映画『愛を積むひと』完成披露試写会、佐藤浩市、樋口可南子、北川景子 野村周平、杉咲花、吉田羊、柄本明、朝原雄三監督が登壇
会見に続き、完成披露試写会を行いました。老若男女のお客さんで埋め尽くされた会場に、豪華キャストと朝原監督が登壇すると、大きな拍手で迎えられました。
全員黒を基調としたシックな装いでの登場に、落ち着いた挨拶になると思いきや、大爆笑の連続に。「手紙」が映画の中でキーアイテムとして登場することから、今まで受け取った手紙で、強く心に残っているものは?という質問には、会場のお客さんまでほろりとさせるような、様々なエピソードが披露され、笑って泣いての大盛り上がりのイベントとなりました。
■完成披露試写会 18:30〜19:00
場所:丸の内ピカデリー1 東京都千代田区有楽町2-5-1 有楽町マリオン 9F
MC:佐藤さん、樋口さんにお聞きします。今回はほぼすべてのシーンを北海道・美瑛で撮影していますが、美瑛の印象、また役を作っていく中でロケで撮影した、ということが影響を与えたことなどがあればお話しください。
佐藤さん:美しい町です。一年のいちばんいい時期に撮影させていただきました。
その場所に家を建てたことがすごい。そこから見える景色、朝夕の変化など、自然の力が、おおらかな気持ちにさせてくれました。
樋口さん:家の周りの大自然、丘の風景、見たことのないスケール感でした。そんな中でお芝居ができ、しかもオフまで満喫させていただきました。
ただただ「美しい」から、撮影が進むと役柄も入ってきて、涙を感じる瞬間もありました。
MC:続きまして、北川さんにお聞きします。
今回は佐藤浩市さん演じる篤史と、ある出来事がきっかけで疎遠となっている娘・聡子役を演じられましたが、佐藤さんと共演されて印象的なエピソードなどありましたでしょうか?
北川さん:佐藤さんとは今回初共演で、美瑛で初めてお会いしました。
しかも最初の撮影がクライマックスの感情が昂ぶるシーンだったので、不安もありました。
さすがに大変だから、と佐藤さんが撮影前に話す時間を作ってくれて、「景子ちゃんのお父さんはどんな人なの?」など聞いてくださり、役柄のバックグラウンドを肉付けしていって、撮影もうまくいきました。
とても勉強になりました。
MC:野村さん、杉咲さんにお聞きします。今回お二人は恋人役での共演でしたが、お互いの印象はいかがでしたか?
野村さん:現場で会ったとき、自然体で良い子だなと思いました。
妹みたいで、彼女役だったこと忘れてしまいました(笑)
杉咲さん:同じく…お兄ちゃんみたいだなと思いました。
気さくに話しかけてくださって、恋人としての距離感を大事にしたいとおっしゃってくれて、とてもありがたかったです。
MC:吉田さん、柄本さんにお聞きします。今回、夫婦役でしたが、いかがでしたでしょうか。
吉田さん:大先輩で大変緊張しました。最初のシーンが抱き合って喜ぶというシーンだったので。
映画の中できちんと夫婦に見えていたら、それは柄本さんの懐の大きさによるものです!
柄本さん:初めて会って、抱き合って喜ぶ。そういう仕事です、はい(笑)
MC:朝原監督にお聞きします。主演の佐藤浩市さんと樋口可南子さん、お二人それぞれの印象と、お仕事された感想をお聞かせください。
朝原監督:佐藤さんはせっかちで「スケジュールどうなっている?」とよく聞いてきました。
しかもスタッフ全員の名前を覚えていて、座長として皆のことを考えてくださいました。
そこはお父さん(三國連太郎さん)と違うところで、あの人は自分のことしか考えない迷惑な役者でした(笑)
でも佐藤さんの後ろ姿を撮っていたら、三國さんに似ていて…「この背中、見たことある」と思ったんです。
なので、そろそろ二代目・三國連太郎を襲名してもよいのではないかと…
佐藤さん:勘弁してください(笑)
朝原監督:樋口さんは、いつもげらげら笑っている明るいおばさんでした(笑)
ナイーブな役柄を「女優はやる気になったらやるのよ」とおっしゃっていたようにしっかり努めてくださいました。
MC:それではキャストの皆様にお聞きします。本作では「手紙」がキーアイテムとして登場しますが、皆さんが今まで贈られた(受け取った)手紙で、強く心に残っているものを教えていただけますでしょうか。
佐藤さん:昔30代半ばのころ、三國が「生かされてあればこそ」と一筆くれたんです。
勝手に生きているという振る舞いが鼻についたのかもしれません。
今になってジワジワとその言葉の重みを感じながら、この仕事を続けています。
樋口さん:20年ほど前にお亡くなりになった五社英雄監督の最後の2作品に出させていただいて、5通手紙をいただいたんです。「大きい大きい女優さんになってください。次回作は惚れすぎないよう、噛みつきたいと思います」とあって、女優にとっては殺し文句だなと。
そろそろ朝原監督からも手紙をいただけると思っています(笑)(監督「メールします!」)
北川さん:10年ほど前の母からの手紙ですね。
10代で上京したばかりで、仕送りもしてもらっていて、迷惑ばかりかけていた私に「若くして自分のやりたいこと、進みたい道を見つけて、頑張っているあなたを誇りに思います」
と書いてくれて…つらいときはいつも読み返してます。今も大切にとっています。
野村さん:上京するときにおばあちゃんから手紙と色紙をもらって、色紙に「堕落するな」と書いてありました。今も飾っています!
杉咲さん:小さい頃、お泊り遠足に行く前、お母さんから手紙をもらって「気を付けてね、大好きだよ」と書いてありました。すぐ帰りたくなりました(笑)
吉田さん:誕生日に母から手紙をもらって、「羊ちゃん見たよ」と疎遠になってた方からも連絡をもらうようになったらしく、「人と人をつなぐ尊い仕事をしてるわね」と書いてありました。
この仕事を選んだ意味を再認識させられました。
柄本さん:20年ほど前、帰宅すると妻からの手紙が置いてありました。「別れてください」と。
謝って、謝って、どうにか40年続いています(笑)
MC:最後に朝原監督から一言お願いいたします。
朝原監督:4年間温めた映画です。キャストもすばらしく、理想の形に出来上がりました。
地味な映画ですが、ぜひ楽しんでください。