉田:そういった意味では登場人物たちに感情移入できなさすぎる。それも魅力のひとつかなって。対局にある「ウォーキング・デッド」は出てくる人たち皆にヒロイズムを求め
て視聴者が感情移入できるようにするじゃない?驚くことに「Z ネーション」はそれが皆無なんだよね。
伊東:みんなどこかしらズルかったりする!
吉田:コイツもう死んじゃっていいよって思っちゃう魅力の薄さが、また魅力になっている珍しいパターン。
伊東:本当にマーフィーとか嫌なヤツなんだけど、キャラ立ちしていて何となく良いヤツに見えてくる流れは秀逸。
高橋:第 1 話で登場した死んだふりしているゾンビはなかなか珍しい。立っててマネキンみたいに動かないから気づかないゾンビは存在してたけど、大量の水死体状態のフリをして死んだように見せかけているソンビは、今まで遭遇したこと無かったなぁ。
吉田:賢さでは『バタリアン』に近い要素だよね。
伊東:今までのゾンビを知っているからこそ、今までにないゾンビ像を出している。
吉田:「Z ネーション」第1話はゾンビが蔓延した初年度で、感染したばかりだから肉体も滅びてなく、物凄い速さで勢いがあるんだけど、3年後になったら鎮静化して結構ノロノロになってるから体の腐っている部分も多く、どんどん朽ち果てていく。
伊東:分かれてるもんね。すぐ死んだ人は速くて、しばらく経った人はゆっくりっていう。
劇中で言わなくても物語が進んでいくと分かる。
吉田:これは説明的じゃないところの面白さがあって、実際フレッシュミートな人間がゾンビ化すると動きがまだ速いって理 屈は至極納得行く。体の内側が腐ってないわけだし。
伊東:おいしいトコどり。アクション系の激しさとロメロ監督的な、ゆっくり近づいてくる怖さの2大要素が入ってるからね。
高橋:しかし両方の要素があるのは珍しい。大体作り手側はどちらかを選んでるから。
吉田:この世界で面白いなって思ったのが貨幣の価値がないから、銃弾や薬の商品価値が高いところ。他のゾンビ作品からマネされないような世界観が面白い。略奪した側が今度は自分らが略奪者に車を奪われるシーンも因果応報も面白い。
伊東:大して驚くことなく、日常に奪い合い、殺し合いが起きているんだよね。
高橋:要塞に立てこもっている人たちが全員ものすごく脇が甘い(笑)。
吉田:「ウォーキング・デッド」のように籠城していく話とは対極で常に流動的に動いている。
伊東:人間ドラマをしっかり描くというよりも、面白いものを見せて行くって感じな軽快なテンポ。