国民的作家・井上ひさしの「東慶寺花だより」を原案にした映画『駆込み女と駆出し男』の初日舞台挨拶が、16日丸の内ピカデリーにて行われた。主演の大泉洋をはじめ、戸田恵梨香、満島ひかり、キムラ緑子、内山理名、武田真治、そしてメガホンを取った原田眞人監督ら豪華出演陣が登壇。

♦︎日程:5月16日(土)
♦︎会場:丸の内ピカデリー
♦︎登壇者:大泉洋、戸田恵梨香、満島ひかり、キムラ緑子、内山理名、武田真治、原田眞人監督

冒頭、柏屋の主人・源兵衛を演じる樹木希林から公開初日を祝うビデオメッセージが。樹木は「(本作を)ハリウッドで作るとしたら、製作費は15倍に跳ね上がると思います。出演者よし、制作者よし、お客様のお得感ありの三方よしでございます。欲を言えば、一生に一度でいいから男の方に心底追いかけられてみたいものでございます。初日おめでとうございます」と感謝の気持ちを述べると、大泉は「素晴らしいですね。淀川長治さんを思わせますね。映画の解説とかいいんじゃないでしょうか」と笑顔を浮かべた。
また、撮影時の印象的なエピソードについて、大泉は「どのシーンも思い出深いですが、首つられるシーンは辛かったですよ。ワイヤーとかついてはいたんですが、グッと上がるところで(スタントマンと)ほんとは変われば良かったんですけど、監督のカットが遅くて吊られてしまったんです」と振り返り、「監督に言いたいのはカットって早く言ってほしかった!普通のお芝居であればいいけども、生死を分けるシーンはねぇ」と話すと、原田監督は「モニター眺めてて、すごくいい顔してたんですよね。感動してて1テンポ遅れました」と、それを聞いた大泉は「ほんとに首吊ってましたからね!そりゃいい顔しますよ」とツッコミ、笑いをさらった。一方、戸田も満島をおぶって石の階段を登るシーンで「ボコボコしてるんですよ。足下がおぼつかない中、何度も何度も練習して、実際本番になると、結構足ががたついちゃって… 一歩一歩慎重にやっていたんですが、それこそ監督のカットが遅くて(笑)『まだかよ!』って思いながらやってました」と苦笑い。原田監督は「あれはスタッフ全員でモニター観てて、『あと一歩、あと一歩、もう一歩いけば主演女優賞!』って応援してたんですよ」と見守っていた様子。さらに監督へのクレームは続き、武田も「(役柄が)暴力夫なんですね。戸田さんを蹴り上げるシーンを撮るときに、監督から『じゃやってみようか』って段取りもなく、暴力の引き出しがあまりないものですから」と体当たりで挑んだバイオレンスシーンを振り返り、「監督から『面白いから寄りでもう一回撮ろう』って。僕戸田さんのこと2回蹴ったんですね。もう本当に嫌だった」と散々なエピソードを語ると、大泉は「よくもそんなことできますね!信じられないなぁ」といちゃもんをつけたが、戸田は「でも武田さんの蹴り方が上手で、押すような感じで蹴ってくれて、実際全然痛くなかったんですよ。ありがとうございました」と武田をホッとさせた。
最後に原田監督は「この素晴らしいキャスト、スタッフ全員で大傑作を作りました。名作に育っていくかは皆さんの力です。どんどん観て、この作品を孫の代まで語り継がれるような名作にしていただきたいと思っております」と自信の一本ができ、感無量の表情を浮かべた。

本作は江戸時代の駆込み寺を舞台に、離縁調停人が男と女のもつれた愛の糸を解きほぐし、ワケあり女たちの人生再出発を手助けする、笑いと涙の人情エンタテインメントに仕上がっている。

映画『駆込み女と駆出し男』は丸の内ピカデリーほか全国公開中

(Report:小宮駿貴)