谷川俊太郎も絶賛、初のジプシー女性詩人パプーシャの詩集が異例のヒット!
中原中也賞受賞の気鋭の詩人が詩を朗読する上映後イベントも大好評。

歴史上初めてのジプシー女性詩人パプーシャを描いたポーランド映画『パプーシャの黒い瞳』公開を機に、配給会社から刊行された、歴史上初めてのジプシー女性詩人パプーシャの詩集『パプーシャ その詩の世界』が詩集としては異例のヒットとなっている。「詩集は売れない」が出版界の常識とのことで、そのリスクに出版社がつかず、映画の配給会社から刊行されたため出版取次が通せず、映画の上映館や一部書店での販売に限られているにも関わらず、売れ行きは好調。

映画の波及効果もあるが、詩人・谷川俊太郎さんが「なんてすばらしい!」と詩集に寄稿している通り、東京新聞や赤旗の論説に取り上げられるなど、詩そのものの魅力も注目を集めているのだ。

この日、映画の上映後に行われたイベントは、中原中也賞受賞などで知られる気鋭の詩人・暁方ミセイさんのポエトリー・リーディング、パプーシャの詩を朗読するイベントだ。「パプーシャは“歴史上初のジプシー女性詩人”と言われているようですが、私には、彼女はまず“詩人”であって、でも彼女がジプシーのコミュニティの中にいたために、コミュニティの境界を出てしまうことになったのだと感じた。詩を書く事で、彼女のジプシーとしての人生は犠牲になってしまったかもしれないが、その詩は私たちの胸を打つ、まさに人々に読まれるべき詩を書いていると思う」とパプーシャの詩の魅力を語る暁方ミセイさん。

詩集『パプーシャ その詩の世界』から「パプーシャの頭から生み出されたジプシーの歌」などを朗読し、「パプーシャの詩は、森や川や自然に対して、守ってくれているものという感情もあるし、恋人のような感情もあるし、話しかける相手のようでもある」と話した。観客の中には、ポエトリー・リーディング初体験の方も多く、「目で読むのではなく、耳で聞く詩とまた違う魅力があると思った」「暁方さんの声がとても艶やかで、心に残る素晴らしい朗読だった」と大好評だった。

映画は、“詩”という言葉の力に加え、音楽、そして圧倒的なモノクロームの映像と、まさに三位一体。映画とは総合芸術だったんだ、とあらためて感動できるパワーを持っている。ポーランドの名匠、クシシュトフ・クラウゼ監督の遺作となった作品だけに、映画ファンにも見逃せない作品だ。『パプーシャの黒い瞳』は東京・岩波ホールでの上映は5月22日まで。全国順次での公開もまだまだ続いている。

<ゲストプロフィール>

暁方ミセイ(あけがた・みせい)

1988年8月10日、神奈川県横浜市生まれ。大学在学中の2008年より『現代詩手帖』に投稿を始める。2010年、第48回現代詩手帖賞を受賞。2011年、第一詩集『ウイルスちゃん』を上梓、2012年、同作にて第17回中原中也賞を受賞。

2013年、処女小説「青い花」を『文藝』に発表。現在、詩と小説の他に、新聞や雑誌で書評やエッセイの執筆、朗読活動も行なっている。

<詩集『パプーシャ その詩の世界』>1,000円(税込)(ムヴィオラ刊)

岩波ホール、第七藝術劇場他全国順次公開中